エナジーバースト
〜エナジーバースト〜
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三日月
妖精狩り編〜エナジーバースト〜
灼熱の太陽が砂丘を黄金に染めた。
舞はナイフを腰に携え、結はエナジーライフルを肩に乗せながら進んだ。
途中までは四輪駆動のジープで進んできたが、とうとう砂地にタイヤをとられて動けなくなり、灼熱の砂漠を歩いていた。
「熱い……」
結が手をパタパタと動かしていた。
舞が喉を鳴らしながら水を飲んだ。
結は直射日光でライフルが焼けないように白い布を巻き直した。
マユリが砂漠用にと用意してくれた、極地用戦闘スーツのおかげで暑さによる体力の消耗はかなり抑えられている。
少しのエナジーを動力源にスーツの中の温度を整える機能が付いている。
「しかしエナジーって一体……私の中から湧き上がるエナジーでこんな機能が稼働しているなんて……」
舞も同じ考えを巡らせていた。
「ふたなりが持つこのエナジー……この力はどこから湧いているのかしら?」
「今度マユリに聞いてみないとね……そのためにはこのミッションを乗り切ろうね」
砂漠の熱砂に二人の規則正しい足跡が延々と続いていた。
二人はいつ戦闘になってもいいように、常に準備を怠らなかった。
砂地の感覚を身体に覚えさせる……砂に足を取られると動きが遅くなってしまう。
砂漠の訓練は経験済みだがさすがに訓練とリアルの差というものが身体に疲労感を溜めていくようだった。
結はGPSで位置を確認した。
遮蔽物がない分、敵を発見しやすいしまた、見つかりやすくもあった。
あの砂丘を越えたら敵の収容所があるはずだ。
砂に足を取られながら進むと、やっと敵の収容所らしき建物が見えた。
舞と結は、指や手の動きで意思の疎通が出来るフェアリーサインを交わした。
遠くに見える収容所をスコープ越しに捉えた結は、わずかに眉をひそめた。
「おかしいよ……人がいた痕跡はあるのに、人の気配がしない。舞――まるで罠みたい」
と結が呟く。
舞が即座に応答し、砂塵を蹴って進んだ。
「とりあえず、もう少し接近するしかないね」
結が一歩踏み出そうと足を上げて下ろそうとした時
「結!止まって!」
と舞が結の動きを止めた。
結も気付く。
「――地雷」
「ありがとう、舞」
「結、私はあの収容所に行ってみる」
「私はあの丘の上に」
近くに少し小高くなった丘が見えた。
「あそこからなら遮蔽物の影響もない」
「わかった、行こう」
結は足元に細心の注意を払いながら斜面を駆け上がり、丘の頂点に着くとすぐにセンサースコープで辺りを警戒する。
地雷対策でスコープ金属センサーの精度を最大にあげた。
その刹那、いきなりインジケーターが激しく点滅し警告音が鳴った。
(……地雷?誤作動?)
しかし結の五感、いや第六感が全身に、魂に、戦闘の準備を命令する。
脳からの電気信号よりも早く細胞が反応した――
「真下ッ!!!」
結は反射的に後方へ飛び退いた。
――結の居た砂漠の地面が爆発したように盛り上がり、巨大な鋼鉄の腕が結の残像を猛烈な勢いで振り抜いた。
空中で身体を捻りながらライフルを構え、そのまま心臓と頭を狙い連射した。
――ギィィン
巨漢の特殊装甲が弾丸を弾いた。
「硬いのね!」
「はっはぁぁーー俺はキング。そんな弾、俺には効かねぇよ!スナイパーならこの丘に来ると……予想が当たったのによく避けたな!」
(私がスナイパーだと知っていて、そしてこの丘に罠を張っていた。……完全に待ち伏せされてたって事か)
キングがグレネード弾を発射してきた。
結の横で炸裂し砂煙が舞った。
(この隙に距離を……)
そう思った時、キングの影にもう一人の気配が走った。
キングを遮蔽物にして、何者かが狙撃して来た。
――結の頬を弾丸が掠めた。
「ちっ!一人隠れてた?」
「俺はエース。スナイパー同士どちらの性能が上か見させてもらおう」
「くっ!」
結は狙撃を避けながらライフルにエナジーを込める。
キュインと音が鳴りエナジーモードへ移行する。
「これなら」
キングに連射する……着弾したところに火花が咲く。
エナジー弾すらキングのアーマーを貫通することが出来なかった。
「嘘!傷なしなの?」
結が思わず叫び声をあげる
「そんな装甲ありなの?なら……」
結の体から燐光が立ち上り、エナジーが溢れライフルに流れ込む。
「大技か?」
エースがキングの影に隠れた。
「エナジーバースト!!」
ライフルの銃口から数十発分のエナジー弾が奔流となって解き放たれ、光の束となってキングを丸ごと飲み込んだ。
(……やった、か?)
砂塵が舞い上がり視界が悪くなった。
砂塵を切り裂くような発射音がした。
――バシュ!
結の肩が撃ち抜かれた。
「ぐぅぅ……」
すぐにマユリの開発した戦闘服の生命維持装置の働きで痛みが和らいだ。
弾丸は肩を貫通していた。
だが即座にスーツの生命維持機能が起動し、傷口の圧迫止血を始める。
幸い骨は避けているようだった。
(本当にマユリってすごい、動ける)
エースがキングの脇から顔を出し、撃ってきたと思えばすぐにキングの影に隠れた。
キングのアーマーが所々溶解していた。
(ただ硬いだけじゃない……衝撃を分散している?)
(エナジーバーストも効かないなんて……)
「今の一撃はなかなかの物だが撃ち抜くには足りねぇな」
キングが勝ち誇ったように笑った。
結の背中に汗が流れ、心拍数が上がり胸が痛んだ……
(エナジーバースト……後一発撃てるか?)
「エースさん?ちょこまかとすぐにキングの影に隠れちゃうのね?それでもプライドのあるスナイパーなの?」
「挑発させようとしても無駄だ!」
(そんな大声で叫んで、完璧に取り乱しちゃってるじゃない……正確な位置が丸わかりじゃない。おバカさんね?)
結は静かにエナジー弾をセットしてニヤリと笑い撃った。
(曲がれ!)
エナジー弾が弧を描き結の思うままに飛んでいく。
「ハッハッハー最強の矛と盾!キングのアーマーは全てを防ぐ盾!私は全てを射抜くほ――」
最後まで言えずエースの額に穴が開き、「矛」の「ほ」の口の形のまま後ろに倒れた。
「エナジーショット!!ならば曲げて狙い撃つだけよ!」
キングを迂回したエナジー弾が、エースの額を正確に撃ち抜いた。
「まさか!!そんな武器ありなのか?!」
キングが叫んだ!
「あなたがそれを言う?」
エースの頭から流れた血が砂漠に吸い込まれていく。
「おおおおーーエース!」
逆上したキングが結を追いかけ、結が距離をとる。
結は横目で舞の戦場を見た。
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