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フェアリー•レゾナンス〜ふたなりの私達が金色の竜となり世界を救う〜  作者: 三日月
The First Mission

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17/94

COMPLETE

COMPLETE〜お楽しみください


三日月

The First Mission〜COMPLETE〜

「結……助かったよ」

 舞は警戒しながらゆっくりと鉄格子に近づいた。

「舞、お礼はいいよ!少女達は?」

 舞は鉄格子の中を見た。

 

 明らかに未成年の五人の女の子が肩を寄せ合い震えていた。

 舞は声をかけるよりも先に男たちの死体を引きずり集め落ちていたシートをかけた。

 

「未成年が見るような光景じゃないからね」

 

「そうだね……」と結が頷いた。

 

 ゆっくりと鉄格子に近づく。

 ナイフを構え——

 一閃!

 鉄格子が切れてガラガラと落ちた。

 少女達が一斉に舞を見上げた。

 

「私は舞!助けに来たよ。もう大丈夫」

 まず名乗り、安心させてから一人一人簡易的にケアをする。怪我をしたり乱暴されたような形跡はなかった。

 (売り物は大事に……ということか)

 その理由に気づいた瞬間、胃の奥から吐き気が込み上げ、怒りが湧く。

 

 視覚共有モニター越しに結も五人に異常がないことを確認する。

「舞?まだ細かい敵はいるから脱出コース送るわ!搬送ヘリももうそちらに向かっているからポイントは右舷後方甲板!」

 舞が何か違和感を感じる

「待って!何か変だ!」

 舞の第六感が警鐘を鳴らす。

「結!搬送ヘリはキャンセル!罠よ!!ヘリ離脱!」

 

 叫んだ瞬間、右舷後方甲板が爆発した!

 ギリギリでヘリは巻き込まれず離脱出来た。

 

 やっぱり……敵が逃げ出し始めてる。

 ということは……

「結!すぐに高速艇飛ばして来て!」

「近くの左舷側面ハッチまで誘導お願い!」

 

 結は舞の叫びを聴き終わるより早く、高速艇を最高速度まで加速させていた。

 闇夜の海を切り裂き、凄まじい水しぶきをふきあげながら高速艇が疾走する。

「奴ら船ごと証拠隠滅するつもりなのね!」

「結!急いで!」 

 舞は五人を誘導する。一人消耗して歩けない少女をお姫様抱っこで抱えて走っていた。

 

 左舷側面ハッチにたどり着くがハッチ自体が固く溶接されて開かなくなっていた。

 

 船が右舷甲板の方から誘爆を始めていた。

 舞は抱えている少女を床に下ろし、ナイフを抜きありったけのエナジーを込めた。

 淡い燐光が刃から放たれた。

 舞の身体からもエナジー溢れて出す。

 気合いとともにハッチに何度も切りつけると分厚い鉄板を切り裂いていく

 ナイフは刃こぼれ一つしない。

 切りながら脳裏にマユリのドヤ顔が浮かぶ。

 (確かによく切れるわね)

 ニヤリと笑い最後は蹴りでハッチを海側に落とした。

 

 ハッチから身を乗り出して、無線で結を呼ぼうとした瞬間。

 もう外に結の高速艇が止まってすぐさま降りれるようにロープまで設置されているのが見えた。

 

「舞!急いでその子達を!」

 

 その時少女の中から声が上がった。

 

「もう一人捕まってたはずです……今まで気が付かなかったの……そういえば直前に兵士宿舎に連れていかれた女性がいました!」

 

「結!ここはお願い!」

 舞は五人の高速艇への移動を結に委ねると元来た道を駆け出した。

 誘爆が広がってきていた。

 エンジンルームまで達すれば、大爆発を起こすだろう。 

 モニターに兵士宿舎までの最短ルートがナビされた。

 

 「舞!五人はもう大丈夫!一旦船を安全圏まで持っていくから、舞も急いで!」

 

 炎の範囲が狭まる中、舞は重い兵士宿舎のドアを蹴破って少女を探す。

「どこ?どこにいるの?」

 不気味なほど並ぶ無数のドアを前に、焦りが汗となって舞の背中を伝った。

 

 部屋が多い――。

 額に汗が滲む。

 その時、インカムから結の鋭い声が飛び込んできた。

「舞!生体反応キャッチしたわ!奥から二つ目の部屋よ!!」

 最速で走り込み、

 奥から二つ目の部屋のドアを蹴り破る!

「いた!」

 

 すぐに駆け寄り、首に手を当て脈をとった。

 生きてる!

 年齢は二十歳ぐらいに見える。身体中にアザがあり、乱暴されたような痕も――


 服が捲れて、彼女の共鳴紋が見えていた。

 舞はそっとシャツを整えて共鳴紋を、隠してあげた。

 

 もしかしたら幼い少女を守るため自ら兵士の犠牲なったのかもしれない。

 そう思っただけで——

 

 舞の心に炎のような怒りが湧き上がった。

 

 氷のような悲しみが胸を刺した。

 

 それらが混ざって――。

 巨大な竜巻のようにエナジーが溢れた。

 

 その瞬間――額の奥が、奇妙なまでの熱を帯びて激しく蠢いた。

 (この熱さは……くぅ)

 だが今の舞にそれを気にする余裕は無かった。

 女性を抱えると、部屋を出て外部通路に向かった。

 

 (もう高速艇は接近させられない)

 

 舞は瞬時に判断して上に向かった。

 操舵室のさらに上へ。

 レーダーマストの上部に左腕のアーマーからアンカーを射出し、内蔵モーターで一気に駆け上がった。

 

 船が炎に包まれていた。

 (もう限界か)

 

 舞は女性を自分の体にロープで固定し大きく息を吸い込んだ。

 空に向かって飛び出した!


挿絵(By みてみん)


「結!頼んだわよ!」

 次の瞬間、轟音と共に船が大爆発した!

 

 凄まじい熱気から女性を庇いながら、舞はウェーブスーツを爆発の上昇気流に乗せた。

 

 背後の爆炎が舞のシルエットを浮かび上がらせた。

 

 だが――爆発からは逃れたがウェーブスーツの揚力はなくなり海に落下してしまいそうだった。

懸命にバランスをとった。

 滞空時間を懸命に稼ぎながら、舞は海面を最高速で疾走する結のボートを見定めた。

「結!受け止めてよ!」

 願いを込めて叫ぶ。

「舞!そのまま!」

  

 高速艇が舞の落下地点に滑り込んでくる。

 舞は高速艇に着地した。

 結が救助された女性を受け止め、安全にデッキにおろした。

 

 全速で走る高速艇の後ろで貨物船が最後の大爆発を起こし、海底深く沈んでいった。

 

「ふぅぅぅ」

 舞が深く息を吐いた。

 結と目を合わせ、ニヤリと笑いハイタッチした。

 救出した六人をゆっくりと休ませた。


 最後に救出した女性も命には関わらなかったが、舞たちはすぐに洋上でヘリを要請し、アンドロギュノス医療機関に搬送した。


 

 六人の搬送が終わると二人の顔から笑みが消えた。


 見つめ合った瞬間、この戦闘で奪ってしまった命の重さが押し寄せてきた。

 

 二人の身体は、ぶるぶると震えていた。

 

「結……この気持ち忘れないでいようね」

「私たちは殺人マシーンじゃない」

 ……しばらく無言で抱き合った。 



「そろそろ帰還しないと」

 

「マユリが首を長くして連絡待ってそうね」

 

「帰ったら約束通りパフェご馳走しないとね」

 

「ふふ一番高いやつ注文されそうだね」

 

「First Mission Complete!!」

 



 高速艇が二人の妖精を乗せて水飛沫を上げて走っていった。

読んでくださりありがとうございました♪


次回更新は明日19時です

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