挨拶巡り-騎士団-
王様の突撃訪問の次の日。私とアンバーは王城の敷地内にある騎士団の寮に向かってる。
あの後みんなと話し合って、実際ここにいても何もやる事もやりたい事も無いのは事実だから一度森に帰ろうということになった。街に行かないのか聞かれたけど、興味より面倒の方が勝ったから行かない。んで、帰る前に顔見知りの人ぐらいには挨拶しておこうと思ってまずはダルダさんの元へ。その後宰相さんと最後に王様に挨拶して終わり。
なんか挨拶するのがたった三人って少ないよね。自分の引きこもり具合すごいな。
ゆっくりとアンバーとおしゃべりしながら歩いていると、寮が近づいてきたのか騎士達の訓練してる声や音が聞こえてきた。
「アンバーすごいね。私剣と剣がぶつかる音なんて初めて聞いたよ」
「ルミの元の世界を考えれば当然であろうな。我としてはこんな耳障りな音は余りルミには聞き慣れて欲しくはないがな」
おお〜これが異世界、とアンバー言えばアンバーはこの音が好きでは無いらしくフンッと鼻を鳴らした。でもそうだよね、自然大好きな聖獣からしたら武器の音なんて好む訳ないよね。だとしたら道が分からないとはいえ着いてきてもらっちゃって悪いことしたな。
「この音が好かないのは確かだがそれだけだ。ルミが気にする事はない」
「……いつも思うけど、やっぱりみんな私の心読んでるでしょ?」
「ルミはすぐに顔に出る。故に直ぐ分かるだけだ、気にする事はない」
向こうにいた時は逆に何を考えてるか分からないとばかり言われてたからか、分かりやすいなんて言われても本当か?と疑っちゃう。うーん、今からポーカーフェイスを極めるか?
うーんと考えながら歩いていれば音は更に大きくなりあっという間に入り口に着いた。大きな門とその横に駅の改札口にある駅員室みたいな部屋がくっついてた。違うのは改札口が門で中にいるのは駅員ではなく騎士であることぐらい。
二人居た騎士達は、私達が近づいて姿が見えてくると何やら挙動不審になり一人は慌てた様子で何処かに出て行ってしまった。
「すいません」
「はいっ!何か騎士団に御用でしょうか!?」
「えっと、団長のダルダさんに会いに来たんですけどいらっしゃいますか?急に来てしまったので、もし手続きとか必要でしたらまた出直します」
「いえっ大丈夫です!団長はすぐに来ます!」
すぐに来ます?今来たばっかなのに?あー、さっきいなくなった人が呼びに行ったんですね。対応早いなと関心してれば、こちらでお待ち下さいと受付の部屋に入れてもらい、もう一つあった部屋のソファに勧められた。なんならお茶とお菓子も出てきて急に来たのにめっちゃおもてなしされた。若いのにええ人や。
おもてなししてくれた若い騎士の人はきびきびと挨拶して仕事に戻っていった。窓口が無人なのが心配なのかはたまた私といるのが気まずいからなのかまあ帰るのが早いこと。
ありがたくお茶とお菓子を頂き割と寛いでると何やら入ってきた時とは別の扉の外が騒がしくなってきた。
「やっと来たか」
アンバーがあくびしながら呟いた直後「バアンッ!」と大きな音と共にダルダさんが現れた。扉大丈夫?壊れたんじゃないかってぐらい大きな音だったけど。
「ルミ!騎士団まで来てどうしたんだ?驚いて思わず全速力で走って来ちまった」
がははと笑うダルダさんは全く息切れしてないけど相当足が早いんだろう。呼びに行ったであろう騎士がゼーハーしながらやっと部屋に到着した。可哀想に。
「近々森に帰る予定なので、その前に挨拶しておこうと思って」
「森に帰る!?何でだ?嫌がらせでもされたのか?言ってくれればオレが叩き斬ってやるぞ?」
「いや何怖いこと言ってるんですか。単にここにいてもやる事が無いので帰ろうと思っただけですよ。その前にお世話になった人達には挨拶しておこうと思って」
冗談でも何を躊躇いなく言ってんだこの脳筋は。そもそも、例えほんとに嫌がらせをされたとしても私よりも皆んなが黙ってないだろう。そんな気がする。
改めて嫌がらせなどではないと念押ししたうえで、感謝を伝え騎士団をあとにする。引き止められ何ならうちに来るか?と自宅に誘われたりしたけど丁重にお断りしておいた。どんな思考してるんだこの人は。
あまり長居するのも悪いだろうと、まだブーブー言ってるダルダさんを無視して私は足早に外に出る。窓口のお兄さんにもお礼を伝え外に出る。彼は返事も元気だったからいい子だな。




