皆で話し合い
前の話の続き、だけどぶつ切りで終わります。
「ねむい。」
そう呟きながらも、ユキは車から降りた。時刻は朝の6時、朝練が始まる時間だ。学校の門の前には誰も生徒は居ない、隣に立つ大地も大きな欠伸をしながら降りてきた。
「まー、一時間はねれるじゃん?」
「私は寝れるけど、大地は寝れないでしょ。宿題終わってるの?」
見上げれば、一瞬あっという顔をした。
「休憩時間にやる!」
きりっとした顔で言い放った大地のケツにユキは回し蹴りをお見舞いした。何故か、大地が怠けるとユキが叱られるのだ、しっかり見とけと。
「いって。・・・はぁ、うちの姫さんは修行の後はご機嫌斜めですね。」
姫と呼ばれてユキは嫌な顔をして、早足で下駄箱に向かった。
「おぉー荒れてる荒れてる。」
そう言いながら大地は怠そうに後を歩いていた。
ユキはさっさと教室に行って寝ようと思い、早足で校内を歩く。たどり着けば、扉を開ける前に物音がして動きを止めた。
ガタガタと、机が揺すられる音と少女の声が聞こえたのだ。そっと扉を開けて盗み見しようとする前に目を隠され、口も押さえられて扉から引き離されてしまった。
そのまま、ずるずると廊下を引きずられて空き教室に入れられると、やっと目隠しが外れた。目の前には大地と久司がいた。
「ユキちゃん、中で何かやってるか分かってるのに覗かないの。」
そう言ったのは久司だ。ちょっとチャラそうなたれ目の青年だ。
「本当だよ。お兄さんマジびっくりしたわ」
そう言って胸に手を当てて心臓に悪いみたいな演技をしてる大地にユキはすね蹴りをした。
「なんのこと?」
「しらを切るな。もう音とか声で何やってたか分かってただろうが。」
「私、箱入り娘だからわかっうぐゅ」
大地におもいっきしチョップされ、ユキは黙った。めっちゃ頭が痛い。
「巫山戯んな、うちのお姫様に卑猥な物を見せたって叱られるのは俺なんだよ。」
今度は頭をゴリゴリげんこつで挟まれて、ユキは涙目に久司に助けを求めた。
「痛い痛い。ちょっと百聞は一見にしかずっていうじゃんね!」
「ユキちゃん。世が世なら、一歩も外の世界を知らずに純粋培養で育てられる存在だって忘れないように、下手に上の御仁達が汚れた物を見せたとか怒りだしたらどうなるか分かってるでしょ?自分の身に振り返ってくるんだよ?」
久司の言葉にやっとユキは口を尖らせて大人しくなった。もしも、知られたら軟禁生活だ。そうならないのは跡取り候補として選択したから。もしも嫌だと言ってたら、霊力の強い女子は、家の巫女としてお姫様のように周りが仕えて外に出れない生活になる。
乗せられた机の上で体育座りしていじけているユキを無視して二人は話し続ける。
「それにしても朝の学校で凄い度胸だな。」
「全くだね。顔は確認した?」
「した、女は桃華だ。男子生徒は一般人だな」
「げ、あのビッチ女かよ。俺絡まれるんだよねー」
「安心しろ、俺もだ。久司が朝早く居て良かったよ」
「そういえば、何で久司がいたの?」
ユキが不思議そうに話に入り込めば、大地がスマフォをみせた。
「さっきlaneチャットで送ってたんだよ、久司と先輩達にもメールしてた。と」
その時通知のバイブになった。見れば、”姫の教室でヤバい奴が居るぞと”と成瀬からきていた。その後に、”先生に連絡しといた”と浦河からすぐに来た。
「早いな、あいつらも。」
「君たちがいつも時間ギリギリに登校してるだけだよ。」
久司が飽きれたように言われ、二人は顔を背けた。二人とも朝が弱くギリギリに起きてギリギリに登校してるのだ。視線をそらしつつ大地は、二人にこの空き教室の場所を伝えた。
「先生って普通の先生?」
ユキが聞けば、大地は あぁそうだったと思い直し、またチャットに戻ってやり取りしてから顔をあげた。
「俺たちの方の先生にも伝えたってさ。ただ、女子生徒は姿消したって」
「何何?あいつ妖?」
「「んー?」」
久司の疑問にユキも大地も首を傾げた。
「「おはよう」」
そう言って入ってきたのは、先ほどチャットでやり取りしてた二人だ。
「「「おはよう」」」
「なーあの女子生徒魔物?」
成瀬の言葉に、大地が聞いた。
「その心は」
「男子生徒の生気が、<バキュー>してたのに減っていた」
禁止用語でTVで聞く音が浦河の手から鳴った。ガチャガチャで手に入れた効果音が鳴るおもちゃだ。
「成瀬君は、姫の前で卑猥な言葉を使うな。」
浦河が飽きれたように成瀬に言うと、周りを見渡してユキを見つけた。
「あ、姫もいたのか。ちっちゃくて気づかなかったぜ、てか眉間に凄い皺が出来てるぞ」
そう言って、眉間に指を突立てれば、ユキが怒って手を払いのけた。
「ユキ!姫って言うなし。このヤンキー」
「はいはい、ユキちゃん。ご機嫌斜めでしゅねー」
そう言ってユキの頭を乱雑に撫でた。
「うざい!っそれよりも、生気減ってたの?」
また手を払いのけて聞けば。今度は真面目な顔で答えた。
「おう、減ってたぜ。あの女子生徒が、大地が朝チャットで言ってたヤバい奴?」
「そうだ。」
「へー。一見普通の生徒に見えましたけど。吸い取った生気はどこに行ってるんですかね?体内に溜まっている様子はなかったよ?」
浦河が不思議そうに言った。その言葉に、3人はうわーっという顔をした。
「超面倒そうじゃん。」
大地の言葉に、周りも頷いた。
「だね。気づいたからには対処しないと。」
浦河の言葉に皆の声が被った。
「「ですよねー」」
「やる気ないなら私一人で」
嬉々として発言したユキに大地と成瀬のチョップが頭に落ちた。
「いったい!馬鹿になったらどうしてくれるのよ!!私女子なんだよ!!」
「うっせぇ。明らかに一人で出来る内容じゃないだろ。このメンバーが誰も今まで気づかなかったんだぞ」
「私気づいたモーン」
「道具が合ったからだろうが」
その言葉にユキは頬を膨らました。
「とりあえず、調査だな。それと先生にも言っとこう。」
「だな、もしかしたら先生のサポートが必要かもしれないしな。」
ユキ抜きで話は進み決まって行った。また放課後に集まる事が決まり解散。教室に戻れば、先生達が掃除を終えた所だった。
「おはよう。ユキさん」
「おはようございます。先生」




