夢見る魂と観察者
タグ「現代風」「霊力」「学園」「ちょっとホラー?」
思いつきなため、中途半端に終わります。
「実は、私転生者なの、でこの世界は乙女ゲームの世界なんだよ。大親友のユキちゃんだから教えるけど!」
内緒話するように机の向かい側から身を乗り出して言ってきたのは、自称私の親友と言っている桃華だ。
「はっ」
思わず鼻で笑ってしまっても致し方ない。頭の痛い子なのだ、この桃華は。こないだは何だっけ、私の前世は女王様で夫候補が何人も居て〜とかいう話を作り出していた。
黙っていれば、それなりの顔だしマニア受けする少女だ。ぽっちゃりな体の上に、天然な性格、巨乳とくれば、あほな発言も可愛いと言われる程度に。そして、それが自分モテルと勘違いしている。まぁ、尻が軽い子としてモテてはいるが、つまり体目当てだ。
クラスメイトの女子が彼氏を寝取られたか何かで嫌みを言えば、魅力の無い体が悪いとか色々な暴言を吐くほどに強かだ。つまり、自分大好き人間でいつも自分中心に回らないと気が済まない。人の会話には普通に割って入るし。人の話は聞かない。因に、何故私が絡まれているのか、それは至極単純な理由があるのだ、私の従兄弟は美形で、かつ同じ学校に通っている。しかも、私が所属している美化委員会にも美形がいる。
つまり、私と仲良くなって話すチャンスが欲しいのだ。大抵絡んでくるのは美化委員会の集まりがある木曜日だし、従兄弟と一緒に帰る日の火曜日の夕方、最初は教室で待っていたが、余りのしつこさに、図書室に逃げていたがとうとうバレてしまった。そして、それもありがたくもクラスメイトからこっそり教えてもらった。
「それで、ユキちゃんは。その、悪役でヒロインの邪魔をするキャラなの」
「へーで?」
「攻略キャラはね、ユキちゃんの従兄弟大地先輩に、美化委員の成瀬先輩に久司達、それと生徒会長に書記、あと乗馬部の浦河先輩なんだよ。」
皆美形であんたが狙ってる男ですね、うるうるした瞳で見てきた桃華に呆れを通り越して、どうやったらコイツを抹消てきるかなって思った自分は悪くないと思う、
だって勝手にまだ話し続けてるし。
「しかもなんと、ヒロインが私なの、こんなのやりたくないし、ユキちゃんの事学園から追い出したくないの。でもね、物語は進んじゃって!」
「ふーん。」
早く話に飽きてくれないかなーと思いながら、目は手元の本を読み続けている。学園から追い出されるなんて一部の生徒にとっては非現実的な話だ、この学園は半分は一般の生徒、そして強制的に入れられてくる子は、いわゆる霊力の高い物達が集められているのだ、先ほどの乗馬部は、表向きで実際は獣の妖に乗れる適正の人達が入る部活だ、そこでパートナーとなってくれる妖の探し方と乗り方を教わる。
そして、ユキは後半の生徒に当たる。
「でね、ユキちゃんは大親友だし。なんとか回避しようと思うの」
「ふーん。」
「聞いてる?ユキちゃん」
「ふーん」
「お待たせ、ユキ」
その声ではっとなって顔を上げれば、にこやかな笑顔を携えた従兄弟の大地が此方に向かってきていた、見た目は笑顔だ、だが自分には般若な顔が後ろで見えてる。絶対なんでこの女と一緒にいるんだって思ってるよね。目の前の桃華は頬を染めて、もじもじしながらもでかい胸を強調してるし。
「はぁ」
小さくため息をついて本を閉じると、横に置いてあった鞄を持って、大地に向かって歩けば、桃華も後ろから着いて来る。
「ユキちゃん、お迎えがきちゃったね。大地先輩お久しぶりです。」
「急ごう。ユキ」
「・・・」
ガン無視だが、桃華はへこたれないずっと話し続けている。ある意味その心臓の強さが羨ましい。気持ちが悪いので、もちろん撒き餌を使って早々に撒くけどね。
「あ、成瀬先輩」
そう呟けば、すぐに桃華の視線が大地から離れる。その隙に大地と私は姿くらましの術を使い桃華の前から姿を消し、2階の窓から飛び降りた。
そして下駄箱へ走って履き替え、迎えの車に乗り込めば脱出成功だ。
「お前好い加減、あの馬鹿女放置すんなよ。」
「めんどくさい。一回抱けば?それで飽きると思うよ」
「やめろ、鳥肌がたった」
「そんなにダメなんだ。」
「無理。」
即答されてしまった。
「だいたい、あれ人間じゃないだろ」
おや、気づいていたのか流石従兄弟と思いながら、ユキはにんまり笑みを浮かべた。
「うわー。お前気づいてて放置してんのか最悪だな。」
「だって、まだ実質な被害は出ていない。そうでしょ?」
「まぁ、そうだけど。」
「それに、追い払っても新しい魂をまた用意されちゃうしね。」
そう言って、持っていた本を広げた。それは一見すると普通の物語が書いてある本だが、実際は違う。知りたい魂の記録に書き変わる魔の書物。もちろん、対象の魂の破片を手に入れなければ読めない。
「は?」
「あれ、中身何度か変わってるよ。」
「まじかよ。てか、その本いつのまに手に入れたんだ?」
覗き込んできた従兄弟に見せてやれば、うへーっと言われてしまった。
「こないだ、古書店で紛れてたのを見つけた。あれね、大本を絶たないと、終わらない。ありがたい事に毎度毎度、私を友達認定して色んな作り話を埋め込んでから入れてるみたいだしね。特別課題じゃないかな?」
「う〜ん、違うだろ。ついでに課題にしてるだけで。」
「やっぱり?」
そう言いながらユキは書物を閉じて鞄に入れ直した。
この学園の霊力が高い生徒の勉強は悪霊退治や封印、浄化などだ。もちろん実地訓練もあるし、必ず一学年に人で無い者も紛れ込ませる。それを見つけられるかで成績が付けられるのだ。ユキは学校側が用意した人でない物は既に発見済みだ。
そして特別課題は曰く付きな物を見つけて対処すること、それは封印、退治、浄化どれかが出来れば良いのだ。
「ヤバい気がするな。俺がココまで気づかなかったくらいだ。先輩達に援軍してもらったほうがいい。」
「えぇー」
嫌そうな顔をすれば、大地に頭をチョップされた。
「お前、今絶対自分の成績配分が減るとか思っただろ。」
「当たり前じゃん。」
そうなのだ、チームを組んで対処する方法もあるが、そうすると点数が分配されるのだ。
すると運転手が苦笑した。
「何よ、朧車」
「いえ、大地様の言葉に従った方がよろしいかと。あまり自信過剰にならない方が良いですよ」
そこまで言われると流石に何も言えなくなる。口を尖らせて黙れば、大地に頭を撫でられた。
「そうだぞー。焦るもんじゃないだろ。」
そう言って着いたのは、大きな日本家屋の屋敷だ。中に社もある。
中に入れば廊下を着物姿の童が数人ケラケラ笑いながら走って壁に消えた。今日も座敷童はご機嫌なようだ。
「「只今戻りました。」」
そう二人で声をかけた部屋は、どうぞという声とともに勝手に開いた。中には祭壇が奉られ、当主であるおじいさまと、その横におじいさまの使い魔が微笑みながら待っていた。
「さて、修行を始めるか」
おじいさまは、名のある陰陽師だ私たち二人は跡継ぎ候補。そして婚約者候補でもある。ライバルであり婚約者候補なのである、蹴落とし合いをする仲でもあっても良いはずなのに従兄弟の大地はそんなそぶりも見せない、といってもそう見せているだけかもしれないが。




