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思いつくままに ー短編集ー  作者: siro
ロイヤルズと代理人の青年?!

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【ロイヤルズと代理人の青年?!】01

キーワード【宮廷、貴公子、王子、女装、男装、BLちっく】

社交シーズンの時のみ見れる、ロイヤルズのメンバーは、王太子を中心にした有力な貴族から優秀な貴族達。王太子が友人と認めた者しか入れない。

見目麗しい者もいれば、愛嬌のある者迄。今日もご婦人方を虜にして行く。その中のメンバーで、王太子のお気に入りは・・・

チャールズは、とうとう言うことにした。

いつも社交シーズンの時にのみ、連んでいるメンバーに。

彼らは周りの貴婦人からロイヤルズと呼ばれているメンバーだ。ハイリンヒ王太子殿下を中心とした貴公子達の集まり。そのメンバーに偶然にもチャールズも入っていた。

何時もの豪華絢爛な王宮内の談話室で、ロイヤルズのメンバーは集まり情報共有したり、知識の交換をしたり遊戯をしたりと様々な事をする。そのため、談話室にはビリヤードやソファー、机、本棚、ピアノ等が並べられても余裕があるほど広い。

そんななか、貰ったファッション雑誌を見ながら、さらっと切り出したチャールズに周りの空気が固まった。最初に口を開いたのは、向い側の一人掛けのソファに座っていた、ハイリンヒだった。

「はっ?今なんて言った?」

「今日で、さよならなんだ〜。もう王都には来れない。今年というか今日で最後だ」

ソファにだらしなく寄りかかりながら、今年の流行をまとめたファッション雑誌を見ながら言う姿は、今日の夕飯は何だろう?と言うような感じだ。

周りで思い思いに喋ったりチェスをしていたもの達は唖然として動きを止めてしまった。視線が全てチャールズに向けられている。


「たちの悪い冗談はよせよチャールズ、何言ってるのか分かってるのか?」


そう言ったのは、横に腰掛けていた公爵家の跡取りであるジェームズだ。

彼が冗談だと思いたい理由もうなづける。このロイヤルズと言われるグループに属しているだけで、下級貴族は出世間違いないとまで言われている、何しろハイリンヒ王太子殿下の取り巻きに入るには、王子に気に入られるだけでなく、そのメンバーにも気に入られなければ入れない、しかもメンバーの殆どは、身分が高い一族が集まっているのだから周りの貴族達からの扱いが変わるのだ。どんなに身分が高い者でも、高飛車だったり不遜な者、馬鹿な者は絶対に入れないのだ。

だからこそ、チャールズは潮時だと思っていた。ココに居る者達はいずれ国を支えるメンバーばかりだ。

「皆も知ってる通り、俺は元々代理で王都に来ている。それが今回で終了したってことさ」

あまりの視線の多さと鋭さに、お手上げだという風に両手を上げて、やっと雑誌を机の上に投げ捨てた。相変わらず軽く言うチャールズにハイリンヒ王子はイライラしはじめた。一瞬何かの冗談かと思ったが、チャールズの目をみて本気だと悟った。

「巫山戯るな、お前が代理で来ているぐらい知っている!!!終わったのならば、今度は俺に直接仕えろ!」

立ち上がってチャールズを指差しながら殿下は叫んだ。取り巻きと言われようが殿下にとっては、自分の大切な友人達なのだ。そして、チャールズと殿下は、息が合う悪ふざけの友人、チャールズが居なければ、市井での暮らしぶりを教えてくれるもの等居なかったのだ。だからこそ、身分が低かろうが大切な友人の1人にもなっていた。

その言葉に、チャールズは驚きながらも少し寂しげに返した。このメンバーと自分ではあまりにも身分が釣り合わなさすぎるのだ。

「ありがとう、だがもう次の就職先は決まってるんだ」

辺境の田舎から、このような機会がなければ華やかな王都の暮らしは一生味わえぬ日々だった。本来なら一生無縁の生活。

チャールズにとって、社交シーズンは夢のような期間だった。毎年この時期がくるのが待ち遠しかった程に。


「本来なら領内から一生出れない身の上の私だ。それが、王都でかけがえのない友が出来た。まるで夢のような5年間だったよ。だが私も・・・20になったんだ。夢から冷めなければ、辺境伯が決めてくださった方と家庭を持って、領で暮らす。元の生活に戻るだけだ。」

そう言って立ち上がり、周りを見渡せば、本来なら顔を拝めない様な身分高い人達ばかりに囲われている。チャールズにとって此処は絵本の世界のようにキラキラした世界だった。

「ありがとう。さようなら」

そう笑顔で言うと勢い良く、窓を開けて飛び出した。ここは2階にある部屋だが、そんなのはおかまいなく、バルコニーを超えて、近くの木に飛び移りスルスルと降りて行った。


「まて!!!チャールズ!!!」

その後を慌てて殿下が追った。チャールズと出会ってから、山猿のようなすばしっこさに付き合っているうちに、このくらいの距離であれば飛び移れるくらいにまでなってしまった。周りにいた公爵達はその姿に、はっとしてバルコニーに駆け寄り見れば、チャールズはあっという間に広い庭を走り抜け、すでに向こう側の渡り廊下にまで行っていた。


一回こちらを振り返ると大きく手を振って言った。

「じゃぁな!!!」

「チャールズ!!」

服がボロボロになりながらも降りて駆けていた王子は間に合わなかった。庭園の真ん中で叫ぶも、また走り始めたチャールズに追いつける者はココには誰にもいなかった。

「逃げ足だけは早いよな。」

バルコニーで見ていた者達のうちの誰かが、呟いた。

もう2度と会えない、かけがえのない友の最後の姿だった。


「なんでだよ、俺の心をかき乱すだけかき乱しといて。逃げやがって。」

乱暴に額にたれる汗を袖で拭いながら、王子は苦しそうに呟いた。


自分の身分がこれほどまで憎らしく思った事はなかった。王都から殆ど出る事ができない自分では、おいそれとチャールズがすむ遠い辺境伯の領地へ追いかけれない。



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