2 戦争の予感
午後の稽古を終えた時、師範達から弟子達に集合するよう指示がかかった、和尚から弟子達に話があるようだ。
稽古の後でフラフラになった珍念達も集まった、疲れ切っていた像念は愚痴をこぼしていた。
何かあったんだろうかと弟子たちがざわめく。
珍念達の他にも多くの弟子達が居て疲れているのは皆同じだったが和尚が現れ皆静まり返る。
和尚の話が始まった、この時代徳川が関ヶ原の合戦で勝利し徳川優勢の天下になりつつあったが、
まだまだ各地で小さな戦が続きこの雲弘寺も近々戦に駆り出されるかもしれないという話であった。
豊臣側がこのまま黙っている事は無いであろうと雲弘寺の和尚も予感していた。
過去何度も雲弘寺は戦に駆り出されたが珍念達はその頃まだ十分な訓練を受けていなく戦うことは無かった。
もし、徳川と豊臣がもう一度戦になったら雲弘寺は近隣の豪族たちと共に戦に駆り出される事になり珍念達三人も出兵することになる。
像念を含む多くの者は戦になることを怖がっていた。
だが留念は違った。
「だがな、これは良い機会じゃぞ!、もしもう一度戦があるとすればそれが最後になるじゃろう。」
「だからそこで名を上げるんだ!。」
「留年は出世することばっかだなぁ、その内命を落とすぞ。」
「出世せんと一生惨めなままじゃぞ、俺らみたいに身分の低い者は。」
「いざその時になって足元救われんように稽古に励むんじゃ!」
そんな話をしている間にも和尚の話は進む。
近隣勢力の状況の話とやはり戦に駆り出されるかもしれないとのことだ。
留念はやる気に満ちていた、そして和尚はもう一つの話をした、どうやら他所から稽古をつけてくれる人が来るらしい。
その人は優秀な人で重役の世話から武道まで幅広くこなす達人らしい。
そんな人物から外の事や武道を学べるのならますますチャンスだと思う留念だった。
話は終わり弟子たちは宿所に戻っていった。
弟子達の部屋は数人一部屋で夜は丸太を枕にして寝る。
「なあ、本当に戦は起こるんだろうか…」
「もしそうなら怖いなぁ、数年前の戦に駆り出された者も帰っては来なかったからな。」
留念のように戦う意思のある者や争いで命を失うことに怯える者。
戦から生きて戻っても情緒不安定になった者など考えれば悲しいことばかりである。
だが、今ここで深刻に話し合っても仕方ないため弟子達は明日に備えて寝ることにした。




