大丈夫
その後、俺とユウトは改めて自己紹介をすることにした。
「じゃあ俺からするね。俺は剣崎 緋色。
出身は日本、歳は17歳の高校生だった。俺のことは好きに呼んでね!」
「じゃあ剣崎くんで!」
「うん!」
『なんか友達っぽいことしてるな〜』
と心がじーんとした。
「ユウトは俺に対して何か質問ある?」
「……じゃあさ。答えたくないのなら答えないでいい。それでも聞いておこうと思う事がある。」
「なに?」
「剣崎くんはどうやってこの世界に来たの? 」
「それは…どういう…」
「あ、ごめん、聞き方が下手だったね。うーん…
どうしてこの世界に転生してきたのって言ったほうがいいかな?」
「あーそういう意味か……結構重たい話だけど聞いてくれる?」
その後俺は転生する前の事、転生した後の事などを話した。
「まあ、こんな感じで今に至るって感じだよ。」
「………剣崎くん。」
「ん?どうしたの?」
そう言って顔を上げた瞬間だった。
ユウトが俺にハグして来た。
「ユウト!?何してんの!?」
ユウトの声が涙声になってこう言ってきた
「……辛かったね。…安心して、
僕は何があっても剣崎くん友達だよ。絶対にこの約束は"壊れない"!」
その瞬間、体が光出し、その光が体の中にスッと入って行った。
「今何したの!?」
「言ったでしょう?僕の能力?【手に持った物が壊れない】ってやつ。あれなんか概念にも適応できるみたいで…なので僕と剣崎くんの約束が壊れないようにしました。」
「そんなことができるの!すご!じゃあこれからよろしくね、ユウト!」
「うん!こちらこそ!」
「さあ、ユウトの番だよ、自己紹介よろしく。」
「うん!では改めて僕の名前は朱居 優人。出身は同じく日本、歳は27歳の料理人だった。名前は好きに呼んでいいよ。」
「じゃあユウトで!」
「了解!」
「というか俺より年上だったんだ。」
「そうみたいだね、でも元の僕はこんな大柄の体格じゃないしどっちかと言ったらヒョロガリだったよ」
「へー」
「で、僕に対しては質問はある?」
「…じゃあさっきユウトが俺にして来たのと同じ質問で、もちろん答えなくてもいいからさ、」
「……そっちも明かしてくれたからにはこっちも明かさないとだよね。いづれ話さないといけないと思うから、それは早い方がいいかな…聞いてくれるかい?」
「もちろん!」
そしてユウトは自分の転生する前の話を始めた。
僕が生まれた家は裕福な家でその分両親も厳しい人で完璧主義者だった
優人の親は実業家の社長だった
「優人!なぜこんなこともできない!」
「…ごめんなさい。母様」
「くれぐれも朱居家の恥さらしにならないように」
「はい……」
基本的な礼儀からまるで舞踏会に行くのかという振る舞いまで叩き込まれた。自分の意識や意見を全て押し殺し、親の操り人形に成り果てていた
そんな生活を続けてとうとう大学生になった。
ろくな夢すらも持てない人生を送ってきた
「将来は家業を継がせる」という親の意思をそのまま受入れていた。
だがそんなことを全て忘れされるほどの衝撃がユウトに訪れた。
それはなんとなく入ったレストランでのことだった。
そこでなんとなく注文したハンバーグが優人を操ってちた糸をほどいたのだ。
「なんだ!この懐かしいような温かい味は…!」
そしてハンバーグを食べ終わった後に優人は思い立った。
「僕、料理人になりたい。僕の料理で誰かを驚かせて、心が温かくなってほしい!!」
そう思ってしまった。
もちろん両親は猛反対した。
「私達の今までの努力を踏みにじる気なの!!」
「お前はおとなしく私達の言う事を聞いて首を縦に振っておけばいいものを!!」
「でも僕はみんなに料理を振る舞いたい!!」
「もういい!!お前は朱居家の人間ではない!!どこかで野垂れ死ねばいい!!」
「……わかりました。」
その後優人は朱居家を破門になった。
その後大学を中退し、アルバイトを掛け持ちしつつ、料理人になるための勉強をした。
そして月日が流れてついに料理人としての資格と資金そして腕を手に入れた。
「よし…これで料理人になれる…」
そして無事に自分の店を構えることができた。
「『従業員募集中』っと、これで来てくれたらいいな…」
その後店は繁盛とまではいかないが
「おいしかったです!」と言ってもらえるほどまで成長した。
その後無事に従業員を確保して安定して店を回せるようになった頃だった。
従業員の一人が
「店長ちょっと書類に署名してもらってもいいですか?」と尋ねて来た
「何の?」と聞くと
「実は、自分の事業を立ち上げてみようと思って…その証明に誰かの署名が必要で…お願いできませんでしょうか?」
彼は従業員のなかでも特によく働いてくれた。
ならその頑張りに応えてあげたい。
「いいよ!サインしよう!」
今思えば、この判断が駄目だったのかもしれない。
僕は書類に署名した。
そしてしばらくして彼は自分の事業に専念するといいレストランの従業員を辞めた。
そしてそれからしばらくのことだった。
いつものように店で料理を振る舞っていた時だった
「ここに朱居というやつはおるか?」
と強面の男が詰め寄って来た。
「はい。私ですが何か?」
「おお、お前か!◯◯さんの連帯保証人か」
「はい?」
その名は辞めていった従業員の名前だった
だがそんなことは問題じゃない問題なのは
「連帯保証人?」
「おう。◯◯の借金の連帯保証人。ほら、ここにお前の署名があるだろう?」
「そんな署名した覚えはな…」
『ない』と言おうとした。言い切りたかった。
しかし記憶にあるのだ。ある書類に署名した記憶が
『まさかあの時か…』
「何言ってるかよくわからないが◯◯さんが音信不通になったから朱居さんが借金を返済してくださいな。」
「借金…いくらですか?」
「四億円です」
「四億円!?」
「払えますよね?もし払えないならこの店を差し押さえしないとならんけど。」
「何だって?!」
「とりあえず今ある金使って音沙汰なしになったときからの分払ってもらわんと。」
「それは一体いくらですか?」
「それは具体的には言えませんけど、とりあえず払ってください。」
僕は直感的に感じた。
『あ、これ闇金ってやつかも』
「払えません。まずそんな大金ありません!」
「なら仕方無い。すいません!お客さん方今からここを差し押さえするんで出てってください!」
「な!何してるんですか!」
僕の言葉を無視して男はこう続けた
「よし、お前ら!入ってこい!」
その言葉が響くとともに店内にぞろぞろと大柄の男達が入ってきた
「何のつもりですか…」
「お前ら!やれ!」
次の瞬間店の机や厨房の中の道具をどんどん荒らし始めた。
「なにしてるんですか!!!」
「そりゃああなたが払えないと言ったので私達なりの"差し押さえ"をしてるんですよ」
「◯◯さん!金庫ありました!」
「そうか!持っていけ!」
「ふざけんな!」
そう男に飛びかかろうとした。
しかし力でかなうわけもなく僕はふっとばされた。
「やめ…ろ…」
そこで意識を失った
そして次意識が戻った時には男達は居なかった。
店は元の面影がないほどになっていた。おそらくもう復旧はできない
「おい!店長が起きたぞ!」
「皆さん!大丈夫ですか?」
「はい、みんな無事です。」
「よかった。」
「みんなごめん。僕が不甲斐ないばっかりに…」
「でもこの有り様じゃあ…」
「……」
「給料が払ってもらえないじゃないですか!」
「……え?」
「てことで俺達今日限りで辞めます。」
「ちょっとまって!どうゆうこと!?」
「だって稼ぎがいいからこのレストランに勤めてただけなのに給料が払えないならいる意味ないじゃないですか!」
「そんな…」
「店長はそうだったかもしれませんが俺達は一度も"仲間"だなんて思ったことないですから」
「待ってよ…!」
その言葉も従業員には響かなかったらしい
そして僕は全てを失った。
そして一日中厨房に座り込んでいた。夜になった。
そこで僕は思い立った。
『一人になれば楽かな…』
僕は残っていた油を全て巻いた
そしてコンロの火をつけて油を伝わせた
火の手が一瞬で店中に回った
しかし優人は動かなかった。
憔悴しきった顔で引きつった笑いをみせた。
『続いてのニュースです。◯◯市の◯◯町でレストランが全焼。中から一人の焼死体が見つかっています。警察は放火事件として捜査を……』
「とまあこんな感じに転生してきたんだよ。だからまだ仲間って言葉には抵抗があるんだ〜」
ユウトは明るい声で説明したが仮面の下は笑っているような気がしなかった。
「ユウト。」
「ん?どうしたの剣崎くん?」
俺はユウトの頭を撫でた。
「よく、がんばったね…」
「………ありがとう、剣崎くん。」
そして俺達は一日中話をした。




