表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アニマルメモリーズ  作者: syun
一章 
4/5

三話 探索

7月から一日一話ずつ投稿したいと思います。

ぜひ読んでもらえると嬉しいです!

部屋に広がる嫌な匂い。


そして、部屋に広がる嫌な香り。


あと、口の中に残る生臭さ。


少し人間に戻るんじゃないかって期待はしていた。


もしかしたらあれが悪い夢で意外と目が覚めたら人間なんじゃないかって。


でもどうやら現実らしい。


それを知らしめられてしまった。


目を開ける。


どうやらさっきまでは付いていなかった明かりがついているらしい。


カーテンを見ると外は真っ暗に見えた。


この明かりにはなんとなく懐かしい気持ちが感じられる。


たぶん前世の俺の部屋の明かりに似ているからだろう。


少し前のことなのに変な感じだ。


周りを見渡してみる。


どうやら寝る前とはあまり変わらないみたいだ。


(うっ、、。)


まだやっぱり生臭い。


早く水飲まないと。


というかまだ水飲み場的なの見てないかもしれない。


探すしかないか。


というかたぶんまだ自分の意思では歩いていない。


歩き方はさっきので覚えた。


実際の猫の動き方。


筋肉の動き、関節の動き。


これから必要かもと思ってなんとなく覚えている。


自分の先読みは素晴らしいと思う。


筋肉を動かす。


動かない。


人間の時とはなんとなく起き上がり方が大きく違うのかもしれない。


試行錯誤する。


(この体勢か?)


違うようだ。


(それともこの体勢?)


違うようだ。


(じゃあこれか?)


俺はハッとする。


(この感覚だった!)


最初起き上がった時はこんな感覚だった覚えがあった。


ここまでに試行錯誤しまくった。


きっと、前世の運動不足の俺なら筋肉痛になりそうなくらい足を酷使した気がする。


起き上がってみる。


すると、少し震えながらも起き上がることに成功した。


(やった!誰か褒めてくれ!)


まぁ褒められるわけないか。


それじゃあ歩いて探しに行くか。


(あ?)


あれ、どうやって歩くんだ?




一悶着あったが俺は無事よちよち歩き始めた。


本当に赤ちゃんになった気分である。


とは言えこうして探して行く中で少し慣れた。


ダッシュとかはできないが、それでも普通ぐらいには走れるんじゃなかろうか。


そこには一分間で10m進む猫の姿があった。

(備考:猫の平均の歩く速さ 分速80m)


とはいえ、今は夜9時半、探し始めは確か9時くらいだったと思う。


その中で面白い気づきがたくさんあった。


まず飼い主の家族について。


どうやら家族は妻と子、だった。


それは棚の中にしまってあったアルバムからわかった。


どこかの遊園地だろうか。


ジェットコースターの前で撮っているように見えた。


子どもの方はたぶん幼稚園、小学生ぐらい。


妻の方は推測だが30代に見えた。


棚には他に大きなアルバムが一冊あった。


隙間が空いているとこもあり、本当に空き巣にでも入られたんじゃないかって思った。


次にこの家には2階があるということ。


なんかうん。いい家住んでるなぁって思った。


最後にこの飼い主の優しさ。


ベランダに行くところにバリケードが置いてあった。


まぁだいぶ低いが置いているのは猫の命を気遣っている証拠だろう。


正直、こいつの優しさはなんか疑念しか感じないけど。


目的の水の場所はまだわかっていない。


正直気持ち悪いから早く飲みたい。


探すか。


まだ2階には行っていない。


階段登るか。


ゆっくりと、ゆっくりと。一つ一つ丁寧に。


いつもより大きい階段に見える。


でも意外と楽なようには思えた。


登りきった。


少し疲れた。


なんとなくの精神的疲労を感じる。


何はともあれ、苦労するかと思ったが、意外と簡単にいけた。


周りを見渡す。


2階は意外と狭かった。


そこにはたくさんの洗濯物があった。


その少しツンとくる匂いがある。


まぁ下の方よりずっと息がしやすい。


あれ?


なんか嗅いだことのある匂いがする。


トラウマになりそうな匂い。


つまり、あの餌の匂い。


俺は何を思ったかその匂いに近づいていく。


匂いと生臭い味で吐きそうにもなる。


(うっ、!)


吐いてしまった。


でも見つけた。


水。


すると後ろから音が聞こえる。


ドンッ、ドンッ。


そう、等間隔に聞こえる。


階段を登る音だとすぐにわかった。


俺の周りを見る。


(あ、。)


吐いたものが衣服に付着している。


飼い主の姿が見える。


どうやら階段は終わったらしい。


だんだんとこちらに近づいてくる。


手には器が握られている。


水だろうか?


「おい!」


あ。


どうやらバレてしまったらしい。


器が落ちる音がする。


それと同時に水の音も。


それはもう大きな音。


隠す方法は、、もう遅いか。


俺はだんだんと持ち上げられる。


腹部に大きな衝撃を感じた。


俺は残っていた物全部吐き出すぐらいの勢いで吐いた。


そりゃ、お腹いきなり押されたら吐くに決まってる。


その上、その状況が吐きかけの限界の状況だったら。


「は?」


俺は飼い主に投げられる。


(え?)


正直猫なら可愛がってくれると思ってた。


しかも優しいやつだと思ってたから。


どうやらそれは勘違いらしい。


動物に優しくできない人が優しいわけがない。


例えばあのバリケードをこいつがやったと前提していたのがおかしかったんだ。


あっ、地面が。


(痛っ、くない!?)


少し驚いてしまった。


どうやら着地とかは本能でやってくれるのかもしれない。


とは言え、水が飲みたい。


でも行く通路は塞がれてしまった。


あっ。


水が散らばっている。


床に。


おそらくさっき男が持っていた器に入っていた物。


(やばい。飲みたい。)


(ダメだ。やめろ。)


(まだ人間としてそこまで落ちちゃダメだ。)


(いや、でももうこれ以上この味に囚われたくない。)


なんとなく自分の中で意見が乖離している気がする。


どうやらたぶん今俺は飲むほうが正解ととったらしい。


目の前にある今必要なものを。


床に散らばった水を飲む。


正直何も考えられなかった。


人間として、とかもう考えていなかった。


俺はもう猫の脳になっちまったのかな。


だとしたら速すぎるだろ。


なんとなく口の生臭さは減った気がする。


それと同時になんとなく自分が減った気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ