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アニマルメモリーズ  作者: syun
二章
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六話 果て

無。

彼の今の状況を指すに、この言葉一つで十分である。

彼は今、心と体両方でもう立てなくなった。

諦めの境地。

その間にも砂嵐は近づいてきた。

声は前の時とは違う。

ハイエナだ。

一頭や二頭ではない。

彼からその数を数えることはできないほどだ。

口元には粘りついたよだれがダラダラと滴り、剥き出しの牙が、太陽の光によって輝かされていた。

もう、彼は逃げることはしなかった。

逃げない俺を彼らはまるで当然のように食らう。

お腹が熱い。

もうそんなこと気にする余裕もないほど、痛い。

サボテンなんて比べようがない。

熱い、痛い、熱い、痛い、痛い、痛い。

また彼は死ぬのだろう。

お腹から溢れた血とそれに集まるハイエナ。

自然の摂理を感じさせる光景だ。

でも自然にはときに、その立場が逆転することがある。

それは予想外のことが起きたとき。

俺はハイエナがかぶりつく感覚なくなったことに正直安堵した。

もう死にたくなかったから。

ただ違和感はある。

なんでまだ殺さないのか。

その答えはすぐにわかった。

ラクダだ。

俺とは違う別のラクダ。

そいつがハイエナを殺しているのだ。

正直、ラクダにもハイエナにも恐怖しかない。

でもこのラクダはなぜか安心できた。

ハイエナが次々と死んでいく。

ラクダ自身の強さは俺も経験した。

まぁ草食が肉食に下剋上することもそりゃあるか、なんて呑気なことを考える。

でも俺はハッとした。

このラクダは確かあの連中の中にいた。

人間の時はラクダ同士、見分けはつかなかったが、今は不思議とわかる。

一度は俺を殺したはずだ。

なぜ助けてくれたのだろう。

俺は死ぬように眠った。

実際死ぬのかな?

そう自分に投げかけながら。

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