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WORLD)SOUL(WORLD   作者: 六等星
京葉編
38/39

36 進む道

━分かったぜリンさん!ダイの気を逸せばいいんだな!?━


「『天地踏破』で空を飛び回ろう!」

━羽虫のように鬱陶しく纏わりついてやりましょう!━

「味方サイドのボキャブラリーじゃなくないそれ。」


━推進力は俺に任せな!お前らは死ぬ気で俺を制御してみせな!━


エンジンから噴き出す炎は青く染まっていき、加速していく。


━『ジェット・プロップ』!━


「『天地踏破』!」


80度の角度で空へ飛び立つ。目下には破壊されたアクアラインと全てを壊そうとするダイの姿があった。


━来るぜ!構えろ!━


八代は左右にアウトロードの体を制御して、UFOのように不規則に動き回りダイの攻撃を避けた。


━危ない!『天地踏破』!━


飛んできた砂岩を避けるため、ガイードが咄嗟に飛び出て軌道を逸らした。


━うわっ…これ風圧が…すごいですね!━

「やっと分かったか!俺はもう慣れたけどな!」

━やっぱり籠もります…。━

「今はガイードに助けてもらわないとまずいから!出てこい!」

━冗談ですよ。私の完璧なドラテクをお見せしましょう。━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━「魂装Ⅴ、装着完了。」━


千装隊長の両腕には巨大な電磁砲が、背中には反動を抑えるための固定器具が取り付けられた。


"━「まもなく攻撃だ。ダイの近くに居る者はすぐに離れろ!」━"


「チャージ完了です!」

「こっちも!」


━疲れた…。━

━限界まで溜めました。後は頼みますよ。━


━「ああ。2人ともありがとう。」━


千装隊長は狙いをダイの中心に合わせる。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「グオオオオアアアアアッッッッッッッッ!!!」


ダイは聞く者の細胞一つ一つを強く震わせるほどの雄叫びを上げ、噴き出す砂の柱を8本掴んで束ねた。それは大地を叩き割る大剣のようになって天に掲げられる。


「アウトロード!あれ壊すぞ!」


━言わなくても分かるわボケ!━


彼らは臆することなくその大剣に向かって全速力で飛んだ。大剣の真上に飛び上がり、アウトロードは先に八代とガイードを投げ、自身も下に向かって落ちていく。


「『天地貫槍』!」━『天地貫槍』!━

━『ジェット・ドロップ』!━


3つの攻撃は槍のように大剣と衝突する。3人は一点に力を集中させ……遂に小さな亀裂が入った。

槍は大剣を天から大地へ打ち砕く。ダイは大剣を失った衝撃でよろめき、一歩後ろに下がった。その一歩は、とても大きいものだった。


「やった!」

━やりましたね!━

━っしゃあ見たか!━


だがダイもこれでは終わらない。アンへの愛を、アンを失った憎しみを、全てを破壊する決意を、全ての力に変える。

ダイは自身の体の質量を以てして、千装隊長に襲いかかる。どんな反撃を喰らおうとも構わない、しかし被害は1番の命懸けの攻撃だった。

襲いかかるダイに対して、千装隊長は動じなかった。ダイを倒すことを、皆を守ることを強く決意していた。仲間を信じていた。


「…!?」


ダイの攻撃は逸れた。ダイは苦しそうな様子でうめく。


━時間差攻撃、と言ったところでしょうか。━

「よし、効いた!」


先ほど投げられたのは塩素ガス。ダイに千装隊長とライフブレイカーの一撃を放つ大きな隙を作るため、5thとエレクトロが海水を電気分解することで作り出したものだ。

千装隊長は背中の固定器具を作動させ、床のコンクリートに食い込ませる。両腕についた全てを貫く巨砲が目覚める。


━「出力測定不能、反動抑制装置作動、発射用意完了。これは当たる。」━


砲口が唸る。


━「行け!」━


魂、隊員たちが叫ぶ。


━行け!リンさん!━


魂は相棒1人につき、1体分の力しか使うことはできない。それは覆すことのできない理。だが今は千装隊長1人に『電気』の魂、エレクトロ、『磁石』の魂、マグネシア、『装甲』の魂、ライフブレイカーの3体分の力が加わっている。

千装隊長とライフブレイカーは理を超えた。


━「理超(コトワリゴエ)」━


砲口は青白く光る。


━「『電光磁操破』!」━


空間を貫く一筋の光は、ダイの中心を撃ち抜いた。ダイの砂は消え去るように崩れ壊れていく。

ダイは消えゆく中、自身を貫いた光の残穢を見つめていた。


「あれが…理超…。」


ダイは目を閉じた。


「ごめん……なさい。」


ダイは暗闇の中で、柔らかく、温かい2本の何かに抱き締められた。泣けない中、彼は泣いた。




「やっ…た…。」


千装隊長は全身の力が抜け、倒れ込んだ。魂装が解けた肉体の至る所に傷があり、出血箇所も多数見受けられた。


「千装隊長!」

「勝ったんですよ、俺たち!」


1stと5thに支えられて、千装隊長は笑みを浮かべた。


「…ライフブレイカー?」


先ほどまで自身の腕と背後にいたその存在を思い出し、辺りを見回した。そこには黒煙を上げ、火花を散らしながら停止していたライフブレイカーがいた。


「ライフブレイカー?おい!」


千装隊長は必死にライフブレイカーを揺らした。幸いにも消滅には至っていない。だがそれでも深刻なダメージを受けていた。


「…まさか反動を殆ど受けて!?」


━肯…。━


「だとしてもそんなになるまで!私だってまだ受け止められ」

━皆で…━


ライフブレイカーは、自身の言葉を綴った。


━無事に、帰りたかった…から。━


千装隊長はその言葉を聞いて、目をつぶって額を焦げた体に当てた。そして笑みと少しの涙を浮かべて、ライフブレイカーに触れた。


「…ありがとう。私たちは、無事に帰れる。」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

崩れゆくダイを眺める八代とガイード、そしてアウトロードは座り込むことも、倒れ込むこともなくただ立っていた。


"「皆さん!アンの鎮圧も済んだそうです!」"


「そうか…じゃあ、終わったんだ。」

━ええ、私たちの勝ちです!━


━ああ。━


アウトロードは考えていた。八代とガイードは勝利の喜びを分かち合いたかったが、そうすることなく、黙っていた。


━シンイチ、終わったぜ。━


アウトロードは胸に手を当てようとしたがそれをやめ、空を見た。


━復讐はやめだ。お前だってハナから望んでなかったんだろうな。でも俺は今、すげえスッキリしてんだ。だって…━


アウトロードは前を向いた。


━進む道が見えたからな!━

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