34 超速急行!
少し前、アンが暴走意志となって東京湾に繰り出した後の2号車。
「まずいぞ、僕たちも追いかけないと!皆出動車に乗れ!」
1stが促しに従い、皆出動車に急いで乗り込む。ただ、アウトロードは乗ろうとせず、それどころか出動車の前に立って道を塞いだ。
「アウトロード!何やってんだ早く乗れ!」
━時間がないんですよ!━
━お前ら馬鹿だな。そんな出動車でチンタラ走ってて間に合うとでも思ってるのか?━
「飛行機も船もないしこれに乗るしかないじゃん!」
━乗り物を変えろって言ってるわけじゃねえ。エンジンを変えろって言ってんだ。━
「エンジンってお前まさか!」
━そう、俺が引っ張った方が絶対速い!頑丈なロープはあるか?━
「救出用の金属製のロープがあるけど、どう使うつもりだい?」
「出動車に通した後、左右を僕とマグネシアが『テスラ』で挟み込めば固定できるはずだ。」
「やってみる価値はあるな。よし、早く回せ!」
SST8はその一見奇天烈に見える作戦を許諾し、すぐにロープの固定作業に入った。1分ほどで作業は完了し、いつでも出発可能な状態となった。
「ちょっと、本当にこれ大丈夫なんですか?」
「俺らも不安なんですけど…。」
「彼の言う通り確かにこのままじゃ間に合わない可能性が高い。一か八かでもやる価値はある。」
「よっしゃ早く出よう!」
━そうこなくっちゃなあ!行くぞお前ら!━
アウトロードはエンジンを吹かせて一歩踏み出す、そして一歩、一歩、一歩一歩と加速していき、出動車のタイヤとアウトロードの脚の回転数はどんどん増えていく。
━乗ってきたぜーッ!━
速度は出動車の最高速度に迫る。5キロ…4キロ…3キロ2キロ1キロ…0キロ、そして遂にアウトロードは出動車の最高速度を超えた。
「超えたぞアウトロード!君の方がこれより速い!」
━ったりめえだ分かりきったこと言ってんじゃねーよ!━
アウトロードは嬉しそうにそう答えた。だがそう喜んでいられるのも束の間、目の前に急カーブが差し迫っていた。
「このままじゃぶつかりますよ!」
「俺たちでなんとかしよう!ガイード!」
━ええ!━
八代とガイードは車両から身を乗り出し、地面を直接触れずに掴んで溝を作り出し、そこにタイヤを嵌めることでなんとかカーブを曲がりきった。
「どこを走ってんだァ!?」
「溝落とし!」
━掟破りの地元走りですよ!━
そのまま荒々しくも速い運転で誰もいない異世界の高速道路を走って行く。途中で全体に連絡が入った。
"「全員に連絡します。現在、1号車は海ほたるにてダイと戦闘中。アンが来るとしたらここです!」"
"「了解。もう少しで異世界に入れる。もしアンが来たらその時は命を優先して動くんだ。僕たちがアンはなんとかする。」"
"「こちら…2号車!現在海ほたるに向かっています!うわっ風圧が!」"
3rdは姿勢を崩した4thを引き込み、ことなきを得た。
"「何があった2号車!」"
"「大丈夫です敵襲ではありません!すぐそっちへ向かいます!また後でお会いしましょう!」"
4thは端末をしまい、再び席についた。
「さっきはありがとうございました。」
「とんでもない。」
「にしてもこの速度、どうやって出してるんですかね?」
「アウトロードはさっき、自分を乗り越えましたから。」
━敵を乗り越えるより、自分を乗り越える方が難しいのかもしれませんね。━
「まだ敵乗り越えてないけどね。」
━あ、そうでした。━
「アウトロードと千速くんのことは聞いたことがあるよ。そのことを千装隊長がずっと気にしているのもね。」
━知ってたんですね。━
「まあね。でもそれは僕たちが深く踏み込んでいい話じゃない。千装隊長が何をするにしても、僕らはサポートする。それが役目だ。」
「Special Support Team 8だからね。」
「あれ、Sen Sou Taityo daisuki club Top8じゃ」
「今は前者だよ。あんたも興味あるのかい?ならば今度」
「結構です!千装隊長について語り尽くすには人間が生み出した言葉如きでは不可能だと思っておりますので!」
「な…そ、そういう考えもあったか。」
「盲点だった…!千装隊長について語るには人間の作り出した言葉など無力に等しい…!」
「君、やっぱり素質あるね?よかったら僕らのところに入らない?」
「結構です!!!同担拒否ってことにしといて下さい!!!」
━ちょっとタンマふざけるな!ちゃんと抑えてくださいな!━
「ふざけてるとは心外だな。でも大丈夫、ちゃんと抑えてるよ。」
八代がSST8に詰め寄られながらも何とかそれを押し返しながら、出動車は猛スピードで突き進んで行く。
━またカーブだ!頼んだぜ!━
「了解!」━お任せを!━
さっきと同じやり方でカーブを曲がろうとする。手を出して溝を作り出しはめる。なんとか曲がりきったと思ってリラックスし、足を伸ばしたその瞬間。
「うわっ!」━きゃっ!━
カーブを曲がりきった直後に出動車が大きくて跳ねた。八代とガイードは落ちかけたが、3rdと8thが手を握って引き込んだ。
「大丈夫かい?」
「俺たちも助けられたな。ありがとうございます。」
━ありがとうございます。━
「デカい段差があったようには見えないけどなあ。」
8thが後ろを振り返るのを八代とガイードも真似て後ろを見た。そこには確かに段差はなく、平坦な高速道路があるだけだった。
━なんだかさっき、"ない道"を走ったような感覚がありました。━
「やっぱり!でも何かがあったんだよな。」
「幽霊でもいたのかもね。」
「ええ怖い話は嫌です!」
「はいはいごめんね。」
「〈もしかして…〉」
━〈新しい力、ですかね?〉━
そして遂に、東京湾アクアブリッジに差し掛かり、海ほたるを前方に捉えた。
「もうアクアライン!?やるねアウトロード!」
━まだまだ行けんだぜ!ただこの後の戦いに備えて温存してる!━
「よし、このまま突き進めば…!」
皆が目標を前に鼓動が高鳴り、緊張が走るのを感じた瞬間、アウトロードは減速を始めた。
━まずい!橋が落ちてやがる!━
その声に驚いて前を見ると、そこは確かに砂と共に崩れている橋があった。
━俺じゃ止められねえ!おいなんとかしてくれ!━
「ブレーキだ!ブレーキを踏め!」
しかしブレーキを踏んでも間に合いそうにない。穴はすぐそこまで迫っていた。
「もしかして…さっきの"ない道"、使えるんじゃないか!?」
八代は足を出動車から伸ばして出し、力を込めた。すると出動車が瓦礫を超えて跳ねた。
━今のってさっき私たちが感じたやつですか?━
「ああ。今のは足から出てた!『天地貫槍』の足バージョンだ!」
━確かに、どうして手から出せて足から出さないと思い込んでいたんでしょうか。━
━クソっ!まずい落ちる!━
「くっ…総員離脱」
「しなくて良い!」
1stの指示を遮るように八代が腹の底から叫んだ。
「走れアウトロード!全力で!」
━…策はあんだろうな!さっきの礼だ!指示くらい聞いてやるよ!━
「ガイード、俺は左側やるから」
━私は右ですね。いいでしょう、ぶっつけ本番で決めて見せます!━
八代は左側に足を、ガイードは右側に脚を出して力をこめる。2人の目は青緑に輝く。2人の腕は重なる。
━「『天地踏破』!」━
出動車の周囲に見えない、しかしそこにある道ができ、その上を通って穴に落ちることなく駆け抜けた。
「できた!」━やりました!━
━おい今空を飛んだぞ!何がどうなってる!━
「この出動車ってジェット機能あったの!?」
「いや、ないよ。こいつらがやり遂げたんだ!お手柄だな!」
━何か分かんねえけどとりあえず無事ってことは分かった!さあラストスパートだ!━
アウトロードは連絡を入れた。
"━2号車だ!もうそろそろ着くぜ海ほたるに!━"
"「おい待てよもう着くんだから安全運転ってうわあっ!」"
"━これ以上は免停ですよ免停!━"
出動車は遂に暴走意志となったダイの背後に回り込む。
「あれがダイか!」
「なんですかあのサイズ!」
「本当に人なのかい?暴走意志のようだ。」
「あそこで皆が耐えているんだ!行くぞ!」
━案内はここまでだ!このまま手土産としてぶつけるぞ!━
アウトロードは紐から外れて横にそれた。
「全員行くぞーッ!」
1stの呼び声に応え、出動車から飛び降り、ダイの背後に立つ。出動車はダイの体に衝突し、その衝撃と音で気がついたダイは振り向いて雄叫びを上げた。
「2号車、ただいま到着しました!」
最近知ったんですけど、ポイントというものがあるんですね。ブックマークは1人、評価は☆5をつけてくれていた方がいらっしゃるのを確認しました!わーい!
世間的に見たら少ないとは思いますが、それでも応援してくださっている人がいるということは本当に、心の底から嬉しい限りです。ありがとうございます。
もし良かったらどんどんコメントや反応をいただけると本当に励みになります。この作品を読んで思ったことを、正直に書いて頂いて構いません。面白いと思ったら面白かったと、カスだと思ったらお前の作品は山岡はんの鮎だと書いてください。(暴言は傷つくのでやめてください…)
これからもどうぞよろしくお願いします!がんばります!




