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WORLD)SOUL(WORLD   作者: 六等星
京葉編
32/39

30 HAZARD

「ったくデカすぎんだろ!」

━まさに巨兵だな。━


異世界に落ちた隊員たちはなんとか、異世界側の橋の上に立った。


「なんダ、生きていたか!」


━「これくらいで死ぬほど私たちは柔じゃない!」━


ダイは大きくなった腕を振り上げて橋に叩きつけた。その攻撃は橋の片側車線に容易に穴を開けた。


「破壊力上がりすぎじゃない!?」

━( ̄▽ ̄)まともにクらっちゃグッバイだね。━


"「こちら2号車!そっちの状況は!」"


"「こちら1号車!今暴走したダイに異世界に引き摺り込まれた!東京湾アクアブリッジ上!」"


"「現在アンもとい事故の暴走意志が東京湾へ向かった!恐らくダイとの接触を図」"


「させるカ!」


ダイは砂を弾のように発射して端末を海の中に落とした。


「うわっ!」


━「危ない!」━


千装隊長は4thの足と背を持って抱き抱え、ダイの攻撃から守った。


━「大丈夫か?」━


「えっ、好き…じゃなくてありがとうございます!2号車からの連絡の様子だと、アンがこちら側に向かっている可能性があります!」


千装隊長は少し黙った後ダイの攻撃をかわして4thを地面に降ろした。


━「……分かった。」━


千装隊長の目に覚悟が宿る。


━「端末はどうだ?」━


「戻ってます!使用可能!」


━「では黒淵隊長と川崎隊に連絡を入れてくれ。そしてそのことを2号車にも連絡。救援が来るまでは…。」━


「アレを使うつもりですか!?」


━「今使わないでどうする?」━


「…分かりました。命は残してくださいよ!」


━「安心しろ。命懸けでやるが失うつもりはない。」━


千装隊長とライフブレイカーは他のどの隊員よりも前に出る。


━「装甲Ⅳ!」━


ライフブレイカーが動き出す。


━「ぐっ…ああああっ!!!」━


肉体は全て覆われ、背中には飛行装置が取り付けられ、重厚だった装備が圧縮され、よりスタイリッシュになったものの、それは千装隊長の命に食い込む。


「その姿…やっとホンキをダしたか!」


『装甲』の魂、ライフブレイカー。命の破壊者の名を冠するその魂は戦闘能力がスタビライザーでもトップクラスに高い。だがその破壊される命の対象に、どうして相棒が入らないであろうか。

装甲Ⅳは強い意志を抱いている状態の上で、更に生命エネルギーを消費することで使用可能となる。それは当然、長時間使用すれば千装隊長に大きなダメージが残る。彼女にとって最大の敵は、自分自身なのだ。


千装隊長とライフブレイカーはダイの腹部の横に向かって飛んでいき、通過する直前で右腕から剣を出した。


━「『斬撃』!」━


剣がダイの砂でできた体に当たる。だが剣は砂の中を通過しただけで手応えはなかった。


「ただのキル攻撃など!」


━「斬"撃"だぞ。まだ斬られただけだろう?」━


剣が通り過ぎた場所が炸裂し、砂が少し溢れ出て海に落ちていく。


「(二段階のコウゲキか!)」


━「『打開』!」━


ダイが振り返った直後に巨大なハンマーがダイの体に沈み込む。そして次の瞬間、砂はまるで水面に石を落としたときのように飛沫をあげて落ちた。


━「『貫破』!」━


「(砂をケズり切るつもりか…馬鹿め、僕の意志はそんなので底をつくほど)


柔じゃない!」


ダイは背中から岩のようになるまで固めた砂を千装隊長とライフブレイカー目掛けてガトリングのように発射する。


━「遠距離攻撃!ぐっ…」━


それは直撃したように見え、粉塵が宙に舞う。


「フン、所詮ただの小鳥だったか!」


━「『防射』!」━


千装隊長はダイの攻撃で放った砂岩と共に無傷で飛び出た。


「(カウンターを兼ね備えたボウギョ…攻撃だけでなく他も二段階か!)」


━「『突壊』!」━


「ぐっ…があっ!」


鋭い槍はダイの左腕に突き刺さり、衝撃波は砂の腕を大きく崩した。


「ちょこまかと!」


左腕がほぼ使えなくなり、後ろに下げて修復しながらもダイは怯むことなく攻撃を仕掛ける。宙に飛ばした砂の塊たちは千装隊長とライフブレイカーを包み込む勢いで手を伸ばしていく。


━「『斬撃』!」━


千装隊長は右腕の剣で手を切り落としていくが、全てを捌き切ることはできず捕らえられてしまった。


「ツカんだ!落ちろハエ!」


砂に包み込まれた千装隊長とライフブレイカーは海に向かって落ちていく。だがその砂の中から黒い光が現れた。


━「『削錐』!」━


足に装備を回して砂を削り出てきた千装とライフブレイカーは、そのままダイの顔面にドリルのようなキックを与えた。


「ゔゔヴっ!」


ダイはうめきながら後退し、橋を崩していく。


「まずい、崩れる!」

「気をつけろ!」


━( ̄▽ ̄)ヘイヘイシにたかなきゃツカみな!━

━( ̄▽ ̄)ほらアンタもだ!━

━( ̄▽ ̄)タヨれよケイヨウ。━


オージャたちは橋から落ちそうになった隊員たちを掬い上げた。


「助かった!」

「いい子だね君の魂!」


━( ̄▽ ̄)へへ、それほどでもあるね。━


「しかしまずいな。このままじゃ俺たちはただのお荷物だ。」


「あの戦いにはついていけないね。」


「俺たちも砂には攻撃が効かないからな。」

━先程のように肌を一部露出して頂ければよいのですが、あのような巨体となっては不可能ですね。━


なんとか攻撃を交わし、今どうすべきなのか悩む隊員たちのそばに千装隊長が勢いよく降りてきた。


━「くっ…一時着陸。」━


「飛び回ったらコンドは這い回るのかセンソウ!」


千装隊長はダイの攻撃を瓦礫に隠れたり地形を生かしたアクロバティックな動きで交わしていき、少しすると再び飛び上がった。


「千装隊長のあの姿は?」


「装甲Ⅳ。機動力、火力も上昇するけどとにかく消費が激しい。特にあの飛行が。」


━「『防射』!『打開』!」━


「ぐっ…がアッ!」


「千装隊長の体力が無限にあればあのまま勝てる。でも千装隊長の体力にも上限がある。少しでも節約しないと…負ける。」


SST8は千装隊長のことをよく知っている。それ故に彼女の限界も、そして敗北するビジョンも彼らの豊富な想像力では容易く思いついてしまう。SST8は強靭な精神力で表面上は取り繕っていたが、今、自身がどうサポートするべきなのか必死に考えを巡らせていた。そんな焦燥を追崎が破った。


「…海ほたる。」


「どうしたのいきなり?あ、そういうこと!」


4thが追崎の呟きに声を上げた。


「海ほたるは橋に比べれば高く頑丈な建物。それに使える足場も広い。千装隊長はそこで戦えば飛行による消費を抑えられるんじゃ!」


「その手があったか!やるな。SST9になる日もそう遠くない。」


「俺は特殊に残るんで結構!」


「そうか…残念だ。って、そんなこと言っている場合ではなかったな!では今から俺たちがすべきことは、ダイを前方の海ほたるまで連れていくこと!皆、出動車を使おう!」


「あれ?そういえば私たちの出動車ってどうなったの!?」


「確かダイに引き摺り込まれるときに一緒に落ちていた。」


「え、じゃあ海の底?」


「かもしれないやあそこ!」


6thが驚いた顔で指を差した先には、フックを橋の中央のガードレールに引っ掛け、ぶら下がっている特殊派遣部隊の出動車だった。


「あった!でもこんな機能あったっけ…?」


「んー…あ。」


"「あとちょっとしたオマケも!」"


「行森だ!ノアの方!」

━まさかこんな改造がされているとはな。まあ結果オーライというやつだろう。━


隊員全員と魂で力を合わせてなんとか出動車を引き上げ、すぐに車両に乗り込む。


"「千装隊長、聞こえますか?」"


"━「ああ!聞こえる!」━"


"「装甲Ⅳ、特に飛行能力を扱うのはかなりの消費となり持久で敗北する可能性が高いと考えました。なのでダイを海ほたるまで誘導し、そこで飛行を使わずとも戦えるようにします。私たちも全力でダイの気を引きますが、千装隊長も海ほたるに近づく形で動いて頂きたいです!」"


"「いい案だ!それで行こう!」"


「追崎褒められてるじゃん。」


「ふん。」

━余裕ぶるな。内心嬉しいくせに。━

「お前なあ!」


「じゃあ皆さん行きますよ!ところでそのフックはどう仕舞えば?」


「分からない!私たちの出動車今日修理、いや改造されたばっかりで。」


「じゃあどうすれ痛っ!」


4thの頭に板が落ちてきた。その上には様々なボタンが付いている。


「こんなところにあったとはな。窪んでるこれがフックのボタンか?」

━もしよろしければ私がボタンを押しましょうか?私の大きさ的に適任かと。━

「ああ、頼む。」


エレクトロがボタンを押すとフックは引っ込んだ。


━ビンゴ、ですね。まだボタンがありますが如何いたしましょう?━

「まだ押すな。行森のことは知っている。何があるか分からないからな。」


5thは苦笑いをし、他の隊員もそれに同意するような素振りを見せた。


「よし、じゃあ行くよ!短いけど海ほたるへのハザードドライブ…出発!」

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