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WORLD)SOUL(WORLD   作者: 六等星
京葉編
29/39

27 本気と本音

「おいおいやりすぎだろ…。」

━色々浮いててマジピンチ!━


「防ぎ切って見せる!」


「ガイード、俺たちも!」

━ええ!━


宙に浮いた街灯や縁石ブロック、遮音壁に自動車、ありとあらゆるものが雨のように降り注ぐ。

隊員は8thの盾とガイードと八代が作り出した壁の裏に隠れた。1stとマグネシアはそこから磁力で防げるものは防いだ。


「なんて威力…!」


猛攻に手も足も出せずひたすらに防御を強いられる。


「閃光弾!みんな目と耳を守って!」


7thは何とか突破口を開こうと閃光弾の投擲を試みた。


「ゔっ!」


投げる際に出た腕に瓦礫が当たり、骨が折れるがした。刺すような鋭い痛みが7thの腕を襲う。それでも何とか投げられた閃光弾は瓦礫の隙間を縫ってアンの近くで破裂した。


「閃光弾っ!?」


アンは視覚と聴覚を一瞬奪われたことで猛攻は止んだ。その隙を見逃さずに隊員たちは攻撃を仕掛ける。


「喰らえッ!」

━怨晴らすべし罪償うべし!━


「7thの腕の分!」

「オラアッ!」


━「『ターボ・プロップ』!」━


しかし、アンは崩壊連星の一員。閃光弾一発程度で勝てるほど楽な相手ではない。視界と聴覚が一時的に使えなくなっている状況でも、使い慣れた自動車ならば感覚は自身の手足のように分かっている。アンは右手を横に振ると、大型トラックが突っ込んできた。


先頭に立っていた1stとマグネシアは反発する磁力でトラックとの正面衝突は防いだものの、そのまま遮音壁に背中からぶつかり血反吐と共に跪いた。


「1st!」


「他者を心配している場合でしょうか?」


「させるか!」


1stを一瞬見た3rdの隙を逃さずアンは追撃する。そこを即座に8thが守りに入ったものの、大型トラックとは反対方向から飛んできた自動車3台は盾一枚では防ぎきれずに吹き飛ばされた。固いコンクリートに何度も跳ねて打ち付けられ、苦しい声を上げながら膝に手をつく。


━「ぶっ殺す!」━


アウトロードは一心不乱にアンの目を見て歯を食いしばりながら何度も高速の蹴りを喰らわせる。それに応じてアンも蹴り一発一発を正確に防ぐ。

両者とも譲らない攻防が繰り広げられているところに、八代とガイードが左右から攻め込む。


「『天地貫槍』!」━『天地貫槍』!━


アンはそれを見て小さく溜息を吐いた。


「鬱陶しい。」


アンは彼らを冷酷に縁石や街灯で薙ぎ払い、攻撃は一発も当たることはなかった。遥か後方の地点まで吹き飛ばされ、戦闘服を以てしてもそのダメージは大きいものだった。

しかしその攻撃を受けても尚諦めない者たちがいた。再びSST8は前線に立ち、アンと対峙する。


「諦めの悪い奴らは嫌いです。」


「それが長所なものでね。さあ、もう一仕事行こうかマグネシア!」

━レッツゴー覚悟!━

「『テスラ』!」━『テスラ』!━


「強力な磁力で目眩を誘うつもりですね。」


「それは副産物だ。みんな!」


「「「応!」」」


「なっ!」


SST8は満身創痍の肉体で出来る限りありったけの金属を集めた。するとミサイル効果によって金属は吸着、飛散した。


「なるほど、私の力は受けるとこれと似た感覚なのですね…。」


アンの全身に浅い傷がついていた。アンはその傷を指でなぞってじっと見つめていた。


「あれだけやってもこのダメージ…。」


「臆するな!まだ行くぞ!」


「勿論そのつもり!」


その戦いの後方で、吹き飛ばされた八代たちはなんとか立ち上がった。


「うっ…った…。」

━大丈夫ですか2人とも!━


━「こんなん屁でもねえよクソが…!」━


「俺らも早く戻らないと!」


八代が慌てて走り出そうとしたそのとき、ポケットからアウトロードの緊急加速装置が落ちた。


「あっ!」


金属音を立てて転がったそれは当然、アウトロードの目にも入った。


━「それは俺がジジイに頼んで作ってもらったやつじゃねえか!」━


アウトロードはそれを取ろうとして手を出した。だがそれを八代は飛び込む形で取った。


━「…なんのつもりだ?」━



八代はアウトロードの前に、アンに背を向ける形で立った。


「これ、使ったらお前滅茶苦茶強くなるんだろ。」


━「知ってんのか。なら尚更早く渡せ。」━


「でもこれを使ったらお前は死ぬ。」


━「一度死んだ身だ。アンを殺す俺の意志が果たせるならそれでいい。」━


「…。」


━「何黙ってやがる。」━


アウトロードは怒りに満ちた手で八代の首を掴んだ。


━「それを渡せつってんだろうが!」━


"「いつか私が一人前になるまで、どうか彼らをよろしくお願いします。」

「その重い舵をお前たちに託させてくれ…!」


━「まだ…スタートできて…ねえんだよ…」━"


「渡すかよ!」


八代は自分の拳でアウトロードの顔を殴った。


━「ざけんじゃねえ!おいガイード!お前がなんとかして奪い取れ!」━


━私も貴方に渡すつもりはありません。━


アウトロードは溜息を吐いてエンジンを激しく吹かせた。


━「このクソどもが。俺はそれを奪ってアンを殺す。そしたら俺は死ぬからお前たちがどうなろうと関係ねえ。この言葉の意味が分かるな?」━


アウトロードは攻撃にいつでも移れる体制を取った。それに対して八代とガイードは構えすら取らずに立っていた。両者の沈黙が続く中、口を開いたのは八代だった。


「…どこ見て…。」


その声には怒りがあった。アウトロードは、復讐のために生まれてきたわけではない。みんなとの、千速との思い出を、忘れて良いわけがない。


━「…あ?」━


"意志"を無碍にして良いわけがない。


「どこ見て走ってんだよ!!!アウトロード!!!」

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