第14話 風呂に入る(風呂だけじゃないよ!)
俺たちは1日訓練をした後、酒場でご飯を食べて宿へと戻ってきた。
訓練で汗をかいたし、訓練場で動いていたからそれなりに汚れてもいる。
「こうなるとお風呂に入りたくなるな」
「お風呂……? とはなんでしょうか?」
「木とか金属で作った人が入れるくらいの入れ物を用意して、そこにお湯を入れたものだよ。その中に入ると汚れも取れるし気持ちいいんだ」
この世界には風呂の概念は広まっていない。
体を清める時には、大体の人が布をお湯に浸してそれで自分の体を拭く。
あるいは近くに川や湖があれば、そこに入って汚れを取る。
魔法が使える人は水やお湯を出してそれをかぶることもするな。
だが、浴槽を用意してそれにつかるなんてことはしない。
そもそもそんな風習がないのである。
地球ですら、毎日わざわざお湯を張って風呂につかるなんてことは、一部の国でしか行われていないことだ。
日本はけっこう特別なのである。
そんな風呂文化が異世界で広まってなくても別に不思議ではない。
しかし俺は毎日わざわざお湯を張って風呂につかるということを行っている一部の国、日本で育った人間だ。
毎日風呂に入りたいのである。
体が汚れた日なら特にそうだ。
ぶっちゃけもう10日も入っていないのだ。
我慢ももう限界だ。
毎日布で拭くことで体は綺麗にしてきたが、それだけでは不十分。
これは実際に汚れているのかは関係なく、気分の問題である。
あるんだよ。
日本人には、風呂欲というものが。
お湯に肩までつかって、全身を温めたいという欲が。
だが、この世界に風呂はない。
ならどうする?
ないなら作ればいいじゃない!
というわけで作るか。風呂。
この宿は最初に泊まった安宿とは違い、それなりの広さのある部屋だ。
湯舟を置いても問題ないくらいの広さはある。
「何をなさるんですか? ご主人様」
「風呂を作る」
俺がこれまで覚えた魔法を使えば、それくらい造作もないことだ。
湯舟は土魔法でつくればいい。
そのままだと下が固いから木の板で覆うか。
水魔法を使えばお湯を出せるから、それでお風呂の完成だ。
風呂を作るには数百リットルのお湯が必要だと言われている。
普通の魔法使いはそんなに多くのお湯を出すほどの魔力は持っていないが、『魔導大帝』のスキルによって他の魔法使いの1万倍の魔力量を誇る俺ならば何の問題もない。
1万倍の魔力が初めて役に立った瞬間である。
この膨大な魔力をお風呂のためにあったんだ……!
土魔法で金属を出して、形を加工する。
それなりに大きい湯舟をつくることにしよう。
ほら、せっかく風呂を作ったとして、俺一人しか入れないってなんか寂しいじゃん?
アイナがいるんだから一緒に入りたい。
二人が入れるくらいに――。
いや、二人が足を広げて余裕をもって入れるくらいにしておくか。
そこそこ大きい湯舟を作り、その上に木魔法で木の板を出して接合する。
あとはこのなかにお湯を入れれば完成だ。
いや待て。
今気づいたけど、これ床とか大丈夫か……?
このデカい湯舟だけでもそれなりの重さなのに、あと数百リットルのお湯を入れて、そのなかに人が二人も入るんだぞ。
めちゃくちゃ重くなるだろ、これ。
なんなら1トンは超えるかもしれない。
この宿の、木でできた床はそれに耐えられるのだろうか。
地面に接してる1階ならば問題ないだろうが、ここ2階だし。
もしかして、床抜けない?
そんな懸念があったので、重力魔法をかけることにした。
重力魔法は文字通り重力を操る魔法だ。
物を重くしたり、軽くしたり。
無重力をつくることだってできる。
今回は、このお湯を含む湯舟全体の重力を小さくすることで重さを低減させる。
きちんと重さ対策をした上で、湯舟の中にお湯を張った。
「これでよし」
「うわあ。うわあ……! こんなの初めて見ました。すごいです。ご主人様!」
アイナがお風呂を見て興奮している。
ま、確かにお風呂なんてこの世界の人は初めて見るだろう。
「この中に入るんですよね!」
「うん。じゃ、服を脱いで入ろうか」
「あ、はい。服を脱ぐんですよね。そうですよね。お湯の中に入るんですもんね。えへへ。ちょっと、恥ずかしいです」
そう言いつつも、アイナはするすると服を脱いでいく。
「おお……。すげえ……」
裸になったアイナの姿は、すごかった。
胸が手に収まりきらないほど大きく、お腹周りは細くて腰はくびれている。
それでいておしりも大きい。
彼女のスタイルは悪くないとは思っていたが、ここまでとは思わなかった。
美人なだけでなく、体まですごかった。
俺がアイナを買ったことは、間違いじゃなかった……。
「あの、ご主人様。さきほどから私のことじっと見ていますが、触りたいのですか?」
アイナは俺の手を取り、自身の巨大な胸にピトリとあてる。
「いつでも触って頂いて構いませんよ。お好きな時に触って、お好きな時に使って下さい。私はご主人様の物ですから」
「それは……後でな。お風呂を上がった後で」
「はい!」
そして入浴。
「ああ~~~。生き返る~~~」
風呂に入り、思わずそんな声が出る。
「久しぶりの風呂だぁぁぁ~~」
気持ちいい。
体の中からあったまる。
なぜ日本人がこんなに風呂にこだわるのか。
その答えはこの気持ち良さにあると言ってもいい。
風呂は心の洗濯だ。
誰かがそんなことを言っていたが、まさにそう思う。
風呂で取れるのは体の汚れだけじゃない。
心にこびりついた老廃物まで取れていくのだ。
「はぁぁぁ~~~」
隣でアイナも気持ち良さから声が出ている。
わかるよ。
すっごくわかる。
こういう声が出るよね。
「気持ちいいですぅ~~~」
「だよな~。お風呂気持ちいいよな~~~」
「生まれてきてから一番気持ちいいです~~~」
「それはおおげさ~~~」
「こんなに素晴らしいものを作ってしまうなんて、ご主人様はすごいです~~~」
「俺が考えたわけじゃないけどな~~~」
「それでもご主人様はすごいです。神様です~~~」
「それもおおげさ~~~」
まったりした会話を繰り広げる俺とアイナ。
「「はぁ~~~~。生き返る~~~~」」
俺たち二人は喋りながら、風呂の気持ち良さを語り合っていた。
風呂を散々楽しんだ後、俺達はタオルで体をふいた。
湯舟と中のお湯はアイテムボックスの中に収納することにした。
このスキルは生物でなければなんでも収納できるのだ。
それが液体であっても問題ない。
さて、風呂に入ってサッパリしたところで。
やることやりますか。
部屋には魔法を用いて発光する灯りがあるが、その灯りを調整して薄暗くする。
「私からしますか? それともご主人様の方から?」
「俺からする」
俺はアイナをベッドに連れ込み、押し倒した。
と、その時に俺にはとあるスキルがあることを思い出した。
それは『性豪』というスキル。
正直なぜSランクなのかよくわからないスキルだ。
その効果は性に関する事柄ばかり。
このスキルを持つ者はそっちの方面では精力が尽きない絶倫になれるし、性行為の技術がとてつもなく高まるらしい。
なんかエロ漫画の竿役みたいな効果が書かれていた。
すごいはすごいけど、『神拳』や『魔導大帝』と比べると格は落ちると思う。
これがSランク? と、入手した時は首をかしげたものだ。
まあ別に、あって損するもんではない。
やってみればどれだけのものかわかるか。
最初はそんな、軽い気持ちだった。
だが、このスキルは腐ってもSランク。
魔導大帝や剣聖と同じクラスのスキルなのだ。
その効力が、甘いわけがなかった。
最初のころは、アイナは「気持ちいい」「すごい」「好きです」「ご主人様好き」と嬉しいことを言ってくれていた。
淫らに乱れるアイナの姿にはとても興奮したし、自分が彼女を気持ちよくさせているということが嬉しかった。
だから調子に乗った。
調子に乗ってやりまくった。
次第に彼女は「気持ちいい」とか「いいです」なんて可愛いことは言わなくなり、「おぉっ……」とか「い――っ」とか短いあえぎ声しかださなくなった。
それも過ぎると今度は声も出さずに体を震わせることしかできなくなった。
ちょいちょい間に挟まる「も、ゆる……」「きも、ち……」という言葉があったし、確かどこかで「気持ちよすぎて死ぬ……」と呟いていたが、それも俺はリップサービスだと思っていた。
まあつまりは完全にやりすぎてしまった。
あ、これはやりすぎたな。
そう気づいた時にはもう朝日が昇る時間になっていた。
そのころにはアイナは既に潰れたカエルみたいな状態になっており、小さく震えながら喘ぐことを続けるのみになっていた。
「ご主、好き……♡」
「もう、許し……♡」
「幸せ……♡」
小さくそう聞こえてくるアイナの声を聞きながら、完全にやっちまったな、と思った。
改めて考えて、すごいな『性豪』のスキルは。
19年間一度も女とやったことない俺が、エロ漫画に出てくる竿役のような技術も体力もすごい絶倫男になってしまった。
絶倫になったところで気持ち良さは変わらなかった。
それどころか普段自分でするよりもずっと良かった。
「ていうかこれ、今日大丈夫かな? 本当は今日から魔物倒しに行く予定だったんだけど」
意識など完全に消し飛んでいるアイナは俺の声など聞こえていない。
ただ震えながら快楽の余韻を感じるのみだった。
「ま、いいか。今日は休みにしよう」
今後はアイナの体力とかそこら辺も含めて考えてすることにしよう。
そして一晩中アイナとやったのに、大して疲れていなかった自分に気づく。
これすごい。
体力がありすぎる。
「改めてすごいな。『性豪』」
素直にそう感心していた。




