休める時に
*
──────今でも、夢に見る。眼前に迫る剣。そして死を覚悟し、目を閉じる姫。助けなければならない。守らなければいけない。行動しなければ、一生後悔する。……でも、動かない。いや、動けない。そして、なにも抵抗できない姫に、死を告げる刀身が迫る─────。
「……ッ! 姫!」
そこで目が覚める。またあの夢、
「……チッ」
飛び起きた青年、リョウ・アドマイトはもう幾度となく繰り返した夢に対して舌打ちしながら朝を迎えるのだった。
*
「……? リョウ? 顔色が悪いよ? 大丈夫?」
悪夢を見ると目が冴えてその後眠れなくなる、と言うのは案外本当なのかもしれない。リョウは基本的に眠りは浅いが、王都が陥落した日から1日4時間すら眠れていない。事実、リョウの顔色は誰が見ても疲労困憊と表現するだろう。
「……あー、いえ。大丈夫ですよ。───カナエ姫」
それを見かねたカナエはリョウに声をかける。だが、それに対してリョウは気丈に否定する。
「……そう。ならいいわ」
すると、リョウはあることに気づく。
「……? 姫?」
「? なぁに?」
カナエの目の下にも大きなクマがあった。最近、カナエは化粧をつけている。とは言っても本当に最小限なのでほぼスッピンと変わらないのだが。
(─────この人も眠れていないのか)
言い方は悪いが、ネガティブかつ鈍感な姫とは違い、リョウは鋭い。当然といえば当然だがそして、恐らくカナエ専属のメイドであるヨシノすら気づいてはいまい。
「───────今日は訓練休みましょうかね」
唐突にリョウが、そんなことを言う。
「……え?」
カナエは怪訝そうな表情。リョウの顔色には気づいていたものの、まさか訓練を休む程のものなのだろうか?
「……ど、どうしたの? リョウが訓練休みにするなんて?」
こちらも相当な言い方ではあるがカナエにとってリョウは訓練の虫と言っていい存在。リョウが訓練を休むのは太陽に沈むなと言うのと同じくらい無理な事だと思っていたカナエは胸の内に驚愕を抱えながらリョウに訊ねる。
「……俺を訓練狂か何かと勘違いなされてはいませんかね? そりゃ俺だって休みたい時は休みたいですよ」
「……そ、それもそうよね。……ごめんなさい」
すると、リョウはカナエの方を向き、
「姫様もどうです? 一緒に休みません?」
とんでもないことを言い放った。
どうも皆さん、rengeです。 久しぶりの投稿になっちゃいました。 専門学校が思ったより忙しく、今後も更新が遅れるという事が多発するやも知れませんが頑張って更新していきたいと思っておりますのでよろしくお願い致しますm(_ _)m




