近づく距離
翌日のことである。登校してすぐに彼のいた教室に寄ってみた。
「あ!」
すると彼はいた。
「あの!」
「……また君か。何の用?」
「私、恋野恋っていいます!貴方は?」
「僕は、紫之宮るい。何?用がないなら早くどこかに行ってくれる?邪魔なんだけど?」
「あ、はい。すみません。……あの。」
「?」
「その漫画……」
るいは咄嗟に漫画を隠した。
「あ、すみません。見ちゃだめでしたか?」
「……別に。」
「あの!どうしたらそんなにうまく漫画を描けますか?」
「……うまく?」
「はい!」
「全然だめだよ。」
「へ?」
「今の僕じゃだめなんだよ!!」
「あ、えーと……」
「邪魔!さっさと行って!」
「あ、すみません。えーと、それじゃ。」
教室に残されたるいは呟いた。
「こんなんじゃ、だめだ……」
「怒らせてしまった……」
恋は教室の自分の席につくと、1人反省会をしていた。
「私のばか!」
「恋!何1人で喋ってるの?」
「あ、心ちゃん!」
「おはよ!」
「おはよう!」
「で、なんで1人で盛り上がってたの?」
「あ、えーと、実は……」
そして入学式の日の事とさっきの事を説明した。
「ふーん、紫之宮るいってのが助けてくれたけど邪魔しちゃったと?」
「うん。」
「気にしないでいいと思うよ?」
「そうかな?」
「そうそう!」
「うん。」
しばらくしてホームルームが始まり、終わる。その日の授業で漫画の描き方を教わった。しかし、恋はうまく描けなかった。
「はぁ……」
「恋野!」
「わっ!明石くん?!」
「どうしたんだよ?元気ないじゃん?」
「あ、別に……」
「何か悩みごと?」
「実は……私、漫画を描いた経験がなくて、うまく描けないの!」
「へー、漫画がうまく描けない、ね。」
「うん!」
「大丈夫!頭に浮かんだ事を描けばいいさ!」
「……私、うまくまとめるのが苦手で……」
「大丈夫!すぐに慣れるよ!」
「そうかな?」
「そうそう!」
満はそう言って笑顔で恋を励ました。放課後、帰ろうとした時、とこからか喧嘩の声が聞こえた。
「ん?」
聞き覚えのある声に恋は思わずそれを見にいってしまう。
「あ、あれは!」
「あ?喧嘩上等だこらぁ!」
「ふざけるな!誰がちびだよ!!」
「はぁ、またやってる……」
そこにいたのは倉木影司だった。助けなきゃ!そう恋は思った。
「倉木くん!」
「あ?お前……。」
「なんだこら?」
相手は恋にまで絡んでくる。
「あ、せん、せい!先生呼んでありますよ!?」
恋は思わずハッタリを使う。
「なっ?!」
相手はそれを聞くとすぐに去っていった。
「倉木君!」
「またかよ!お前……」
「あ、ごめんなさい!私、また余計なことを……」
「……いや、いい、ありがとう。」
「へ?」
「なんだかんだ言ってお前のおかげでまだ怪我してないからな。」
「倉木君……」
「お前、何の漫画好きなんだよ?」
「へ?私は恋愛漫画が好きだけど?」
「俺はホラー漫画が好きだ。」
「ホラー漫画?!」
「なんだ?怖いの苦手か?」
「……あはは、ちょっと苦手かも……。」
「ふふふ!まあ、読んでみろよ!俺の漫画を!」
影司から漫画を渡される。
「え、と、これは……」
「漫画だよ?なんだよ?」
そこに描いてあったのは酷い絵だった。
「え、と……その。」
「お前も、俺の絵が下手だとかいうのか?!」
「あ、いえ、その!すみません。」
「謝ってじゃねーよ!!」
こうしてこの日は影司の漫画を読んで帰った。




