描いたことのない自分
入学式の次の日、登校する恋。恋が登校すると門の所でとある青年にぶつかった。
「きゃ?!」
「うわっ!」
恋はそのまま地面へと派手にダイブする。
「いたた……」
相手も地面にダイブして痛そうにしている。
「ごめんなさい!」
「いや、俺も前見てなかったからさ!ごめんな!て、遅刻遅刻!」
「あ、本当だ!急がないと!」
2人とも同じ教室へと入っていった。
「同じクラスだったんだな!」
「そうですね!」
「俺、明石満!好きな漫画はギャグ漫画!よろしく!」
「私は恋野恋です!こちらこそよろしくお願いします!」
「どんなジャンル描くの?」
「えーと、一応恋愛漫画を描きます!」
「へー!いいじゃん!今度見せてよ!」
「あ、でも、人に見せられるものでは……」
「そんなの見せて見なきゃ分からないだろ?」
なんて話しをしている間にホームルームが始まった。
「はい!雅ちゃん降臨!皆にお知らせがありまーす!入学後のテストを行うわよ?」
「え!テスト終わったのにまたテストかよ?」
「最悪ー!」
なんて教室はざわめいていた。雅がそれを制す。
「はいはい!文句言わない言わなーい!このテストの上位者にはなんと!編集者に原稿を見て貰えちゃうのよ?!」
「!?」
教室は一気に盛り上がった。
「上手く行けばデビューも夢じゃないわ!じゃ、話しは終わりー!」
と言うと雅は教室から去った。扉の前で雅はつぶやく。
「まっ、そんなに簡単な話じゃないんだけどね!」
雅が去った後の教室は盛り上がっていた。
「俺の漫画にアドバイス貰えるかな?!」
「まさかこんなに早く原稿見て貰える機会がくるなんて!」
「恋!ねえ!凄いよね!」
「そうだね!心ちゃん。でも、私、……」
「?恋?」
「恋野!さっきの話し凄いよな!」
「あ、明石くん。」
「俺の原稿も見て貰えるかな?!」
「そう、だといいね。」
「どうした?暗い顔して?」
「えと、なんでもない。ちょっと御手洗にいってくるね。」
そう言って恋は教室を後にした。
「言えないよ……実はまだ漫画描いたことないなんて……」
そう、入学試験はまぐれだったのだ。偶然描いたイラストを見てもらう試験だった。イラストは描ける。でも恋は漫画はまだ描いた事が無かったのだ。
「どうしよう……きゃ?!」
曲がり角で人にぶつかった。
「すみません!」
「……別にいいけど。」
「ちっさ……」
「は?」
そこにいた青年はまだ幼さを残していて身長が小さかった。
「あ、すみません!」
「すみませんじゃないっ?!人が気にしてることをよくも!」
「すみません!思わず……」
「喧嘩売ってる?」
「売ってないです!」
恋が困っているとそこに心がやって来る。
「恋!」
「あ、心ちゃん!」
「なになに?どうしたの?」
「ちょっとぶつかってしまって……」
「2対1じゃ勝ち目ないな。まぁいい!僕は忙しいんだ!今度から気をつけろよ!」
「あ、はい!すみません!」
「恋大丈夫?遅いからみにきてみれば……」
「大丈夫だよ。心配かけちゃってごめんね?」
「恋が大丈夫ならそれでよし!」
そう言って教室へと戻った。そして、帰りに帰ろうとするとまたあの小さい青年に出会う。門の前だった。恋が校門の前に来た時、何やら揉めているようだった。
「お前、ちびのくせに生意気だぞ!」
「はぁ?ちびちびうるせぇ!」
「なんだよ!やるのか?!」
2対1で囲まれていた。
「あ……」
恋は助けなきゃと思った。でも、怖い。もし殴られでもしたらどうしようと思うと怖かった。拳を握る。
「やってやろうじゃねーか!」
小さい青年はそう言って拳を鳴らす。
「すみません!!」
「「「?!」」」
「先生を呼びますよ!やめてください!!」
そういうと男達は
「ちっ……」
と舌打ちして去っていった。
「はぁ……。」
「……お前。」
恋は緊張の糸が切れ、脱力する。
「お怪我は?」
「ない。」
「よかったです!」
「別に助けて貰わなくても勝てた!」
「余計なことしましたか?すみません。」
「……ふんっ!」
「私、恋野恋っていいます!よろしくお願いします!」
「………倉木影司。よろしくするつもりはないけどな!」
「そ、そうですよね!私なんか暗いし、ダメですよね!?」
「……別に暗いとか言ってないけど?」
「あ、そ、そうですか?」
「くくっ!何勝手に勘違いしてんだよ!」
「あ、あはは。」
2人は笑いあった。
「じゃ、また!」
「はい!」
夜の帳が落ちて行く中、恋は電車に揺られながら帰路についた。




