真面目な彼
教室に入ると何やら噂している生徒達がいた。
「蒼井君てさ、満点だったけど怪しくない?」
「だよな!」
「今まで満点取った人って限られてるらしいぜ。」
「!」
恋はそれを聞いてしまった。するとそこに蒼井が登校してくる。
「蒼井君!」
「……」
蒼井はその場を去っていった。恋はそれを追いかける。校舎裏にたどり着いた。そこで蒼井は座っていた。
「蒼井君!」
「……恋野さん。」
「蒼井君、さっきのはきっと冗談だよ!本気で皆そんなこと思ってな……」
「いいんです!」
「え……?」
「どうせ、私の漫画なんて、まぐれで合格しただけですよ!」
「そんなことは……」
「あります。私、今まで漫画を描いた事ありませんでしたから!きっとまぐれなんです!」
「そんなことないよ!」
「!」
「蒼井君のイラストすごかったよ!漫画だってすごいに決まってる!それに……」
「?」
「それに蒼井君は真面目できちっと描く人じゃない!」
「!」
「そんな人の漫画が凄くないわけないよ!」
「……恋野さん。」
その言葉に蒼井は少し救われたような気がした。
「蒼井君、戻ろう?」
「恋野さん。ありがとうございます。」
「ううん。」
教室に戻る。すると噂していた生徒達はバツが悪そうにしていた。しかし黒板には蒼井を批判する言葉が書かれていた。
「!」
恋は直ぐにそれを消した。
「蒼井君!気にしなくていいよ!」
「恋野さん……。」
「皆さん!言いたい事があるならハッキリ言ってください!」
そう蒼井は怒鳴った。
「なんだよ。まぐれのくせに。」
「本当は先生に優遇してもらったんじゃない?」
「怪しいよな。」
「っ!」
「皆!蒼井君はそんな人じゃない!」
「恋野さん、いいんです。」
「よくないよ!皆、蒼井君に嫉妬してるんだよ!」
「はいはい、何してるの?ホームルーム始めるわよー!」
そこに雅が現れて、ホームルームを始める。ホームルームが終わると恋は雅に相談した。
「……そう。」
「はい!先生からも何か皆に言ってください。」
「そうね。私も何かあったら対応するわ。」
「はい。ありがとうございます。」
こうして雅によって蒼井をいじめた生徒達は厳重注意を受けていた。放課後になる。
「蒼井君!」
「恋野さん。」
「蒼井君気にしないでね?」
「大丈夫です。それより、恋野さんの漫画、見せてもらえませんか?」
「え?私の漫画?!」
「はい。前から読んでみたかったんです。」
「いいけど……」
恋は漫画を差し出した。蒼井がそれを読む。
「これはっ……」
「ダメダメだよね?」
「いいえ!素晴らしいです。」
「え?」
「特にこの女の子が可愛い!」
「ありがとう!」
「私もこんな絵を描きたいです!」
「蒼井君の方がうまいでしょ?」
「見てみますか?私の漫画!」
「うん!」
それは歴史物の漫画だった。
「すごい!4ページだけなのにすごく分かりやすい!」
「ええ、分かりやすくなるように、描きましたから。」
「この騎馬の迫力がすごいね!」
「はい、力を入れて描きましたから。」
「完璧だよ。」
「いいえ、まだまだ完璧には程遠いですよ。」
「ええ?!これで満足してないの?!」
「はい。漫画に果てはないと思っています。」
「そっか!そうだよね!」
「わかりますか?」
「うん!そういえば、編集者に見てもらえたの?」
「ああ……はい。」
「どうだった?」
「ダメ、でした……」
「え?」
「私の漫画は完璧だけど、人を惹きつける魅力がないって言われました。」
「!」
「はは、そんな甘いことないですよ。」
「そっか。じゃあ次はもっと頑張ろ!蒼井君なら出来るよ!」
「……恋野さん。」
「ね?」
「はい!」
この後2人は意気投合して漫画を描いていた。その後、雅からの注意もあり、それから蒼井がいじめられることは無くなった。だが、クラスでの蒼井の立ち位置は微妙なものになった。




