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幼馴染の思惑

※エリカ視点です

 ミランから自由に使っていいと言われた部屋の寝具に転がって、エリカはニマニマと笑っていた。

 今の気分を一言で表すなら「ほんと、ちょろいなぁ」だ。


 ミランは昔からこうだ。

 頼れば断らないし、ちょっと泣けばすぐ自分の味方になる。


 だから、この部屋に入り込むのも簡単だった。


 怪我? そんなのちょっと足をひねっただけ。

 歩くのなんて痛まないし、走ろうと思えば普通に走れる。

 仕事だって本当は怪我のせいじゃなくて、勤務態度が悪いから他の冒険者から苦情が出て干されただけなんだけど「可哀想」って思わせた方が楽だから、そうしただけ。


 ミランの恋人のアリサだって、真面目すぎてチョロ。


 元男爵令嬢だけあって、ルールとか順番とか、ちゃんと守らなきゃって顔してさ。

 だから隙だらけ。

 ちょっとミランにおねだりすれば、勝手に我慢してくれるし、勝手に遠慮してくれる。

 ああいうタイプ、ほんと楽。


 でも、まさか新居から出て行くとか正直びっくりした。

 もうちょっと我慢すると思ってたのに。

 アリサのごはんは薄味だけどミランよりは断然美味しかったから、ちょっと残念。


 とはいえ、どうせ世間知らずなお嬢様タイプって、頼る人がいないとやっていけないし、そのうち戻ってくるでしょ。

 そしたらまた「可哀想な幼馴染」の顔して、苦痛に歪む顔でも見てやろーっと。

 ミランも私も幼馴染ってだけで、お互い恋愛対象には見てないのに、勝手に自滅してるんだからお気の毒。


 私にとってのミランは面倒見が良くて、お金もそこそこ持ってる、チョロくて便利な幼馴染ってだけなのにね。


 だって私の本命は断然ルカだもん。

 見た目はカッコいいし、新興商会の会長だし、一目見た時から運命の相手だって直感したんだから。


 いつもは商会にこもりっきりのあの人が、ギルドへ来る時間に張り込みするためだもん、仕事に遅刻したり早退したりするのは仕方ないじゃない?

 調べまくって、やっと行きつけのお店が分かって行ってみれば早々に帰っちゃうし、いつの間にか撒かれちゃうし、ギルドでも冷たくされちゃったけど、もう少しアプローチすれば絶対に私を好きになるのに。


 そういえばギルドから帰ってきてから、何だかミランが冷たくなった。

 元々、ごはんも美味しくなかったし部屋も散らかってきたし、そろそろ見限り時かもしれない。


「早くルカが私を迎えに来てくれればいいのに、シャイなんだから。接近禁止令? そんなの恋のスパイスでしょ? ルカったら私の気を引きたいからって冷たくし過ぎだぞ?」


 ぷぅっと頬を膨らませるも、ルカを思い出すと顔がにやけてきてしまう。


「相思相愛になったら今日のギルドでのこと、泣きながら謝罪してくるんだろうな~」


 クスクスと笑ってエリカは眠りについた。


短くて申し訳ないです。

こういうモンスターの心理描写は難しいです。

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― 新着の感想 ―
逆に今までどんだけイージーモードで生きてきたんだろうなぁ……。
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