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ブルーテイル・ハピリス  作者: aki.
2、カラーを求めて
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雪山にて





 雪山の白は、果てしなく続いていた。


 踏みしめるたび、きゅ、きゅ、と乾いた音が鳴る。

 そんな中、ジェイクが周囲を見回しながらぼやいた。


「…で、こんなだだっ広い雪ん中からどうやってホワイトを見つけんだ?」


 ルーンは足を止め、静かに荷物袋へ手を入れる。


「これを使うのよ」


 取り出したのは――

 二本の、折れ曲がった針金。

 取っ手部分だけが直角に曲げられた、簡素な形。


 それを見たジェイクは、目を丸くした。


「…あー、何だそりゃ?」

「ダウジングロッドよ」


 ルーンは淡々と答え、両手に一本ずつ構える。


「これでホワイトを見つけるの」


 真面目に言ってのけた彼女に、ジェイクの眉があからさまにひそめられた。


「……マジか?」

「ホワイトに反応するように魔法を施してあるから問題ないわ」


 自信のある口調。

 だがジェイクは腕を組み、どうにも納得しきれない顔をしていた。


 その横で。


「それ、本当に作ったんだな」


 フィルが、半ば呆れたように言う。

 すると、ルーンの動きがほんの一瞬だけ止まった。


 彼女はわずかにフィルの方を見る。

 けれど何も言わず、すぐに視線を前へ戻してロッドを翳して歩き出した。


「……?」


 フィルが小さく首を傾げる。

 隣に立っていたシオンも彼女の反応に疑問を持ち、低く問いかけた。


「お前、何かしたのか?」

「いや」


 フィルは眉を寄せる。


「何もしてない……はず…」


 どうにも腑に落ちない様子で、頭を悩ませる。

 心当たりがなく、ただただ疑問に思うばかりだった。


 その少し後ろで。

 フィラーラが、静かに口元を緩ませていた。



+


 それから、一時間。

 雪山を登り続けているが、ダウジングロッドに変化はない。


「……なあ」


 後ろから、つまらなそうな声。


「本当にそれで見つかんのか?」


 ジェイクだった。

 ルーンは眉をひそめ、振り返りもせず言い返す。


「こういうのは根気よ。黙って」


 ロッドの先端をゆっくり左右へ向けながら、周囲の反応を探る。


「んー、……この辺りにもなさそう、……ね」


 その時。

 ふいに――視界が、ぐらりと揺れた。


「……っ」


 足元がふらつき、平衡感覚が、一瞬だけ狂う。

 体が前に傾いたその瞬間、腕を掴まれて引き寄せられた。


「!」


 顔を向けると、そこにはシオン。

 しっかりとした支えに、ルーンの体勢が戻る。


「気を付けろ」


 短い注意。

 ルーンは一拍遅れて、息を整えた。


「……ありがとう」


 すぐに体を離し、何事もなかったように前を向く。


「(……疲れていたのかしら)」


 ルーンは首を傾げる。

 転びそうになったのは、雪道で足がもつれたから。

 そう結論づけて再び歩き出したが、胸の奥にほんのわずかな違和感が残る。


 その時。


「グルルル……」


 低い唸り声が、どこからともなく響いた。


 一行の足が、同時に止まる。

 雪原の静寂が、ぴんと張り詰めた。

 シオンの手が、静かに剣へと伸びる。


 次の瞬間。

 雪煙を巻き上げ、影が躍り出た。



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