また、力を借りる
「ダリアン。貴方はまだ、呪念石に興味はあるのかしら?」
ルーンは尋ねる。
やはりそれを聞いてきますか。とダリアンは小さく笑ったが、すぐに表情を引き締めた。
「なぜ、その質問を?」
「言ったでしょう。確認だって。……はいかいいえで答えて」
「…………」
窓から涼風が吹き込み、障子がかすかに揺れる。沈黙の後、ダリアンは答えた。
「……はい。興味はまだありますよ。すぐに薄れるものなら、最初からここまで来ていません」
「……そう。それを聞いて安心したわ」
ルーンは目を閉じ、安堵したように微笑んだ。再び開いた瞳に、わずかに赤が混じる。
ダリアンはその変化に気づいたが、黙って次の言葉を待った。
「貴方たちの話を聞いて、呪念石は私とあの子だけで取り戻すのは無理だと判断したわ。だから、またジェイクとダリアン……貴方たちの力を借りたいの」
「……また精霊の森に殴り込みに行くのか?」
ジェイクは頬杖をついたまま、面倒そうに口を開く。
「殴り込み、ですか…。再び森へ行くなら前回のこともあります。今度はさらに一筋縄ではいかないでしょう」
「殴り込んだ瞬間、襲撃されっとか?」
「それはそれで面白味はありますが……穏便に済ませられれば、それに越したことはありませんよ」
「その通りよ。あまり事を荒立てたくないわ」
ルーンは言う。
自分たちの目的は、精霊の森にある呪念石を取り戻すこと。
しかし、前回の件で向こうも警戒しているはず。何も考えずに乗り込めば、森へ入った時点で騒ぎになる可能性が高い。必要なのは力押しではなく、確実に呪念石を奪還する方法だ。
「…………」
ルーンは眉をひそめ、考えを巡らせる。
誰にも気づかれず森へ潜入し、呪念石を見つけ、すぐに脱出する。言葉にすれば簡単だが、警戒された森を進み、目的の場所を探し出すのは不可能に近い。
正面から進むのは危険。外側を迂回するにしても、呪念石へ辿り着ける保証はない。侵入方法、捜索手段、発見された場合の対処――考えるべきことはいくらでもあった。
「…………」
ルーンの沈黙が長引く。ジェイクとダリアンは口を挟まず、その様子を見守った。
やがて二人の視線が交わり、どちらからともなく困った顔になる。すぐに答えが出る気配はなかった。
「……はぁ。これは、しばらく考えないと駄目ね」
ルーンは肩を落として息を吐く。
協力者がいても、方法がなければ動けない。精霊の森へ潜入し、呪念石を取り戻す手段を見つけるまで、彼女はこの問題に頭を悩ませることになりそうだった。




