エイルとヴィーvsダリアン
シオンとジェイクの戦いが激しさを増してきた頃、別の場所でも戦いが繰り広げられていた。
「このっ!」
エイルが二丁の銃を構え、同時に引き金を引く。二発の銃弾がダリアンへと飛んだ。
「おっと」
ダリアンは三叉の槍を横に振る。
槍の穂先が銃弾を弾き飛ばし、そのまま槍を回転させ、エイルとの距離を一気に詰めた。
「くっ!」
エイルは後ろへ跳ぶが、ダリアンの追撃は止まらない。
「逃がしませんよ!」
三叉の槍が鋭く突き出される。
エイルは二丁の銃を交差させて受け止めた。
「っ……!」
腕に強い衝撃が走る。
エイルの体が後ろへ押し込まれた。その横から、ヴィーが刀を振り抜く。
「はあっ!」
「ふむ」
ダリアンは素早く槍を引き戻し、刀を受け止める。ヴィーはそのまま刀を押し込んでダリアンを後退させようとしたが、しかし。
「まだまだですね」
ダリアンは槍を捻った。
ヴィーの刀が弾かれる。
「なっ……!」
その隙を狙い、槍がヴィーへ迫った。ヴィーは咄嗟に身を引き、穂先が目の前を通り過ぎる。
「あっぶね!」
「ヴィー!」
エイルが銃を向ける。
銃弾がダリアンの足元へ飛び、彼は横へ跳んでかわした。
「二人とも少々動きが単調ですね」
「……言ってくれるじゃねぇか」
ヴィーが刀を握り直す。
ダリアンは三叉の槍を構えた。
その姿には余裕がある。
この戦い、明らかに優勢なのはダリアンだった。
「ヴィー、気をつけろ!」
「分かってる!」
エイルとヴィー、二人が同時に動く。ヴィーが正面から斬り込み、エイルが後方から銃撃する。
だが、ダリアンは槍を巧みに操り、二人の攻撃を次々と捌いていった。
「そこだ!」
ヴィーの刀が振り下ろされる。
ダリアンは槍の柄で受け止め、そのままヴィーの刀を横へ弾く。
「ぐっ!」
続けざまに槍の石突きがヴィーの腹部へ向かう。ヴィーは腕で防いだものの、そのまま後ろへ吹き飛ばされた。
「ヴィー!」
エイルが叫ぶ。
「俺は大丈夫だ!」
ヴィーは地面に手をつき、すぐに立ち上がる。
「隙がありますよ」
「っ!」
しかしその直後、ダリアンがエイルの目の前まで迫っていた。
エイルは反射的に二丁の銃を構えるが、距離が近すぎる。銃口を向けるより先に、ダリアンの槍が迫った。
「っ……!」
エイルは横へ飛んでかわし、槍が地面を抉る。彼は転がるようにして距離を取った。
「…二人がかりでこの程度ですか。もっと楽しませてほしいものですね」
「……うるさい」
ダリアンが槍を構え直す。
エイルは息を整えた。
「まだ、終わってない!」
「……その威勢はどこまで続きますかね」
ダリアンは再び踏み込んだ。
三叉の槍がエイルを狙って振り下ろされる。エイルは二丁の銃を交差させて受け止めた。
「……!」
その瞬間、ダリアンが槍を引く。
三本の穂先が銃を絡め取り、ダリアンはそのまま槍を横へ振った。
「なっ…!」
エイルの両手から銃が弾き飛ばされる。
「エイル!」
ヴィーが叫んだ。
エイルはすぐに魔法陣を展開するが、ダリアンはその隙を与えない。
「これで終わりです!」
槍が迫る。
エイルは呪文を唱え、弾かれた銃の一丁のみを素早くその手に引き寄せると銃弾を放った。乾いた銃声が響く。
「なっ……」
ダリアンは目を見開いた。
飛んできた銃弾は彼の槍の柄を正確に撃ち抜く。
「……ギリすぎるって、くそっ!」
エイルは息を吐いて、銃口を向ける。
続けざまに弾を撃ち、ダリアンはそれを身を翻してかわした。
「そこだ!」
ヴィーが踏み込む。
刀が閃き、ダリアンは槍を立てて受け止める。
「くっ……!」
ヴィーの攻撃が、確実にダリアンを押し込んだ。
「エイル!今だ!」
「っ!」
駆け出し、エイルはもう一丁の銃を拾い上げる。弾を撃つと、その弾はダリアンの頬をかすめた。
「……っ」
ダリアンの目が細くなる。
エイルとヴィーは彼を左右から挟み込んだ。
「…まさか、これで形勢逆転。なんて思っていませんよね?」
ダリアンは笑う。
「ですが、そう簡単に――」
「!」
言い終える前にヴィーが地面を蹴り、刀が振り下ろす。ダリアンは槍で受け止めるが、その瞬間、銃弾が飛んできた。
「っ、」
ダリアンは槍を傾け、銃弾を弾く。その隙にヴィーが刀を引いた。
「この!」
横薙ぎ。ダリアンは後退する。
そこへエイルの銃撃。ダリアンは左右へ身を振りながら避けた。
「…これは」
先ほどまでとは違う。
ヴィーの攻撃を受ければ、エイルの銃弾が飛んでくる。
エイルを狙えば、ヴィーが斬り込んでくる。二人の攻撃が互いの隙を埋めていた。
「ならば!」
ダリアンは三叉の槍を大きく振り、二人を同時に牽制する。
ヴィーが一歩下がったその間にダリアンはエイルへ向かって走った。
「まずは貴方から!」
槍が迫る。
「そう来ると思ったよ!」
エイルが横へ飛ぶ。
「エイル!」
ヴィーがエイルと入れ替わるように前へ出た。
「もらった!」
「っ!」
刀が閃き、ダリアンは槍で受け止めた。だが完全には受け切れない。
「ぐっ……!」
足が後ろへ滑る。
そこへ、銃弾がダリアンの足元へ撃ち込まれた。
「!」
ダリアンは一瞬、体勢を崩す。
その瞬間をヴィーは逃さなかった。
「今!」
刀を振る。
ダリアンは槍を立てて防いだ。
しかし、エイルの銃撃が次々と飛んでくる。
「くっ……!」
ダリアンは防御に追われ、完全に形勢が逆転した。
先ほどまで余裕を見せていたダリアンの表情から、笑みが消えていく。
「……これは少々厄介ですね。ですが!」
「このまま大人しくしとけ!」
ヴィーが刀を振り下ろす。
ダリアンは力任せに槍を振り、彼を押し返した。そのままエイルへと突進していく。
「エイル!」
ヴィーが叫ぶ。
エイルは二丁の銃を構えた。
「問題ない!」
至近距離から二発。
ダリアンは顔をしかめ、槍を振って銃弾を弾いた。だが、その動きによって生じた一瞬の隙。
「ヴィー!今だ!」
「これでっ!」
ヴィーが一気に踏み込む。
ダリアンは振り返った。
「!」
ヴィーの蹴りがダリアンの側頭部へと叩き込まれる。
「……っ」
ダリアンの目が大きく見開かれた。
そのまま力が抜け、三叉の槍を地面へ落とす。体がゆっくりと倒れ、彼は気を失った。
「……」
それを確認して、ヴィーは刀を下ろす。
「……ったく。めんどくせぇったらねぇ」
エイルも銃を下ろし、ほっと息を吐いた。
「同感だ……」
二人は倒れたダリアンを見つめる。
そして、彼らは互いの拳と拳をコツン突き合わせた。




