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ブルーテイル・ハピリス‐世界に嫌われているダークエルフが世界を救っては駄目ですか?‐  作者: aki.
4、わたしのくろいほうせき

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教会へ





 そして学び舎が休みの日。マキノは早速、ルーン、ショウコ、フィルを連れてケインが使用許可を得てくれたという教会へ向かった。


「ルーンちゃーん!ショウコちゃーん!フィルさーん!こっちこっちー!」


 少し先を歩いていたマキノが大きく手を振る。その声が村の中心へ続く道に響き渡った。


「もう。そんなに急がなくてもいいでしょう」

「教会は逃げないよ、マキノ」

「そうだけど!でも、早く行きたいの!」


 やがて、目的の教会が見えてくる。サクラ村の中心地。そこに建つ教会は村の中でもひときわ目立っていた。

 高くそびえる建物。その上部には大きな鐘が取り付けられていて、その鐘からは風が吹くたびにかすかな金属音が聞こえてくる。


「…………」


 教会の敷地に目を向けると、そこには色とりどりの花が咲き乱れていた。

 生け垣は美しく整えられ、その間を縫うように石畳の道が続いている。


「きゅうっ」


 ルーンの肩に乗っていたブルーテイルが小さな声を上げた。

 周囲の景色に興味を引かれたらしく、ブルーテイルはルーンの肩から飛び降りてそのまま教会の敷地へ駆けていく。


「あ、ブルーテイル!待ちなさい!」


 ルーンは慌てて追いかける。

 教会の使用許可はきちんと得ているため問題はないはずだが、それでも勝手に動き回るブルーテイルを見ていると心配になってしまう。

 ルーンも敷地内へ入り、ブルーテイルを探しながら周囲を見渡した。


「もう……どこへ行ったの?」

「きゅうっ」


 すると、声が聞こえる。

 教会の建物前にあるテラス。そこにブルーテイルがいた。

 色とりどりの花と生け垣に囲まれながら、楽しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねている。


「ブルーテイル!」


 近づくとブルーテイルは跳ねるのをやめ、彼女に胸に飛び込んだ。


「きゅうっ」

「もう。勝手に走っていったら駄目でしょう?」


 そう言いながら、ルーンはブルーテイルの体を撫でる。反省しているのかいないのか。ブルーテイルは気持ちよさそうに目を細めた。

 その様子を見ながら、後からやって来たショウコも周囲を見渡す。


「綺麗な場所ね」

「ええ」


 その言葉にルーンも改めて庭を眺める。近くには小さな池があり、水面にはいくつかの蓮の葉が浮かんでいた。

 花々に囲まれた庭。静かな池。大きな教会。


 そこに漂う空気は、サクラ村全体の雰囲気とは少し異なっていて、


「なんだか、別の大陸にいるみたいね」


 ルーンはぽつりと呟いた。

 それは独り言のつもりだった。


「この教会は、北の大陸にある城をイメージして建てられたものなのですよ」

「え?」


 背後から声が聞こえる。

 振り向くと、そこには一人の女性が立っていた。腰まで伸びた黒髪が風に揺れて、穏やかな表情を浮かべている。


「いらっしゃい。貴女たちは、学び舎の生徒ですね」


 女性は微笑む。


「……貴女は?」


 ショウコが尋ねると、女性は小さく会釈した。


「はじめまして。私はこの教会のシスター、カエデと申します」


 彼女はスカートの裾を軽く持ち上げ、丁寧に頭を下げてにこりと笑う。

 彼女が身につけているのは、青と紺を基調とした修道服だった。胸元には十字架のネックレス。腰まで届く黒髪と相まって、どこか凛とした雰囲気を漂わせている。


「…………」


 ルーンとショウコは顔を見合わせ、そして二人も同じように頭を下げた。




+


 扉を開けて教会に足を踏み入れると、そこにはすでにマキノとフィルがいた。彼女たちは教会の奥を見上げていて、ルーンとショウコも二人の視線を追う。

 高い天井。その上部に設けられた大きなステンドグラスが陽の光を受けて鮮やかに輝いていた。差し込んだ光が床へ落ち、色とりどりの模様を描いている。

 そのステンドグラスの下。祭壇の近くには、一体の女性像が鎮座していた。背中には大きな羽根。両手を胸元で合わせ、静かに目を閉じている。


「すごいね、ショウコちゃん!」

「うん。教会の中って初めて入ったけど、こうなってたんだね」


 マキノの声が教会内に反響し、ショウコが感心しながら言う。


「きゅう!」


 ブルーテイルもルーンの腕の中から、興味深そうに周囲を見回していた。


「さぁ。こちらへどうぞ」


 カエデに案内され、四人は像のもとまで歩いていく。


「ケインさんからお話は伺っています。どうぞ、この教会内にあるものはご自由にお使いください」


 辿り着くと彼女は振り向き、穏やかな口調で続けた。


「あっ。ありがとうございます!」


 マキノが元気よく頭を下げる。


「何かありましたらお呼びください」

「はい!」


 カエデはにこりと微笑み、丁寧に頭を下げた。そしてその場を離れ、教会のさらに奥へと歩いていく。

 足音が遠ざかり、やがてその姿が見えなくなったところでルーンたちは顔を見合わせた。


「それで、ここからどうするの?」


 ショウコが尋ねる。


「とりあえず、今回は下見だから。まずは、どこに何があるか見ようよ」


 マキノは顎に手を添え、教会内を見渡した。


「いろいろ考えるのは、それからで」

「そうね」


 その言葉にルーンは頷き、彼女に合わせてショウコとフィルも頷く。


「じゃあ、行こう!」


 そしてマキノが先頭に立ち、四人はまず教会の中を探索することにした。




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