表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブルーテイル・ハピリス  作者: aki.
3、ダークエルフ
205/263

無理ゲー





「いや。これ無理ゲーだろ」


 ゴールへ辿り着いた瞬間、修介はそう吐き捨てた。

 ルーンも修介も全身びしょ濡れ。

 結果は惨敗。髪からは水が滴り落ち、服は肌にべったり張り付いている。


「先生ら、これ酒の席で考えたろ。アホ過ぎる」


 修介は肩を落としながら空を仰ぐ。

 ルーンは何も言わず、自分のシャツの裾を握る。ぎゅっと絞ると大量の水が流れ落ちた。

 ぽたぽたという可愛らしい量ではなく、小さな水たまりができるほどの量だ。


「……ほんと、酷いわね」


 思わず呟く。

 あれだけ慎重に進んだにもかかわらず、結果的に何度も見つかった。

 途中から円盤の方が楽しんでいたのではないかと思うほどに何度も水をかけられ、この有様である。


「でも、これで三つ目が終わった。残りは一つだな」


 修介は濡れた前髪をかき上げ、そう言って前方へ視線を向ける。

 その時、ピコン。と、スマートが音を鳴らした。


『私は大丈夫です。防水加工がされていますから、水に濡れてもへっちゃらです!』


 突然の発言。

 画面には得意げな顔文字が表示されていた。


「……聞いていないわ」

『うーむ。少しは心配してほしいです……』


 ルーンが冷静に返すと、スマートはその顔をしょんぼりした顔文字に変える。

 しかしすぐに気を取り直して、本題へ移った。


『それでは最後のゲームについて説明しますね』


 画面が切り替わる。


『最後、四つ目のゲームは借り物戦闘です』

「借り物戦闘?」

『はい』


 ルーンは首を傾げる。


『ここで先ほどのポイントを使用します。ルーンさんの現在のポイントは十』


 画面に数字が表示され、続いて新たな画面が開いた。

 そこには様々な武器の名前が並んでいる。


 剣。刀。槍。盾。

 その他にもいくつか。

 それぞれの横には必要ポイントが表示されていた。


『ポイントを使用し、武器を選択してください』

「武器?」


 修介もスマートを見つめている。

 スマートはさらに説明を続けた。


『武器を借りたあと、皆さんにはコロコロコロ四郎を追いかけてもらいます』

「コロコロコロ四郎?」


 修介は眉をひそめる。

 その瞬間、修介のスマートが突然光り出した。


「うおっ!?」


 画面から何かが飛び出してきて、修介は慌てて手を伸ばし反射的にそれを掴む。

 掌の中に収まったのは小さな銀色の球体だった。

 つるりとした表面。金属のような質感。

 そして。球体の中央に、点と線で構成された顔が浮かび上がる。

 閉じていた目がゆっくり開いた。


『こんにちは。ボクはコロコロコロ四郎』


 球体が喋る。

 そう名乗ると、ふわりと浮き上がった。

 修介の手を離れた球体は、そのまま二人の周囲を漂い始める。


「何これ?」


 ルーンは眉をひそめ、訝しげな視線を向けた。

 コロコロコロ四郎は気にした様子もなく、のんびり宙を飛ぶ。


 ピコン。

 再びスマートが音を鳴らした。


『以下の武器の中から好きなものを選択してください。その選択した武器でコロコロコロ四郎を捕まえてください。それがルールです』

「なるほど。なんとなくわかった」


 画面には武器一覧。

 修介は頷いた。

 彼のポイントは十二。

 表示された武器の中では刀と槍が選べる。


「俺は、これにするよ」


 迷いなく選択する。

 ルーンも自分の画面を見つめた。


『ルーンさんのポイントは十。交換可能な武器は木の棒、木の盾、木の剣です』

「…………」


 スマートが告げる。


『どれがいいですか?』

「……他にはないの?」

『残念ながらありません』


 即答。


『私のオススメは木の棒です』

「どうして?」

『分析の結果。ルーンさんは魔法はプロ級ですが、力はそんなにありませんので』

「………」


 淡々と告げる。

 スマートに悪気はない。


「確かに力はないけど……」


 うーん。と、ルーンは悩む。

 悩んだ末、彼女は木の盾を選択した。

 画面をタップすると、光が溢れる。


 ポンッ。と、軽い音とともに武器が飛び出してきて受け止めた。

 手の中にあるのは丸い木製の盾。


 持ち上げる。

 思ったより軽い。

 裏側にはしっかりと持ち手も付いていて、叩いてみると、コンコンと乾いた音が響いた。


「これなら扱えそうね」

『ルーンさん。修介さん。共に武器選択完了』

「ルーンは盾か」

「貴方は刀?」

「ああ」


 見ると、彼の手には刀が握られていた。


「これが一番使い慣れてるからな」


 そう言うと、鞘から刃を抜く。

 銀色の刃が光を反射する。

 そして、空になった鞘を足元へ放り捨てた。


「さて」


 修介が刀を肩に担ぐ。

 銀色の球体…コロコロコロ四郎が二人の前へふわりと飛んできた。


『二十分以内にボクを捕まえることができれば、お二人の勝ちです』


 のんびりした声。


『では、健闘を祈ります』


 画面の中のスマートも笑顔を浮かべる。


『頑張ってください!』


 ピーッ!

 と、開始を告げる音が鳴り響く。


「!」


 その音を聞くとコロコロコロ四郎はくるりと背を向け、猛スピードで飛び去っていった。


「逃がすか!」


 修介が即座に反応する。

 刀を握り直しながら走り出した。


「行くぞ、ルーン!」

「ええ……!」


 ルーンも力強く頷く。

 木の盾を構え、地面を蹴る。

 逃げる銀色の球体。

 追いかける二人。


 最後のゲームが始まった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ