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俺のスキルが《冷蔵庫》なんだが。〜異世界転生したけど、スキル名が微妙です〜  作者: 村人B
三章 藤野 玄人、世界の真実を知りました。戦いたくはないです。
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52話 藤野 玄人、特訓します。②

「い、いや〜……お手柔らかに」


 俺がそう呟いた時には、校長先生はすでに俺の目の前に立っていた。


「っ!《けいし」


「遅いぞ」


 とっさに剣を盾に変えようとしたが、それよりも早く腹に一発叩き込まれた。


「ぐっ」


「もういっちょ」


 次は、頭の右側に思い衝撃。


「がっ」


 多分、俺は飛ばされたんだろう。目を開けて体勢を整えると、少し遠くに校長先生の姿があった。


「ほら、さっさと武器を構えろ!たとえ一瞬でも、敵は待ってくれんぞ!」


 彼女はそう言うなり、俺に向かって突っ込んできた。


「《形質変化》!」


 俺は、今度こそ剣を盾に変化させ、前に突き出す。


 ガンッッ!


「ぐぅっ……」


「ほぅ……」


 校長先生の右手と俺の盾がぶつかった瞬間、盾を持つ両手が痺れる。


 俺は追撃を避けるため、一度後ろに飛んで距離を取ろうとするが……


「自分の思う通りになると思っちゃいかんぞ?」


 距離は変わらず、当然離れることができると思っていた俺は気を抜いていたので、腹に右ストレートをいとも容易く入れられた。


「ぐがっ」


「さて、次は空中で体勢を整えてみろ」


「ぐあっ」


 俺は、地面に着かずに真上へ蹴り飛ばされる。


「ほら、しっかりと四肢を意識しろ!空中でも地上とできることは変わらん!」


 いや、変わんねえのはあんただけだよ。


 頭の中で全く別のことを考えた瞬間、校長先生に睨まれた気がしたので、ちゃんと四肢に意識をやる。


 えーっと……今、頭が下で落ちてる……落ちてる?


「……うおぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 お、落ち着け、まず、足を下に持ってきて、頭を上に!


「んえ?」


 恐らく、ちょうど体が地面に着くタイミングで体勢を変えたからだろう。俺は地面を蹴り、前傾姿勢で校長先生の方へと向かう形になっていた。


「おお、やればできるじゃないか」


 いや、たまたまっす。だから、その期待に満ちた目で見ないで?


「なら、もう一回だ!」


 その声と同時に、俺は宙に浮き上がる。わーい。あ、言っとくけど、こんなに殴られて蹴られて、痛くないわけないからな。


 さっきの、もう一回やってみるか。偶然、コツが掴めた気がしなくもないし。


 えーっと、最後には前傾姿勢になるように……頭が斜め上か。


「よっ……」


 お、成功した。


「流石だ、吸収が早いな。なら、次こそ眼を慣らせ」


 俺が着地した瞬間、正面から拳が突き出された。


「ぐべっ」


 その拳は、俺の顔面に命中、俺は後ろに仰け反る。


「ほら!体勢を整えろ!」


 その声に、俺は一瞬失いかけていた意識を取り戻し、バク転で体勢を整えた。


「そうだ。それを、反射のようにできるようにしろ。もう一回!」


「ぐべっ」


 再び、バク転。それから、右ストレート。また、バク転。


 それを十数回繰り返したところで、校長先生の拳がやっと見えるようになってきた。


「ぐべっ……」


 俺はバク転のスピードを遅め、しっかりと拳を視認する。そしてーー


「ここっ!」


 頭を下げればぶつかりませんっ!


「よく見た。だが、攻撃が一発とは思うなよ?」


「ぐはっ」


 しゃがんだ俺の腹に、校長先生のつま先が刺さる。


 そしてそのまま、俺の体は宙に浮いた。今回、浮きすぎでは?


「ぐっ……」


 腹の痛みに耐えながら、体勢を戻す。


「うむ、いい感じだ!このまま続けるぞ!」

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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