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俺のスキルが《冷蔵庫》なんだが。〜異世界転生したけど、スキル名が微妙です〜  作者: 村人B
三章 藤野 玄人、世界の真実を知りました。戦いたくはないです。
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51話 藤野 玄人、特訓します。①

「とりあえず、外に出ようか」


 そう言って連れていかれたのは、運動場のど真ん中。


「こ、ここで何をするんですか?」


「うむ。まずは、私と……」


 瞬間、危機を感じて膝を曲げる。


「戦ってもらおうかっ!」


 正面から繰り出される右ストレートを、曲げていた膝を伸ばして地面を蹴り、左に飛ぶことで避ける。


「い、いきなりかよっ……《れいぞ」


「させんっ!」


 迫り来るは、回し蹴り。腕を振り抜いた勢いをそのままに、左足、右足の順で地面を踏み、左脚で俺の横腹を蹴り飛ばす。


「ぐはっ……」


 その攻撃によって、俺は数メートル転がった。


「ふむ……やはり、スキル発動までにタイムラグがある。目指すべきは、タイムラグをなくす……いや、いっそスキル名を言わなくても発動できるようにするか……おっと、失礼。ほら、こい」


 俺が立ち上がったのを見て、校長先生は人差し指と中指をクイクイッ、と曲げた。


 ……挑発してくれるじゃないか。いいよ、乗ってやる。


「《レフォースΔ》バイーーテンッ!」


 テン、というのと同時に俺は地面を蹴る。


「ほお、なかなか速いな……」


「はあっ!」


 一瞬で間合いを詰め、低い体勢から、腹部に渾身の右ストレートを叩き込んだ……が。


「とはいえ、力がこもっていないぞ?やり直しだ」


 校長先生は、人差し指一本で俺の拳を受け止め、押し返してきた。


「うおっ!?」


 たったそれだけで、俺は二、三メートル退けられる。


 くっそ、どうする……殴るのがダメなら……剣でいくか。


「《れいぞ」


「だから、やらせんて」


「ぐっは……」


 気づくと、視界は青い空で満たされていた。文字通り右も左も分からず、地面に背中を削られる。


「しっかり相手を見ないと、瞬殺されるぞ?」


 そう言われ、上体を上げようとして……


「ぐっ」


 指一本で、それを止められた。


「ぐぐぐぐぐ……」


「ほら、もっと抵抗してみろ」


「ぐあっ」


 眉間の下のへこみをクイッと押され、俺は再び数メートル飛ばされる。


 また抑えられてはいけないので、押された勢いを活かしてバク転をし、体勢を整える。


「お……少しは学んだか……じゃあ」


 直後、腹部に衝撃。


「次は、目を慣れさせようか」


「ぐほっ……」


 ああ、俺は今、空を飛んでるよ……


 痛みのせいで落下体勢を整えられず、肩から地面に突っ込んだ。痛いよ。


「ほらほら、さっさと立て!」


 校長先生は俺の首根っこを掴み、ぽいっと放る。


「ぃでっ」


「まったく……気合いだ!根性だ!立て立て!」


 いや、あんたのせいであちこち痛いんだよ……


 と、頭の中で愚痴りながら立ち上がる。


「うおわっ」


「あっ」


 ふと地面に視線を落とすと、靴紐がほどけていたので結ぼうと思ってかがんだところ、頭上を校長先生の拳が通り過ぎていった。


 避けられるとは思っていなかったようで、彼女はそのまますってんころりん。


「ぶふっ……《冷蔵庫》」


 笑うのをこらえながら《冷蔵庫》を顕現し、杖を剣に変化させる。いや、笑ってないからね。


「おい!わら、笑うなよっ!」


「わ、笑ってないっす」


 俺が一生懸命笑いをこらえながらそう答えると、何故だか周囲から『ゴゴゴゴゴ……』と、音が聞こえる気がした。


「……いいだろう、死ぬくらいまでシゴいてやる」


 こうして、俺の訓練が始まった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

ブクマやポイント評価、感想やレビューで応援いただければ幸いです。(あとがきが進化)

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