48話 藤野 玄人、観光しました。②
「どうっ?驚いた?」
「あ、うん……」
驚いたなんてもんじゃないわ。がっつり都会じゃねえか。
「あ、きみきみ」
後ろから王様が話しかけてきた。さっきから影がうすい気がする。
「あそこにあるお店。オレンジの。あそこでケータイ買えるよ」
「あっ、ありがとうございます」
よし。後で行こう。
「じゃあ、今日は好きに見てくるといい。日が暮れたら、ここに集合だ」
そうか、じゃあ行ってこようかな。
「あっ、じゃあまた私が案内してあげるわ!」
こうして、キャルロットによる2度目の異世界観光ツアーが幕を開けた。
「じゃあ、まずはこっちから!」
連れていかれたのは、巨大な銅像がある広場だった。
「ん?これって……」
アメリカにあるやつだよな。確か……
「そうだ!自由の女神!」
「え、玄人、この像のこと知ってるの?」
「ああ。知ってるもなにも、俺のいた世界にあったものだよ……って、そういえば、ここにいる人はほぼみんな地球から来てるんだよな。そうなると、俺が知ってるものも多いのかも」
これ、別に異世界ツアーじゃないな。大体が地球にあるものっぽいし。
「むぅ……じゃあ、二つ目にしてとっておきの所に連れて行ってあげるわ」
おお、それは楽しみだな。
次に連れていかれたのは、デパートだった。
「……これ、デンキじゃないか」
「こ、これもあるのね……なら、次よ!」
それから、水族館やホームセンター、東京にあるツリーに似た建物などに連れていかれたが、なに一つとして知らないものはなかった。ホームセンターに行くとは思わなかったけど。
「むむむ……もう、ネタ切れ……」
少し休もうということで、ベンチに座る。
「ちょ、ちょっと待っててね?この辺りにまだ何かなかったか、思い出すから……」
そう言うと、キャルロットは「考える人」の様なポーズをとって「んむむむむ……」と悩み始めた。
悩んでいる姿はあまり見たくなかったので、俺はトントン、と肩を叩いた。
「はは。ありがとな、キャルロット。でも、そろそろ日が暮れそうだし戻ろうか」
俺が言うと、キャルロットは「ごめんね……」と、しょんぼりしていた。
そして、ベンチをたち、振り返ったところで、とある建物が目に入った。
「……?どうしたの、玄人?」
「……キャルロット、映画観ない?」
「ふぇ?別にいいけど……私と一緒でいいの?っていうか、時間は?」
「いや、キャルロットと一緒だからいいんだよ。キャルロットはこっちの世界にしか居ないし、それが元の世界とは違うところかな」
キャルロットの問いに対して、俺はそう答えた。
うーん、我ながらクサいセリフだ!クサすぎて鳥肌立ってきた……
「まぁ……時間は、どうにかなるでしょ」
俺たちが観たのは、ラブコメアニメの劇場版だった。どうやらキャルロットはその作品が好きだったようで、「わぁぁ!」と、楽しそうに観ていた。俺も本編は知らなかったけど、楽しく観れた。
「じゃ、行こうか」
「ええ!……その、玄人」
「ん?どうした?」
「……ありがとね」
これにて、キャルロットによる第二回異世界観光ツアーは終わった。
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