side.M
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急だったとは言え、年明けすぐに引っ越しをしたのは間違いだったな。
そんな事を考えながら荷解きを済ませた。荷解きと言っても、ダンボール4つとキャリーバッグ一つの簡単なものだった。
中古で買った愛車の走行距離の累計が実家に着く間際に15万kmを超えた。
コンビニで携帯で撮影した15万kmピッタリのメーターの写真を眺めながら、天井を見上げた。
懐かしい模様に一瞬視点が合わなくなる。
実家に帰ってきたんだ…
改めて実感した。
実家に戻るのは5年ぶり。何度か顔を出す機会はあったが、この部屋で眠ることは一度もなかった。
天井の模様をぼんやり眺めていると、気分が悪くなった。実家が嫌いな訳ではない。たくさん迷惑や心配を掛けたが、両親とも仲が良い方だと思う。
理由は分かっている。
もう25歳だ。子供じゃないんだから。大丈夫。上手くやれる。自分に言い聞かせた。
気持ちを落ち着かせるためにタバコを吸いたかった。部屋で吸うのは気が引けたので、コンビニまで車を走らせる。
コンビニに置いてある無料の求人誌をめくりながら缶コーヒーをドリンクホルダーにセットした。
懐かしい地元の地名が並ぶ。
大阪で就職…仕事は何でも良かった。条件は一つだけ。車通勤が許されていること。
愛車の木目ハンドルを撫でた。
しばらくは適当なアルバイトにするかな。と思いながら最後のページをめくろうとしたが、慌ててページをもどした。
「正社員 営業
広告代理店での新規開拓営業
車持ち込み可」
これなら、この子と一緒に働ける。
すぐに電話をして、面接を受けることになった。
就職活動には慣れている。
おそらく大丈夫だろう。そんな自信があった。




