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第二十八部 真祖 第一章

「いや、俺は妖の王の候補であって妖の王では無いから。この事は絶対に言わさせて貰う」


 その後に家に入ってからの話し合いで俺はそれだけは言うと断言した。


 話し合いは沢山参加できるように奥の間の畳の部屋で行われた。


 ここは爺さんが祈祷とかする為の場所でもあるので、一種異様な雰囲気がする。


 そんなところに<ひとつ>さんやら<赤錆(あかさび)>さんやら六兵衛さんやら渡辺陸将補やら怪しい面子が揃っていたのでさらに異様な雰囲気がする。


「まだ、言ってんのか? 」


 などと槙が六兵衛さんの近くに<ひとつ>さんにな睨まれながらも俺に愚痴る。


「お前も同時に行くんだろ? お前も妖の王の候補だって言うから」


「ええええええ? 」


「文句言うな。我が君、言っておいてくだされ。ヨーロッパの妖達にも妖の王の候補だった家臣として認識されれば、今後の交渉でやりやすい」


 などと六兵衛さんが勝手な事を言った。


「いや、家臣じゃないし」


「家臣もやりたくないんだけど」


「妖として認識が始まったら、蛟なんて人間として生きれるかわからん」


「蜃だし」


「同族だろうが」


「いや、進化型だから違うんじゃね? 」


「なら、余計に妖が認知されるようになったら難しくなる」


「いや、幻影使うし」


「いつまでもいつまでも霧の妖精を使って誤魔化すわけにはいかんだろうが」


「いや、幻影は霧の妖精使わなくても出来るし」


「ずーっと幻影で暮らすのか? 」


「合間合間に入れれば誤魔化せるでしょ。そもそも蛟にしろ龍族にしろ殺気とか出さない限りは大丈夫だし」


「どこかでばれるぞ? 」


「なるべく人と会わない仕事をするから」


「自宅警備か」


「いや、神楽耶君はそう言う突っ込みは良いから。ユーチューバーだってあるだろ? 」


「なんだか、神楽耶とお爺さんの言い合いにそっくりだね」


「まあ、似た者同士何だろうね」


「は? 」


「いやいや、違うだろ」


 などと爺さんと俺が反論した。


「こうやって見ると、うちの鬼の候補は普段は大人しいからな。確かに、口で勝てそうに無いわ」


 などと横で見ていた<赤錆(あかさび)>さんが呆れる。


「口で勝てなくたって、妖の王にはなれるよ」


「そーそー、諦めたら、そこで終わっちゃうし」


「言う事が両方同じだもんな」


 などと俺と槙が同じような事を言うので<赤錆(あかさび)>さんが呆れた。


 だが、ここで<赤錆(あかさび)>さんが諦めてもらったら困るのだ。


 俺達はとにかく、妖の王を誰かにしてもらいたい。


 俺達以外で。


「本気で諦めないよね」


「諦めたら、終わりだもの」


「向こうにすでに、妖の王として認識されているのにか」


「それは御前のせいだから。嘘を言っているんですよ、あいつって。俺が説明するから」


「<婆娑羅(ばさら)>様が推しているのに? 」


「まだ一人だけだし」


「いやだから、獅童の件をケリつけたら、お前だと」


「俺がケリをつけないで爺さんが付けたらいい」


「助けるんじゃないのか? 」


「助けた後は任せるから」


「ほら、神楽耶君と律蔵さんって六兵衛さんと槙君とそっくりだし」


「良く似ているわ」


 陽菜さんと香織が同じような感想を言った。


「どうして、お前らは妖の王になりたくないんだ」


 <赤錆(あかさび)>さんがドンって感じて畳を叩いて聞いた。


 回りに殺気を迸らせていたので有希がびくっとした。


「面倒事が多そうだから」


「貧乏だから」


 だが、俺と槙は全く気にせずに言い返した。


 そんな程度でビビってられないし。


「ああ、やっぱり器がちょっと違うなぁ」


 などと<ひとつ>さんが自分とこの候補を思いながら残念そうに呟いた。


「確かになぁ。全然怯えないし」


 などと<赤錆(あかさび)>さんも残念そうな顔をした。


「何を言っているんだ! <赤錆(あかさび)>さん諦めたら駄目だ! 」


「そうだよ。こんな面倒くさい話はこんな屁理屈を言うような俺達がするべきではない」


 俺と槙が必死だ。

 

 鬼派は<赤錆(あかさび)>さんが諦めたら終わりだ。


 槙だけでは駄目なのだ。


 少しでも多くの妖の王の候補がいる方が良い。


 とにかく、こんなとこで諦められると困る。


「本当に諦めが悪いんだな」


 渡辺陸将補が苦笑した。


 俺の心を読んだのだろう。


「そう言えば土蜘蛛の候補もいるんじゃないの? 」


「そう言えば、こんなの日本の妖全体の話だし」


 槙の言葉に同意した。


 来てないのはおかしい。


「いや、だから、連絡したら、わかりましたって言って、また一族郎党全部が消えたんだよ」


「いつもの事らしいぞ」


 渡辺陸将補が呆れたら爺さんも苦笑していた。   


 

 

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