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第二十七部 転入生 第七章

 と言うわけで、手錠をしたまま家に帰る。


 まるで犯罪者みたいな扱いだ。


 そして、<ひとつ>さんに引きずられていく槙。


「あ、蛟になったら、六兵衛さんが制裁するってよ」


「ふあぁぁぁ? 」


 などと槙が動揺している。


「お前、街中で蛟になろうとするなよ」


「いや、お前こそ、手錠つけて歩いてんだぞ? 」


「さっきまでホテルに行くって事で手錠をされてた癖に」


「いや、お前が余計な事を言うからだろ? 」


「だって、陽菜さんがやっているんだもの、俺じゃ無いし」


「やれやれ。それにしても、<ひとつ>さん良いの? 街中で」


「鬼の隠れ蓑をつけているからな。そんなに目立たないなら気が付かれる事は無いわ」


 彩の質問に、<ひとつ>さんが答えた。


 織の隠れ蓑が凄く小さい。


 身長のでかさに対して、隠れ蓑の大きさ違い過ぎて。


「ちっさ! 」


 慎がそれで苦笑した。


「いや、捕まっているくせに」


「お前も変わんないじゃん」


 などと槙が最後まで文句を言ってきた。


 結局、不貞腐れたまま家に帰る事になった。


 そうしたら六兵衛さんと爺さんが並んで待ってた。


「やっぱり、即座に気が付いて逃げようとしてたよ。神楽耶君を捕まえるまでは油断してたから、<ひとつ>さんにそこを捕まえてもらったわ。本当に予想してたとおりに動くんだね」


 陽菜さんが苦笑した。


「まあ、そんなもんだろ」


「うちの神楽耶も気が付いて逃げたかもしれんが、武闘派じゃ無いから、逃げれんしな。槙君は実は相当な武闘派らしいから、<ひとつ>殿に頼んだ」


 などと爺さんが他人事である。


 ふさげんなよと思いつつも、目がぎらぎらしている。


「ああ、御前の情報が入ったんだ」


「ああ、良く分かったな」


 などと爺さんがギラギラの目で話す。


「いや、そんだけギラついてればね」


「やはり、瀬織津姫様の力でほぼ前に持ってた力は失ったらしい。精神コントロールも前ほど効かず、それで厄介ごとになる前に某国から距離を置いて逃げていたようだ。それで、前から話していたヴァンパイアのヴラド系の傍系のグループと連絡を取ろうと動いてた時に今回のヴラド直系のヴァンパイアの部下が何度か襲撃したが、全部逃げられたって話だ。ただ、余裕はなく逃げたようだ。御前がかなり弱体化しているのは間違いない」


 爺さんの顔が悪代官みたいな悪い顔をしていた。


「ああ、獅童の力は未来予知だからなぁ。それだと逃げられてしまうよなぁ」


「ぎりぎりで逃げだしたらしいから、恐らく……」


「獅童が抵抗しているって事か? となると未来予知は獅童が持ったままか」


「そう言う事だ。多分、今なら御前と分離できるし綺麗に出来る」


「良いの? 御前を始末しても。ちょっと後悔してたけど……」


「ああ、もし、改心して性格が変わるなら、それでも良いし。本音で言うと同じ身体で心は分離だ。コピーしていた方と獅童君が残っていて、そっちが勝つといいんだがな。それなら、それはそれで始末せずにしておくつもりだ」


「ほう、随分と考え方が変わったんだな」


 などと渡辺陸将補がいつの間にか背後から来ていた。


 どうやら、ホテルにいたらしい爺さん達も一緒だ。


「え? ここで真祖のヴァンパイアに会うの? 」


「分からん。今、いろいろと交渉中だが、一方的な連絡だけだからな」


「一方的? どうやって? 」


「スマホのメッセージで連絡が来るんだけど」


 などと陽菜さんが雰囲気を台無しにする発言をした。


 そうかぁ、誇り高いヴァンパイアもスマホを使うんだ。


 そりゃ、別にスマホは便利だしなぁ。


「ここでやるなら有希ちゃんを別の場所に移動した方が良いんじゃないの? 御両親も」


「いやいや一人で来るとか言って嘘だったらやばいでしょ」


 彩の突っ込みを陽菜さんが否定した。


「誇り高いからしないんじゃないの? 」


「普通ならそうだけど、まあ、スマホで三代目の妖の王が使ってた符丁が来て、それで信じて話し合いしているだけだからな。しかもメッセージだけだし」


「うわぁ、うさん臭い」


 彩に言われたら、どうしょうもないな。


「だから、待つしか無いんだ。<蒼月>殿が西洋の妖の情報通と連絡して調べた話で裏は取れているので、間違いないと思うんだがな」


 爺さんも少し不安そうに答えた。


「問題はあるんだ」


 などと六兵衛さんが言いだす。


「は? 」

 

「何かあるなら、言っといてくれよ」


 爺さんと渡辺陸将補が突っ込んだ。


「いや、真祖とか言っても所詮自称だからな。二人か三人いるんだよ。で、どうもこれ……一番にやばい奴かなと……槙がえらく敏感に反応しているし」


「どんな見分け方だよ」


「お前、身体が震えるようにビビっているだろ。その反応が見たくて実は槙を呼んだんだ。やっぱ一番やばい奴かな? 」


 などと六兵衛さんが酷い事を言う。


 だけど、それは何となくわかる。


 俺より、そういうのに敏感そうだし。


 鉱山のカナリアみたいな存在なんだ。


 そんな事を聞いている間に外が段々と暗くなってきた。


 ヴァンパイアが動く時間になってきたという事だ。


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