梅干しとともに 三句
梅干しを漬けるようになってからの、ちょっとした一句です。
初夏の台所の空気を思い出しながら読んでいただければ。
梅干しとともに 三句
<1>初夏
D判定
妻が睨むは
梅の塩
【解説】
一昨年前から、梅干しを漬ける趣味を得た。
塩分18%の本格派。冷蔵庫不要のれっきとした
保存食だ。
例年どおり今年も漬けて、瓶の中で塩がとける
のを待っている。
先日受けた健康診断の結果を妻に見せた。
血圧まわりにD判定アリ。
診断書から顔を上げた妻は、瓶の中の塩を横目で
睨んだ。
早くとけろ。
私は祈った。
妻はこちらを見た、そして…。
<2>真夏
梅の実を
干して憂うは
にわか雨
【解説】
梅干しは真夏の晴天下、夜には取り込みながら、
3日間ほどの天日干しを行う。
そうすると、赤く色づき、食味も日持ちも良くなる。
今日はその3日めなのだ。
家族に付き合って買い物へ行くと、
突然のスマホバイブが。
にわか雨の予報を告げるメッセージだ。
ヤバい。
私の心には、一足先に暗雲が垂れ込めていた。
人間には傘があるが、梅の実には…。
私は決断した。
今度の週末、フレンチレストランでの家族団欒を。
…まあ、何とかなったよ。
<3>年の瀬
梅酢割り
ながながし夜を
ひとりかも寝む
【解説】
仕事の都合で、年末は出勤となった。
そういうことで、私を除く家族は、
年明けまで妻の実家へ行っているとのことだ。
今年の梅干し、年末だと食すにはまだ少し早い。
せめてもと、焼酎の梅酢割りをあおって、
家族のいない長い長い夜を、
たった一人で寂しく寝ることになるのかなあ。
…家族は三が日を過ぎてから、無事に帰ってきたよ。
読んでくださり、ありがとうございました。




