第7話 魔物もびっくりシチュー・リボーン
ある晴れた日、エミリアは厨房で腕組みをしていた。
「前回のシチューは、ゴブリンが涙を流して故郷を思い出しただけだ。
今回は……もっと衝撃を!」
彼女は、地下室から取り出した古代のレシピを広げた。
そこには「千年眠るマンドラゴラの根」「月明かりで育てたシイタケ」「雷雨の日に集めたキノコ」と書かれていた。
「よし、これなら間違いない!」
問題は、マンドラゴラの根が、引き抜くときにとんでもない悲鳴を上げることだった。
エミリアは耳栓を二重にし、聖なる手袋をはめて挑んだ。
「えいっ!」
「ギャーーーーーッ!!!」
悲鳴は厨房の窓ガラスを割り、隣の修道院の鐘を鳴らし、街の犬を一斉に吠えさせた。
しかしエミリアは勝利の笑みを浮かべ、うねうねと動く根を鍋に放り込んだ。
シチューが煮えるにつれ、厨房からは、森の奥深くのような、土と生命の香りが漂い始めた。
色は深いエメラルドグリーンに輝き、表面には小さな光の粒が浮かんでいた。
試食に来た騎士団長のレオンは、一口すすって目を見開いた。
「なん……だと……これは……」
彼の目からは、止めどなく涙が流れた。
「私の青春時代……初恋の女性……失った戦友たち…すべてが思い出される……」
エミリアは満足そうにうなずいた。
「成功ね。でも、ちょっと感情に訴えすぎたかしら?」




