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第5話 夢見るクッキー
週末の子供教室は神殿で最も賑やかな時間だった。
町の子供たち10人が厨房に集まり、エミリアの指導でクッキーを作った。
「今日は『夢見るクッキー』です。形は自由ですが、それぞれが将来の夢を形にしてください」
少年リュックは剣士になりたいと思い、クッキーを剣の形に成型した。
少女マリーは花屋を夢見て、花の形を作った。
小さなトムは形がわからなくて困ると、エミリアがそっと手を添え、「何でもいい、心に浮かぶままに」と促した。
トムは最終的に、不思議な渦巻きの形を作った。
クッキーが焼き上がると、エミリアがそれぞれに微かな祝福を捧げた。
「食べる前に、自分の夢をしっかり思い浮かべてください。そして一口食べたら、その夢を実現するための小さな一歩を考えましょう」
リュックはクッキーを食べながら、明日から毎朝走る練習を始めると決めた。
マリーは母親の庭の手伝いを増やすことを思いついた。
トムは渦巻きのクッキーを味わい、なぜか「字を習いたい」という考えが浮かんだ。
彼はそれが夢だと初めて認識した。




