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第3話 勝利のシチュー
騎士団長レオンは、辺境の魔族討伐任務の前夜、20人の騎士を率いて神殿の厨房に現れた。
重い鎧の音が石廊下に響く中、エミリアはにっこり笑って彼らを迎えた。
「今夜は特別なシチューを用意しました。それぞれが勝利の味を思い出すように」
大きな鍋の中で、赤ワインで煮込まれた牛肉は深紅の輝きを放ち、森のハーブと神殿で育てられた魔法の根菜が香りを添えた。
エミリアが鍋に手をかざし、静かな祈りを捧げると、シチューから微かな金色の光が漏れた。
「これは『勇気の記憶』です」
エミリアが説明した。
「食べた人が過去の勝利を思い出し、新しい戦いでも同じ力を得られるように」
レオンが最初の一口を味わうと、10年前、まだ見習い騎士だった時に狼の群れから村を守った時の感覚が鮮明に戻った。
筋肉に力が漲り、心に確信が生まれた。
他の騎士たちもそれぞれの記憶を呼び起こし、任務への不安が静かな自信に変わった。
翌朝、騎士たちは魔族の要塞を驚異的な速さで攻略し、無傷で帰還した。
レオンはエミリアに報告し、シチューの鍋に残った最後の一滴まで大切に飲み干した。




