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第四十一章 象徴的な一人



対象は、

もはや思想ではなかった。


名が出た。


重い名。


立場も、影響もある。


この一人を処すれば、

流れは決定的になる。


処さなければ、

支持は揺らぐ。


議は短い。


誰も強く反対しない。


亀裂は、

すでに場外にある。


直弼は、

筆を取る。


恐れは、ない。


ないのではない。


超えた。


署名する。


その名が、

場を静める。


外は、即座に応じる。


「断乎たるご決断」


断乎。


その言葉が、

時代を固定する。


夜、埋木舎。


直弼は、庭に立つ。


炎は、

いま最も高い。


だが、

高く燃える炎ほど、

やがて落ちる。


直弼は知っている。


ここまで来れば、

帰らぬ。


朱は、

最も鮮やかで、

最も孤独だ。

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