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第2話 巨乳メイドと巨乳お嬢様

「さあ、偉大なる賢者様。こちらへ!」


 黒猫おはぎを抱え、路地裏から連れ出された俺は、元騎士だというルナの案内に従って歩いていた。

 行き着いた先は、ウツノ都の中心部、巨大な神社『フタアラ』の跡地を見下ろす高台にある白亜の豪邸だった。


(いや、どうしてこうなった……俺は適当な安宿で一日中寝ていたかっただけなのに……)


 逃げようにも、真横には銀色の甲冑を着込んだルナがピッタリと張り付いている。

 そして何より、彼女が歩くたびに、その規格外の巨乳が「ボイン、ボイン」と恐るべき質量を感じさせる音(※幻聴)を立てて揺れるのだ。


(くっ……なんだあの暴力的な揺れは! 前のブラックギルドには男しかいなかったから、あんなものを見せられたら視線のやり場に困るだろうが!)


 内心で血の涙を流しながらパニックを起こしている俺だが、長年の訓練により顔面は完全な無表情で固定されている。


「お嬢様! ルナが戻りました! なんと、大暗黒獣を平定せしめた偉大なる御方をお連れいたしました!」


 豪邸の大広間に通されると、そこに一人の少女が駆け寄ってきた。


「本当ですかルナ!? まあっ!」


 透き通るような金髪を縦ロールにした、フランス人形のように可憐な少女だった。

 年は十七歳くらいだろうか。ウツノ都を治める領主の娘、大富豪のお嬢様であるエレナだ。

 しかし、俺の目は彼女の可憐な顔よりも、その首から下に釘付けになった。


(デッカ!?!? いや、ルナよりデカくないか!? なんだこの屋敷、巨乳しかいないのか!? ウツノ都の栄養状態どうなってんだよ!)


 華奢な体に不釣り合いな、空間の因果律すら歪めかねない『規格外の巨乳』。

 それがドレスの胸元からこぼれんばかりに主張している。


「初めまして、賢者様! わたくしはエレナと申します。この度は、都の危機を救っていただき、本当にありがとうございますわ!」


 エレナは興奮した様子で俺の手を握り、瞳をキラキラと輝かせた。

 至近距離で巨乳が押し付けられそうになり、俺は極限の緊張状態に陥った。

 ここで少しでもニヤケ面を見せれば、ただのエロ親父だ。俺は限界まで表情筋を固め、あえて視線を逸らし、極限の低音ボイスで短く答えた。


「……ふぅ。名乗るほどの者ではない。それに、俺は何もしていない」


 事実、ただデカい猫をモフっただけである。

 しかし、その言葉を聞いたエレナとルナは、雷に打たれたように顔を見合わせた。


「な、なんという謙虚さ……! あれほどの偉業を成し遂げながら、恩を着せる素振りすら見せないなんて!」

「さすがは賢者様ですわ! その高邁な精神、わたくし感動いたしました!」


(違うから! 本当に何もしてないから!)


「賢者様! どうかこのウツノ都に留まり、わたくしたちをお導きくださいませんか!? 報酬はいくらでもお支払いいたしますわ!」

「いや、俺は……」


 働きたくない。

 その一心で、俺は静かに首を振った。


「俺はただ、静かに眠れる場所さえあればいい。煩わしい仕事も、地位も名誉もいらん。……何もしない時間が欲しいだけだ」


 究極の面倒くさがりから出た本音。

 しかし、二人の目には大粒の涙が浮かんでいた。


「おおお……! 俗世の欲を完全に捨て去り、ただ静かな瞑想の時間を求めておられるのですね!」

「なんという孤高の存在……! わかりましたわ、先生! 先生の『静かな時間』は、わたくしたちが全力でお守りいたします!」


 数日後。

 俺のために、ウツノ都の一等地に『賢者の相談所』という名目の、超高級住宅が建設された。

 ルナが専属の住み込みメイドとして配置され、掃除、洗濯、料理から金銭管理に至るまで、生活のすべてが「全自動」で提供される環境が整った。


「……最高だ」


 ふかふかの最高級ベッドの上で、俺は巨大な黒猫おはぎの腹に顔を埋めた。

 両脇には巨乳のお嬢様とメイド。そして、何もしなくても美味しいご飯が出てくる。

 俺の理想とした「全自動スローライフ」が、ここに極まったのだ。


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