第27話 海水浴場と魔獣
神奈川県鎌倉市の鎌倉駅で電車を降りる。
「んー!!後は歩きだー!」
「早く遊びたいよー!」
「そうね〜。楽しみ。」
「わ、わたしもぉ...。」
「私もねむさんの水着姿見るのが楽しみ!」
「...見たでしょ。」
「海で見るのがいいんだよぉ!」
「...はぁ。」
もう訳が分からん。
「ほらほら!早く行こ?」
「あぁ。」
「今行くわ。」
─────
──
「やっと着いたぁぁぁ!!!」
「早速遊ぶぜ!」
「ちょっ、ちょっと!皆日焼け止め塗るから!!」
「あ、そうだった...。」
「そうだな...。」
ビーチに着くと、そこはチラホラと人がいる程度で夏休みにしては凄く少なかった。
「ねむさんは私が塗り塗りしてあげるよ!」
「......断る。」
「えぇ!?なんでぇ!?」
「......その手を抑えてからものを言え。」
「は!!...これは違うんだよ?」
「......。」
「由利香はダメ!私がやるから!」
「何でよ。」
「...佐々木さんでいい。」
「ほらぁ!!」
「嘘でしょぉぉぉ!」
ビーチパラソルを立てて、シートを敷いて、その上に寝転がる。
「じゃ、じゃあ触る、よ...?」
「ん。」
「.......ゴクリ...。」
「?」
チラリと顔を見ると由利香さんと同じく手をワキワキさせていた。
.........早まったかも。
──ピタッ...
「んっ...。」
「ごごごこめん!!」
「...大丈夫。」
「わ、分かった...。」
──ヌリヌリ......
「...よし!終わったよ?」
「ん。ありがと。」
前にも塗ろうとして起き上がり、日焼け止めを探す。
「...?どこに──ひゃあ!?」
「ムフフ!私がねむさんに塗って上げるよ!」
「...さっき断ったんだけど...。」
「いいじゃん!ほれ!ほれ!」
「あ、ちょっ...んぅ!....ふっ...ぁぅ...。」
「可愛いなぁ!!」
「ちょっと由利香!」
「いてっ!!何するのぉ!?」
「何するのはこっちのセリフだよ!うらやまけしからん!」
「羨ましかったのぉ??」
「くっ...。」
「───」
『ねむ。1時間後に蝶型のA級魔獣がここに現れるよ。』
『...わかった。』
『それよりも楽しそうだね。』
『...ない。』
『まぁいいや。多分あの子達気づかないと思うから頑張って倒してね。それと多分魔法少女の姿はバレると思うから動揺しないようにね。』
『...?』
『え?だってあの子達のスマホカバンの中でしょ?魔獣が来るなんて分かんないよね?あとあの蝶はねむの《夢》みたいに精神に影響を与えるような技を無効化するフィールドを張るんだよね。だから《夢》と斬った後の現実化は出来るけど姿を誤魔化すことは出来なくなるってこと。』
『なるほど。分かった。』
『それじゃあ1時間後、頼んだよ?』
『ん。』
「──むちゃん!ねむちゃん!」
「ん?」
「あぁやっと気づいた!ねぇねぇねむちゃん!海で遊ぼ?」
「...ここにいる。」
「えぇー?せっかく来たのに...?」
「.........ん。」
「むー...。残念...。」
「...ごめんね。」
「ううん!大丈夫!じゃあ行ってくるね!」
「ん。楽しんできて佐々木さん。」
「うん!あ、あと沙羅って呼んでね!」
肩まで伸びる天然ゆるふわパーマの黒髪を揺らしながら海に向かっていく佐々木さ...沙羅さん。
─────
皆がビーチバレーをしだした頃、私はトイレに行くと言って物陰で魔法少女になる。
──ドゴォォォンッ!!!
「な!?魔獣だと!?」
「逃げろぉぉぉ!!!」
「え!?なんで魔獣が!」
「ま、ましゃか...。」
菜々はカバンに入っていたスマホを見る。...そこには通知が100件以上あった。
「っ...ここで変身したらバレる...。」
「...そうね...。トイレに行き...あ!倉野さん!!」
「は!ねむちゃんが危険!」
「早くトイレに行こう!...え!?なんでまだ人がいるの!?」
「ピピピピピピピピ....。」
「...。」
──ブォンッ...。
紫色の膜がここら一帯に張られる。
「ピピピピピピピピピピピピピピピピ!!!!!」
──ズドォォォン!!
デカい蝶の無数にある触覚が伸びて攻撃してくる。
「危な──!!」
──ザザザザンッ!!
「ピピピピピピピピピピ!?!!!?!?」
急に現れた無数のナイフにそのことごとくが切り刻まれた。
「な!?」
「え!?魔法少女!?」
「しゅ、しゅごい...。」
「ん...?どっかで見たような...?」
「これで終わり。」
「ピピッ!?」
──ズドォォン!!
謎の白髪魔法少女のサイドに現れる2本のバカでかい黒剣。それはデカい蝶の身体を貫いた。
「...ピピ......ピ......。」
──ズゥゥゥゥゥン......
「か、勝った...?」
「...あの魔法少女強いね...誰だろう...?高ランクならば全員変身姿を見たことあるから分かるんだけど...見たことないな...。」
「しぇ、政府の方に連りゃくしたからもうすぐ来ると...思ぅ...。」
「ありがとね菜々ちゃん。」
「ぅん!」
「...ふぅ。」
この姿はバレたが、ねむだということはバレてないはず。これ以上一緒にいたらこの似てる顔をした魔法少女の姿を見られてバレるかもしれない。
そうして私は蝶の頭にあったマナストーンを取り出し、トイレにワープした。




