第20話 夏だ!海だ!S級魔獣だ!!
──ミ゛ィ゛ィ゛ィ゛ン゛ミ゛ィ゛ン゛ミ゛ィ゛ン゛ミ゛ィ゛ィ゛ィ゛ン゛!!!
セミがそこら中で鳴く中、私達は終業式を終えた。
「お前ら高校最初の夏だからって浮かれんじゃねぇぞー?」
「光輝ー!海行こーぜ!!」
「成瀬ー?お前たしか補充じゃ無かったか?」
「ぐっ!!」
「英語赤点だったよなーお前。」
「嘘だァァァァァ!!!!」
「「「「あはははははは!!!!」」」」
特にこれといって変わったことは...いや、私自身はちょっと変わった。まずは《夢》の有効範囲がこの1ヶ月ちょっとで半径約200mちょいになった。次に、《物質生成》が《夢》と組み合わせる事ができるという事に気づいて実践している。
例えば、私が魔獣狩りの時に使うナイフ。今までなら、普通のナイフとして自分の身体能力のみで斬りつけていた。だが、《夢》と組み合わせることで、ナイフを軽くしたり重くしたり、浮かせたりする事ができるようになったので私自身が何もしなくても良くなった。
「ねむちゃん!」
「......ん?」
「夏休み海行かない??」
思考に耽っていたら沙羅さんに海に行かないかと誘われた。あぁ、沙羅さん呼びなのは本人がそう呼んで欲しいと言ったからそう言っているだけであって別に私はどっちでもいいと思ってる。
「海?」
「うん!あそこの4人と一緒に!」
「...。」
「...べ、別に忙しいんだったらいいよ?」
上目遣いでこちらを窺う沙羅さん。...最近何故かこの視線に断れなくなってきている。
「......いいよ。」
「やったぁ!!...みんなぁあ!!!」
「......はぁ...。」
あの4人組の元へ戻っていく沙羅さん。私は今回も断れずにため息をついた。
─────
──
「...ただいま。」
「おかえりなさいませマスター。」
「おかえりー。」
帰宅後、私は部屋に篭もって夏課題をする。この難易度ならば今日中に全教科終わるだろう。
「え...遊ばないの?」
「ん。」
「まじか。高校1年の夏って皆あそんでるんじゃないかなぁ...。」
「ん。」
「ねむは宿題早めに終わらせるタイプって事なんだね!」
「ん。」
「そっか。沙羅ちゃん達と目一杯楽しみたいもんねぇ!」
「...違う。」
「...もう。照れちゃって。」
「集中してるから黙ってて。」
「あ、はい。」
うるさいヤミを一喝し、課題に意識を集中させる。
今年の夏休みは去年と違って楽しく──はっ!!違う違う!!別に変わらないし...!
1人心の中で言い訳をしながら課題を取り組んでいったのだった。
─────
──
──グサササササッ!!!
「...ピギィイイ!?!?」
ちょっと離れた場所から宙に浮かせた無数のナイフで魔獣を刺し、現実化。...よし。問題無さそうだ。
あれから1ヶ月でA級までなら難なく夢に落とせるようになってきた。S級は試したことないから分かんない。
未だにあのS級魔獣に狙われているが、最初以外、攻撃を受けていない。まぁ逃げ回ってるから当然っちゃ当然なんだけどね。
「いやぁやっぱりねむは成長が早いなぁ...。」
「...そう?」
「うん。だってこの1ヶ月でC級からA級クラスまできたじゃん?それって普通じゃありえない事だからね?」
「...そう言われればそうかも...?」
「うんうん。皆がみんなそうだったらこの国はS級魔法少女だらけだからね?」
「...そうだね。」
──ブゥゥンッ!!
「「っ!?」」
「...何...?」
「結界だと!?」
紫色の膜がこの島全体に張られる。
「結界?」
「...ねむ...。恐らくボク達は逃げられない。」
「!?」
「...この結界は内から外に出ようとするものを拒む代物だからね。そしてボクがねむの中に入る事も出来ないかも...。」
「...誰が...ってまさか...。」
「シュルルルルルルル!!!!」
「そのまさかだね...。」
そこには怒りに染った金色に輝く6つの眼光が私達を見下ろしていた。




