第12話 迷探偵 陽花!
「なぁんか今日ねむちゃんおかしいよねぇ...。」
「...そ、そうかな?」
「んー...。いつもより姿勢がいいって言うか...?」
「...言われてみれば...分からんでもなくもない。」
「どっちやねん!」
美少女なのと、畏怖の念を感じているのとで良くも悪くもねむは普段から注目を集めていた。
─────
──
「今日は絶対安静だからね?」
「ん。」
「できるだけ動かないようにね?」
「ん。」
「それから──」
「お前は私の親か?」
「...ごめん。」
「ん。心配はいらない。」
これが今朝のヤミとの会話だ。昨日はなんでもないように言ってたのにこれである。どっちが素なのかが分からない。
そんな訳で私は今日、体に包帯を巻いて学校に来ている。
「おはようねむちゃん!」
「ん。おはよう。」
「おはよう倉野!今日時間空いてるか?一昨日の埋め合わせしたいんだ。」
「...3日ぐらい無理になった。ごめんね。」
「...そ、そうか!じゃあ3日後に。」
「ん。」
「あ!そういえばな!───」
「───。」
入学したての頃は5人だけだった陽キャグループにいつの間にか私が入り込んでしまっている。...なぜ私の席の近くで話してるんだ...?
「...もうすぐテスト。」
「え?ああ!そうだな!じゃあな!」
「ん。」
そうしてテストが始まるので自分の席に帰っていった。
─────
──
「──おつかれー。明日が最終日だな。サボらず今日も帰ったら勉強するんだぞー?」
「なぁ健二!今日遊びに行こうぜ!」
「おいおいおい。俺の話聞いてたか?成瀬〜?」
「は、はい!聞いてました!!」
「じゃあ帰ったら勉強...するよなぁ?」
「はい!!させていただきます!!」
「「「「あはははははは!!!!」」」」
ゆっくりと立ち上がり、刺激しないようにゆっくりと、いつもの半分ぐらいのペースで歩く。ヤミは魔法少女になったら3日で治るとか言ってたけど、どういう仕組みなんだろうか...。折れた骨が自動で動いて完璧に元通りになるってこと...?...気持ち悪。
「...はぁ。もどかしい。」
ゆっくりと歩くのがこんなにも辛いと思うなんてね。早く帰りたい。
─────
──
「よし。行ったな?」
「う、うん。」
「これよりねむちゃんの追跡を行う!」
「...ね、ねぇほんとにやめよう?ストーカーだよぉ?」
「全く奈々ったら心配症だなぁ!大丈夫だって!」
「う、うぅ...。」
今日は沙羅も由利香も瑞希も用事で居ないため、私と奈々の2人だ。
そして、ねむちゃんの様子がおかしいと感じたからこの作戦を思いついたのだ。
いつもは優雅に歩いてるのに今日はちょっとぎこちない動きだったり、急に用事ができたり...。怪しいよなぁ!!
「という訳で行くぞ!」
「何がという訳でなのぉ...?」
そうしてねむちゃん追跡大作戦(笑)が始まった。
─────
──
「ねむちゃんは...いた!行くぞ奈々!」
「ふぇ!?ひゃあ!!」
手を握って走る。そして、人混みの中、20m後ろを維持しながらついて行く。
「あ!曲がったぞ!」
「ちょ!ちょっと待って!もしかしたら前みたいに...。」
「は!そうだな...。じゃあちょっと覗いてみるか。」
──チラッ...
曲がり角で待ち伏せされていないかを確認する。が...
「いない!?」
「な、なんで...?」
もうそこにはいなかったのだ。慌てて、奈々の手を掴み消えていった方向に走り出す。
「どこに行ったんだ!?」
「待ってよぉ...!」
「橘さん、木犀さん。」
「「!?」」
走り出してすぐに真横から声が聞こえてくる。それは陽花も奈々もよく知っている声だ。
「嘘だろ...?」
「く、倉野しゃん...?」
よく見ればそこは路地裏に繋がる通路だった。要するにねむちゃんは曲がり角を曲がったすぐ先にあった路地裏で待ち伏せしていた訳だ。くそっ!20mも離れなければ...!!
「...何か申し開きはある?」
「す、すみませんでした!」
「す、すみましぇん...!」
2人とも今にも泣きそうな声で謝る2人の少女達。
「別にいいよ。」
「「え?」」
「木犀さんはね。」
「はぁぁ!?な、なんで私はダメなの!?」
「木犀さんは恐らく貴方に連れられただけ、そうでしょう?」
「...は、はいぃ。」
「奈々ぁぁあ!?!?」
なんで分かった!?わ、私この後どうなるんだろ...。
「...まさか一華高の生徒がストーカーだなんてね。」
「ぐ...。」
確かに一華高は東京で1番頭のいい学校だから規律は厳しい。あぁ...私はなんてことをしたんだ...。
そんな絶望感に苛まれていると、ねむちゃん...いや、ねむさんが近づいてきて...
「...陽花ちゃんの変態。」
「っ...!!」
形のいいぷっくりとした唇が私の耳に近づいてきて罵った。それに下半身が疼くのを感じたけど気の所為だと思う...思いたい...!!
その後のことはよく覚えていなかった。気づいたら家にいて、今日のことを思い出し、1人部屋で悶絶するのだった。




