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平和への使者  作者: DAISAKU
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第317話 日本情報局

東京都港区にある日本情報局は見た目はぼろい鉄筋コンクリートの建物だが、中身は最新の設備を整えた世界でも類を見ないほどの機関で、かつての大戦で日本帝国軍は消滅したが、その中で唯一、秘密裏に残った帝国海軍情報局の流れを組む独立機関として現在にいたる。大戦後の無政府状態になり、軍がなくなっても、活動を続け、日本を発展させるために長きにわたり貢献してきた。現在の日本が独立国としても経済大国としても残っているのはこの日本情報局のおかげと言っても過言ではない。しかし、そんなすばらしい活躍も影の組織であるため、誰からも評価されることなく、今も日本存続のため局員は常に戦っていた。そのため、どんなことが起ころうが、対応できる体制が常に保たれていた。


「皆、緊急事態だ。長官が危篤状態に陥った。長官命令の経過状況を報告しろ!」


情報局責任者である松島一佐は声を荒げて大声を出した。


「情報統制管理官篠崎二尉です。先の異星人の船やフランスでの情報は世界では知られておりません。また、先進国での最先端兵器の開発ですが、我が日本を脅かす物はありません。情報局で秘密裏に開発している戦闘機・長距離射程砲の情報漏洩も皆無です」


「次!」


「兵器開発管理官田中三佐です。以前、長官から渡された遺物を複製し、動力源として長距離兵器、恒星間戦闘機への搭載完了、現在、試験段階に入っております。長距離砲や追尾兵器など地上・海上からの試験は順調です。戦闘機事態もほぼ完成しておりますが、加速移動時における搭乗員への耐重圧Gに耐えうる人間がいないのが問題です。10名が地上シュミレーションテストをしましたが、全員失神、戦闘機も増産体制に入るところでしたが、、現在は、この問題が解決しないかぎり生産を止めている状況です」


松島一佐は数十年前の計画当初から問題点を科学技術が進歩した今でも解決できていいないことに焦りを感じずにはいられなかった。


「何か打開案はないのか」


田中三佐は、鍛え抜かれた日本の精鋭パイロットでも不可能なことをわかっているのに、無理な質問してきた松島一佐をにらみ


「AIによる戦闘シュミレーションでは、機体性能が未知数のため、人による操縦が不可避です。現状では、打つ手がありません。ただし、このGに耐えうる人間がいれば、AIによる分析で打開策が見つかると思われます。そんな人間がいればの話ですが」


「ならば、これからも継続して、強靭な者をなんとしても見つけ出せ、次!」


「宇宙開発管理官松竹三佐です。宇宙からの来訪者による脅威のため、計画を前倒しして

三か月後に1週間で5基のロケットを発射予定。地球に向かってくる人為的な物体を全て感知するため地球全周囲100%を警戒します。先日、来訪した宇宙船は地球の技術では探知できませんでしたが、長官からいただきました技術を組み込み予定で探知可能となる予定、政治・経済交渉管理官重田三佐と連携し、他国には、偽装でロケット・衛星の試験機の打ち上げとして、通達済みです」


「よし、打ち上げは、秘密裏に行い、マスコミや一般人などの侵入がないよう十分警戒をしろ、次!」


次の報告者、政治・経済交渉管理官重田三佐が困った表情で指揮官の松島一佐をじっと見つめていた。


「どうした重田三佐、早く報告しろ!」


松島一佐は長官の命が危なく、時間がないため、報告をしない重田に怒鳴った。重田は深呼吸をしながら、目を閉じて、簡潔に要点だけ言えるように心を整えた。


「現在、アメリカとの交渉は難航しております。長官からの情報でアメリカ政府が飛島空将補達を暗殺したことが濃厚のため、あの事件以降、アメリカ国防省特殊情報局とはギクシャクしてしまい、協力は得られておりません。秘匿する情報が多いためであります。さきほど、田中三佐が兵器の増産体制に入れると報告をしてましたが、それは技術的には可能という意味で日本では少量しか生産できません。アメリカの軍事会社の協力なしでは増産は不可能です。我が国は残念ながら、世界最高峰の兵器・戦闘機の設計はできますが、増産できる施設が皆無なのです。自衛隊もほぼ、武器は輸入に頼っているのが現状ですから」


松島一佐はびっくりした顔で眉間にしわをよせ、さらに大きな声で怒鳴った。


「馬鹿者!子供の遊びじゃないんだ。ひとつや、ふたつ試作機ができても、増産できなきゃ、ただのおもちゃだ。貴様、今までなんで報告しなかった!」


重田三左は、部下達と死に物狂いで、解決策を考えてきたが、頼みのアメリカ政府が、わが情報局・自衛隊憧れのアイドル飛島空将補マリを暗殺したことから、アメリカとの連携が取れなくなった、いや、取りたくなくなったためだった。それでも、巨大なアメリカ軍事会社、各社に連絡を取り続けていたが、やはり、アメリカ政府を通さなければ、何もできないという回答しか得られなかった。ただ、どの軍事会社も冷たい対応をする中、なぜか、世界一位の軍事会社ロバート社だけは親身になって、話だけは聞いてくれた。なぜだかはわからないが・・・


「アメリカ軍事会社にダイレクトに連絡してますが、どこもアメリカ政府の承認を取れの一転張りでどうにもなりません。申し訳ありません」


重田三佐は、また黙ってしまったというより、自前で武器も増産できないような日本という国になってしまったことが情けなくてしょうがなかった。技術設計が世界一位でもそれを造る設備がないなんて・・・重田三佐の祖父は、大戦で武器も物資も枯渇し、南島で最後まで勇敢に最後まで戦い、捕虜になることより、日本帝国軍人として自害した。父から聞いた無念だったであろう祖父の気持ちが、たった今わかったような気がした。祖父と同じように自分も絶対に最後の一瞬まであきらめるものかと強く思っていた。


「再度、アメリカに飛び、軍事会社に協力を請います。松島一佐、以前の打合せ通り、契約書を交わしたのち、技術情報を開示し、増産体制に入れるようになんとしてでも、交渉してきます」


松島一佐は、頭をかきながら、熱くなりすぎている重田を見て


「根性論だけでは、失敗するのは目に見えてる。お前の気持ちは買うが民間会社は自分の利益が優先される。長官からは今回の件で松田の莫大な資産を惜しみなく使えと言われている。アメリカには松田財閥の人間も同行させた方が良いだろう」


重田三佐は、ピンときたように


「すると、松田一尉をアメリカに?」


「そうだ、長官の孫であり、わが情報局の人間である松田一尉に同行させる、至急連絡を取り、アメリカへ行かせる、あとはお前が詳細を連絡しろ。いいな」


重田はうれしそうな顔で


「了!ただちに行動します」


重田一佐は一礼すると、すぐに会議室を飛び出して行った。

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