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平和への使者  作者: DAISAKU
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第314話 帰還

出雲神殿の地下に入った5人は、固唾を飲んでポットが開くのを見つめていた。赤い光がほど走るなか、ドライアイスに水をかけたような勢いでポットの周りは赤く染まったにおいのない湯気のようなものがあたりに漂いはじめていた。そして、その中から、長い間、探し求め、待ち焦がれていた姿がそこにはあった。

マリ、ユウキ、レナード、ドニーズ、少女イネが順番にポットから出てきた。すぐにカミーユ大尉が泣きながら大声でマリに近寄ってきた。


「局長!」


あまり感情を表に出さない男が泣きながら近寄ってきたので、マリは少し驚き、いつも通り屈託のない笑顔で、カミーユの手を握った。そばにいるドニーズには、声も掛けずに、ただ、ただ、マリの手を強くにぎり泣きまくっていた。その様子を見ながらアダムはユウキに近づき、


「全く、よく無事に、現代へ帰ってこれたな」


アダムはポットやこの地下の部屋がサターンの技術で造られていること、過去でイブが、考えて、皆を現代に戻したことはわかった上でユウキに話かけた。


「まあ、イブも少しは役に立つようになった、ただそれだけだ」


ユウキは無事に現代に帰ってきたこと、カミーユやアダムがタイムスリップする前と、何ひとつ変わらない雰囲気であることにほっとした。しかし、その瞬間、アダムの従者であるアンドロイドのアルファ7の隣にサターン技術で造られたアルファ77がそこに存在していた。だが、以前、遭遇した者とは明らかに性能が変わっており、容姿だけは過去のヤエそっくりなのは同じだが中身は別物だった。ユウキは無事に帰れた喜びの顔は消え失せ、脅威な存在を睨みつけ、スタスタと近づき、大声で


「マリ― !来てくれー」


尋常でないユウキの声を聞いたマリは瞬時に反応して、カミーユの手を振り払い、ユウキの隣にきた。そして、マリはアルファ77をじっと見て、違和感を感じながらも、なぜか懐かしい感情が現れ、しばらくして、封印していた、思いが湯水のように沸きだし、目からは涙が止まらなくなっていた。ユウキは呼びつけたマリがおかしくなったのでないかと思い、マリを守る様に前に出て


「お前はだれだ?アルファ77の性能をはるかに超えるようだが・・・」


すると、あきれたように右手を上げて、指をさした。ユウキはその懐かしいしぐさを見て

すぐに感づいた。


「まさか・・・ヤエなのか?」


「相変わらず、見抜くのが早いなユウキ」


マリとそっくりなアルファ77が大人びた感じでニヤリと笑った。そして、ユウキはアルファ77の体内のスキャンを完了し、以前、富士基地の地下に残したヤエの意識の集合体が中にあることを認識すると、少し落ち着きを取り戻した。しかし、隣にいるマリは全く落ち着いていなかった。


「ばあちゃん・・・」


ヤエは嫌な顔をして


「ばあちゃん?」


マリはヤエに向かって飛びついた。


「ばあちゃん、ばあちゃん」


あまりにも、押さえつけていた感情が大きかったのか、マリは何もしゃべれることできずにとにかく泣きながらヤエに抱きついた。ヤエは初めて会った伝説の神が、こんなにも感情豊かで人間らしいことに驚いた。ただ、マリが落ち着くまで、抵抗することもなく、優しくマリを見守った。


「大尉!」


その場を離れたマリを呆然と見ていたカミーユ大尉にドニーズは声を掛けた。


「なんだドニーズ」


ずいぶんと離れており、死んだと思っていた部下がたった今、帰還したのに、あまりうれしそうにしていない上官に、あきれたドニーズは


「全く、無事に帰還した部下にもう少し何か言うことはないんですかね」


カミーユはキョトンとした顔で


「なんだ、なにか言ってほしいのか?」


ドニーズはあきれた様子で


「別に大丈夫です。それより、みんな元気ですか?」


カミーユはまた、興味ななそうに


「元気だぞ、みんなは、今、地上で見張りをしている。あとで合わせてやる」


ドニーズは、相変わらず不愛想なカミーユ大尉を見て、本当に自分の知っている世界に戻ってきたことを感じ取っていた。

起きたばかりのレナードとイネは、さきほど目を閉じたと思った途端、もう1800年の未来に来たことに驚きながら、周囲を見渡した。


「レナードさん、本当に未来に来れたのですか?」


「そのようだ。私の知っている者たちがここには来ているから、間違いはないだろう」


レナードはイネに現代の色々なことを教えてあげることを過去で約束をしていたが、抱き合っている昔の姿で存在している憧れのヤエのことも気にはなるが、それよりも迎えに来ているはずのイブがいないことにすごい違和感を覚えた。

抱き合っていたマリは、しばらくして落ち着きを取り戻しヤエをじっと見つめて


「ばあちゃんでしょ。私には、わかるんだから」


ヤエは困った顔で


「ばあちゃんと言われても、困るな。あなたとは初対面だし、これからは、ヤエさんとでも呼んでくれないか、まだ、これでも、私は若いんだ」


マリは、びっくりした顔でヤエをまたじ~っと見つめた。いつまで経っても離れない二人の間に割って入ったユウキは両手で力強く二人を引き離した。


「積もる話もあるかもしれないが、今は緊急時だ。状況が少し落ち着いてから、ゆっくり二人で話してくれ」


ユウキは二人の方をポンポンとたたいて


「お~い、みんなここに集まってくれ。現在の状況が知りたい。ヤエ話してくれるか?」


ヤエはマリの突撃には驚かされたが、確かに今は、色々なことが起きすぎている、何から話した方が良いか、少し考え、まずは、会ったこともない者がいるため、簡単に迎えに来た者を紹介した。


「私はヤエだ。富士基地で長い間、かつての飛島ヤエの意識として眠っていたが、サターン人のアダムのアンドロイドに意識を移行させ、ここにいる。そのアダムがこいつだ。

その横には従者のアルファ7、それとカミーユ大尉、あと、この出雲神殿の宮司、飛島やまとだ」


「こちらは、リーダーの飛島マリ、それと、私はム―人のユウキ、それと、ドニーズ中尉、元アメリカ大統領のレナード、その横にいる少女はスサノ村の巫女イネだ。イネは特殊能力者で癒しや天候予測、条件にもよるが、未来も予測できる時がある」


ユウキは首をかしげ、


「なぜ、ここにイブがいない?」


今度はアダムが首をかしげ


「それは、こっちが聞きたいことだ、なぜポットにイブがいないんだ」


「それは、別の方法でイブが未来に戻ることになっているからだ。とにかく、イブは戻っていないんだな。了解した。とにかく、情報交換だ。ヤエ話してくれるか?」


ヤエは急に真剣な顔つきになり、現状の出来事を話始めた。

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