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第八話

 京都への修学旅行の班決めは、思いのほかあっさりと決まった。




 まず、前田の元へ男どもがピラニアのごとく群がっていった。


「しょうがないなぁ。はい、ここまで。いい、これで締め切るよ」


 前田のやつ、男を集めるだけ集めて、締め切りやがった。


 さすが前田だ。


 男どもの食いつきがいいな。




 そして、有田の元へも、さりげなさをよそおって男たちが集まっていく。


 お前ら『だるまさんが転んだ』をしているのか?


 まあ、有田だもんね。


 有田の前で集まった女子たちと男たちが対峙している。


 おお、今回は女子たちの冷たい視線に、みんな耐えているぞ。


「しょうがないな。今回だけ、有田を貸してあげる。でも、今回だけだからね」


 有田に近づこうとしてた女の子が、諦めたように声を上げた。


 女子同士で有田を奪い合うかと思ったけど、あっさりと男たちに譲ってあげるんだね。


 そういえば男性陣、かなり前からそわそわしていたもんね。


 やはり、女性陣は大人だ。


「ありがとう。お土産に八つ橋買ってきてやるよ」


「あのね。あたしたちも京都行くんだけど」


 やはり、男女で有田を奪い合う構図は崩せなかったようだ。


 二グループに分かれて、でも合同で京都巡りをする約束をしていた。


「じゃあ、そういうことでよろしく。お土産の八つ橋はもちろん買ってくれるんだよね。みんなの分」


 男たちがどうするか相談している。言い出したことは守るだろう。というか守らせるだろう。女子たちが。


 ほんと大所帯になりそうだ。




 おかげで、女の子たちがあぶれてしまっている。


 金髪ハーフの転校生・ハナコは、その神々しさからか、迂闊に誰も近づけないようだ。


 みんなの視界に入っているのに、ハナコは一人取り残されている。


 ラノベのヒロインも、男どもがこうも消極的だと。ちょっと、かわいそうになってくる。


 だらしないぞ、男ども。ここはガツガツ行くところだろ。


 今、勇気を振り絞らないで、いつ男を見せることが出来るんだ。


 行け! 何してる。


 ほんと、子供なんだから。




 見かねた有田がハナコに声を掛ける。


「ねえ、木村ハナコさん。一緒に京都、回らない」


「私ですか?」


「そう。今なら、ほとんどハーレム状態だよ。楽しいよ。ハナコさん、地元に近いよね。ハナコさんが参加してくれれば、さらに楽しくなると思うな」


 有田が言うと、嫌みにならない。


「私も‥‥‥いいんですか? ご一緒しても」


「もちろん。いいよね、みんな」


「賛成!」


 背中を向けて男どもが見えないようにガッツポーズをしている。動作で分かっちゃうよ。


 お互いに肩パンしてる奴らもいる。何してるんだ、あいつらは。


「じゃあ、お願いします」


「どうぞ。どうぞ」


 ダチョウ倶楽部かお前らは。




 笑顔で転校生ハナコが有田の元へ向かう。


 これで聖女とヒロインの女神が合体した。


 これは一大勢力だ。


 タロちゃんもハナコを見ている。


 やっぱり、金髪は目立つのかな。




 それにしても、前田のグループが小さく見えるようになってしまった。


 まあ、その前田も旅行中、隣のクラスへ消えるんじゃないかな。


 憶測だけど。


 修学旅行、お互い頑張ろうね。




 おっと、自分たちのことを忘れていた。


「タロちゃん、一緒でいいよね」


「いいよ。最初からそのつもりだったから」


「里美も、誘っていい?」


「うん。あとは、メンツどうする?」


「そうだね‥‥‥あれっ、里美はどこにいるの?」


 あんな所にいた。


「里美、こっち!」


 近くにいると思ったのに。どこ行ってるの?


 里美がゆっくりと歩いてくる。


「里美、一緒に行くでしょ」


「‥‥‥」


「あとは。ねえ、そこの二人、一緒にならない?」


 近くで手を取り合っていた女の子二人を誘ってみる。


 そして、あっさりと私とタロちゃん、そして里美、さらに女の子二人でグループを作ることが出来た。


 里美は新しく加わった女の子たちと話をしている。


 男はタロちゃん一人だけど、別にいいよね。


 私がいるから大丈夫。


 きっと楽しくなるよ。




 あれっ? どうしたのかな? 里美の様子がおかしい。


 いつもの里美じゃないみたいだ。 


 ちょっと、目が泳いでる。


 あっ、今‥‥逸らされた?


「里美?」


 里美はうつむいたままだ。


 どうしたんだろ?

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