第1章⑧ 怒られることが確定して凹むコルネリア
【毎日更新】フォローして更新をお待ちください
[前回までのあらすじ]
メイドの休憩場所でコルネリアと遭遇したフレーデグラフ。
証拠となる荷物はすでに届いていなことをコルネリアに伝えると、父親である社長に怒られると塞ぎ込んだ。
-------------------------------------------------
「マナーが悪いのはわかってるわ。
今だけは見逃して」
父になんて言い訳をしようかと必死に考えている主を、おかしそうにメイドが見る。
「私もそこまで空気が読めないわけではありません」
「ならあなたもお茶に付き合いなさい。
一人では味気ないわ」
目の前の椅子をちょいちょいと差されたフレーデグラフが、もう一度おかしそうにコルネリアを見た。
「承知しました。
しかしながら」
「どうかしたの?」
「お茶を楽しもうにもカップがございません」
休憩室に置いている自分の物は今まさに目の前で使われており、来客用のものはあるがメイドが使うのはいかがなものかと憚れた。
「これフレーデのなんだ」
特段気にしていなかった手の中のものをしげしげと見る。
深い青を基調とした様々な模様が描かれたかなり使い込まれたものだ。
「いいわねこれ。
私のと交換しない?」
いつもながら突拍子もないこと言うコルネリア。
そのたびに困らされる。
「値段が違いすぎます。
貴方のカップ一つでこの部屋にある全ての茶器が買えてしまいます」
それにですねとひとつ咳払い。
「何年も使ってきたものをコルネリア様が使われるのは」
そこまで言うと少し言いよどむ。
幼馴染のメイドがなぜ言葉を止めたのか察したコルネリアが声を上げて笑う。
「そんなことで照れなくてもいいのに」
「大きなお世話です」
自分のカップを手に立ち上がるコルネリアを忌々しそうに見るが、本人はその視線を楽しそうに受け止めながら部屋を出て行った。
残されたフレーデグラフはいつものようにため息をひとつ付き、新しいカップを買わなければと考えながら花を花瓶に活ける。
ふと部屋に誰も居ないことを確認すると、白と紫色の花を一本ずつ自室用に失敬した。
隠す前に顔を近づけ一呼吸してみると、土と蜜の香りが胸を占める。
と、今しがた閉まったばかりの扉が大きな音を立てて勢いよく開いた。
「フレーデ大変よ」
出て行ったばかりのコルネリアが、カップを手に持ったままそこにいた。
いきなりのことに、花に顔を近づけたポーズのままフレーデグラフが固まる。
「そんな似合ってない乙女ごっこしてる場合じゃないの!」
「……ごっこって、似合ってないって」
全力で乙女でございます。
さすがに心外だった。
そんなメイドの言葉など意にも介さない主はついてくるように手招きをし、大股で歩き出す。
「……お父様がこちらに来られるそうよ」
【毎日更新】フォローして更新をお待ちください




