第1章⑦ 熱い紅茶が好きなお嬢様
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[前回までのあらすじ]
花をお土産に港から帰ってきたコルネリア。
裏口からメイドの休憩室に入るとそこには意外な人物がいた。
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「……コルネリア様、メイドの休憩場で何を」
目が合った主が小さく手を挙げて、おかえりと言った。
「使用人の休憩時間じゃなくて誰もいないし別に良いでしょ。
あ!この菓子は私の部屋から持ってきたものよ?
メイドのを横取りはしていないから」
まあそうなのでしょうがと、同意をしながら花束を机に置いた。
「お土産かな?」
「はい、コルネリア様の部屋に飾ろうかと」
「なんとも雑草味があふれる花束で」
「お嫌いではないかと」
「ええ、好みだわ。
書斎に飾ってくれるかしら」
コルネリアは広い自室に花を飾ることを好まない。
せっかくの香りが散ってしまって感じられず、もったいないと言っていた。
狭い書斎だと、まるで部屋がお花畑になってとても良いらしい。
「で、私は報告を待っていたのだけど、こんな素敵なお土産があるということは芳しくないのね」
「ご慧眼の通りです。
荷はすでに届いていないようです」
深いため息をつくコルネリア。
「熱めの紅茶を頂戴」
それだけ言うと瞳を閉じて考え込む。
「私はこれをお父様に報告するのよね」
「そうなりますね」
竈にやかんを置いたメイドが私は関係ないという雰囲気で答えた。
コルネリアの父、すなわち社長は娘を溺愛しており非常に甘い人物だ。
しかし商売の事となると誰もが恐れる堅物となる。
迷宮入りの原因が、部下の監督不届きによるとバレればどうなるか。
小さく身震いさえしてしまう。
「ねえ、その時はあなたも一緒に……」
「お断りします」
振り向きさえせず拒否をされた。
「フレーデはお父様のお気に入りなんだから!
私に落ちる雷も減るはずだから!」
「メイドを避雷針にしないでください」
監督責任はあなたでしょうとぼやきつつ、煮立つほど熱い紅茶を差し出した。
「コルネリア様の茶器はここにございませんので、メイドの物で申し訳ありませんが」
二級品であるが品の良いカップを受け取ると、ぶちぶちと文句を言いながらなんども息を吹きかけて冷ましていた。
「私が怒られたあとも同じ紅茶を淹れてね」
「承知しました」
まだまだ熱い中身を唇をすぼめて少しだけすする。
神妙な顔をしながら、缶からクッキーを取り出して紅茶に浸して頬張った。
途中でフレーデグラフと目が合い、また注意されるのではと思わず先手を打つ。
「マナーが悪いのはわかってるわ。
今だけは見逃して」
父になんて言い訳をしようかと必死に考えている主を、おかしそうにメイドが見る。
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