第1章⑤ 海辺で事件の調査をするメイド
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[前回までのあらすじ]
ラート国からの荷物が嫌がらせではなく、もっと複雑な何かと判断したコルネリアとフレーデグラフは調査を開始した。
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コルネリアとフレーデグラフが頭を抱えている同時刻の遥か遠く。
商業国家マルクトと軍事国家ラートの国境にある、宿場として栄える街。
そこは両国の国民が乱れ住む場所であった。
物流の拠点でもあり先ほどからいくつもの荷馬車が忙しそうに出入りをしている。
その中でもとり分け巨大な馬であるフリージアン・ホース種が牽く、これまた巨大な荷車。
まるで小さな商店がそのまま入っているのではないかという大きさだ。
1tを超える馬4頭で牽く荷車が、地響きを立てながら草原を進む。
街から少し離れた広場に次々降ろされる巨大な荷物。
漆黒の箱に収められたそれには、ラートの国印が誇らしげに刻まれている。
「荷物はこれで全てか?」
現場監督であろう軍服を着た男が部下に確認をしていた。
手元の資料を見ていた作業着の男が、同意の返答をすると足早に立ち去った。
数か月に渡り送られてきた巨大な荷を残された男が忌々し気に見上げる。
「両国の遺恨を消し去るためとはいえ、ここまでやるものなのか」
いったいどれだけの国費がこの荷物の中身に投資されたのであろうか。
平民上がりの自分には理解ができないが、仕事は仕事と作業を進めた。
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カモメが飛ぶ港。
透き通る空と遥かなる海。
互いにどこまでも続き、視界を青く染める。
生臭い潮の香りに包まれる場所に場違いな服装の少女が立っていた。
フレーデグラフだ。
主より件の荷物を見てくるようにと指示を受けて来たのだが、数日前よりすっかり届かなくなったらしい。
担当に聞き込みをすると、どうやら随分前から起きていた問題であったが報告をしていなかったとのこと。
問題を先延ばしにした結果、全てが闇に消えるなんて馬鹿げている。
フレーデグラフは水平線に進む会社の船に向け、叫びたくなる感情を必死に抑えた。
しかたなく同じサイズの空木箱を見せてもらうことにしたのだが、数字と実物を見るとでは印象が大きく変わった。
想像の何倍も大きなその箱は、自分の身長と変わらぬ高さで横はもっと長い。
合板で幾重にも補強された特殊な造りで、触れてみると重厚感と頑強さに圧倒された。
この巨大な箱にラート国はいったい何を入れていたのか。
鉄で作られた兵器?火薬の原料?
あらぬ方へ思考がいくが確認する方法はすでになかった。
この箱と同じで中身がない報告を主へ行うと、怒るのが決まり切っているので帰るのが非常に億劫である。
しかし給与をそれなりにもらっている身であるし、性格上さぼるのが嫌いなフレーデグラフは生真面目に帰路に就いた。
その道すがら、船乗りを相手にした屋台が立ち並ぶ区画へと足を向ける。
食べ物や土産品が取り扱う店が林立しており、威勢の良い声が飛び交っていた。
港に高い金を払い簡易な店舗を構える者もいれば、物乞いのように商品を手に徘徊する者もいる。
一つ脇道に入ると娼館も立ち並んでおり、そこで働くのは貧民出が多く、富の差が濃縮された場所だ。
賑わう人にぶつからぬよう、進んでいくとその一角に小さな籠を手にした少女がいた。
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