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第1章④ お嬢様は仕事の前にお菓子が食べたい

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[前回までのあらすじ]


ペトロネラと数年ぶりに再開をした、コルネリアとフレーデグラフ。

ひとりと取り残されたテオと関係を深めようとフレーデグラフが膝を折り、手を握り言葉をかけた。


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「お見送りをしてまいりました。

 お嬢様の清廉なる立ち振る舞いに、いたく感動をしておられました」


報告を聞いて上機嫌にコルネリアが返す。


「ほら私って声もきれいだし顔も可愛いじゃない。

 あそこまで恭しく対応されたらいちころよ」


そう言う主人に冷たい視線を向けるフレーデグラフ。

先ほどまでコルネリアが褒められて上機嫌だったのは秘密だ。


「それは演技過剰のコルネリア様しか見ていないからです」


あの麗しい淑女はどこにいったのだと、部屋の中を探すが見当たらない。

いるのはだらしなくソファーに寝っ転がり、はしたなく足を開いて書類を読んでいる主人だけ。

ドレスははだけ、足の付け根まで見えている。


「はしたないにも程があります」

「私たちふたりだけじゃない」


その言葉に無言を返されて、コルネリアはメイドが本当に怒る前に行儀よく座りなおした。

そして書類を何枚か抜き取りフレーデグラフに渡す。

それをさっと読み取るとぽつりと一言。


「ああ、これは嫌がらせの荷物ではないですね」

「間違いなくもっとやっかいな問題よ」


不安にさせないために現場の二人には噓をついたが、この荷で嫌がらせはありえない。


「箱の大きさから石を敷き詰めた場合は4,000kgを超えます。

 悪意があるならそうするはずです」


書類のいくつかの数字だけで正解を導いたメイドを、コルネリアが忌々しく見る。


「なぜフレーデはメイドなの?

 私の補佐役になってほしいわ」


言われた少女は今日何度目かである冷たい視線を送った。


「私のお世話係はフレーデじゃなきゃヤダ!

 そう駄々をこねたのは昔のお嬢様です」

「……近くにいるということは、たくさん遊べると思っていたのよ」


幼いころの話を止めさせ、緩めていた表情をもう一度引き締めた。

ラートは侵略国家ではないが、軍部が国政をする軍政国家なのは間違いない。

それが大量の重量物を輸入し続けている。

ただの嫌がらせの話だったらどんなに楽であったか。

これは骨が折れると覚悟をしてコルネリアが立ち上がる。


「疲れるだろうから甘いものを用意して」

「承知しました。

 コルネリア様がお好きな菓子がまだ……」


ピッと指を立ててメイドを静止した。


「あなたの手作りがいいわ」


その言葉にフレーデグラフが少しだけ驚いた表情を浮かべた。

鉄面皮の友人を破顔させたことに満足してさらに付け足す。


「砂糖は多めの甘めでね」


その言葉に表情を隠すように頭を下げた。


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