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『ただ、持ち運びができる簡易設備で作れるレシピもあるかもしれませんし、杖や剣を道具として使って供物にできるかもしれません。そのあたりの情報を製作系プレイヤーに伝えてみます』
「そうやね」
両方の貢献がなければ聖タンクローゼスの召喚ができないらしいので、栗栖もできるだけは応援したい。これはクリスチャンの駆け込み寺を手に入れるために、ディナンがずっと手を貸してくれていたお礼の一環でもある。もちろんこんな情報程度で返しきれるとは思っていないが。
栗栖はその後ディナンと少し話し、もし聖なる供物らしきアイテムができたら店頭で委託販売をする、という約束をして通話を切った。ジュースしかない商品棚なので、いくらか商品の委託販売を請け負っても問題ないだろう。
「さてさて~、今度こそポップコーンの時間やで~! マンジュウカモーン!」
「はい。本日はどうされましたか?」
「トンガリモロコシ、入手したで! ポップコーンのレシピ教えてや」
マンジュウの丁寧な説明により、栗栖はポップコーンの製作レシピを手に入れた。といってもフライパンにトンガリモロコシ適量と塩をひとつまみ入れ、炒めるというボタンを押すだけだった。すぐに定番のうすしお味ポップコーンが完成する。
「お、新しいスキルも覚えたな。なになに? えっと、【効果音】? なるほど、食べたら音が鳴るタイプのポップコーンやねんな。……。さては映画には向かんな?」
試しに一口食べてみると、ポンポンポン! と軽快な音が鳴る。その音量はあまりにも大きく、映画やドラマのシーンによっては、非常に視聴の邪魔になりそうだった。
「これはアカンな~、音を小さくしたり、別の目立たん音にでけへんかな? マンジュウ?」
『音が出ず、口内で弾ける舌触りのするポップコーンは、レベル24のレシピにあります』
「なるほど、レベルが足らんか。ちゅうても口の中が刺激的なポップコーンもそれはそれでどうなんやろ……」
栗栖はひとまず、音の鳴るポップコーンの改良を試みた。桃ジュースと同じように、製作段階でスキルを使って音を変える方法だ。何度か作るうちに、音を変更したり、音量もある程度変えることができたが、やはり【効果音】スキルであるため、音を完全に消すことはできなかった。
最終的に小さな咀嚼音ならそう気にならないのではないか、と考えて、食べるとしゃくしゃくと音がなるポップコーンを採用した。また、スキルを使いこなす過程で色々と音を試したことにより、短い音楽を効果音として付けることもできるようになった。栗栖はポップコーンに、ゲランシャトーの歌を付けたり、ジングルベルを付けたりして遊んだ。
味についても、うすしお、バター、キャラメル、関西だし醤油、ストロベリー、チョコレート、九州しょうゆなどを作った。製作段階でカカオからチョコレートを作ったり、大豆から醤油を作り、その味に拘ったので、【焙煎】、【醗酵】、【熟成】などのスキルを覚えた。
「この味作ったら、やっぱりこれも無いとアカンよな~。マンジュウー! ポテチのレシピ!」
「はい。ポテチですね……検索結果なし」
「あ? あー、ポテトチップスは?」
「はい。ポテトチップスですね……レベル4のレシピがあります」
栗栖はじゃがいもを薄くスライスして揚げた料理に、効果音を付けて仕上げた。もちろん味は関西だし醤油と九州醤油だ。自分が食べる用には小さな咀嚼音を付け、店に出すお試しチップスには遊びで音楽を付けた。選曲はクリスマスの童謡だ。トナカイの角を付けているので、神官がまた買いに来ることを見越したのだ。
興が乗ったので、栗栖はマンジュウにクッキーのレシピも聞いた。クッキーも味を自分で調整したり、ナッツやジャムなどをいれることもできるようなので、栗栖はジンジャークッキーを作ろうと思ったのだ。クリスマスといえば、ジンジャークッキーだろう。
「まあ、食べたことないけどな」
栗栖としてはジンジャークッキーというのは、なぜかクリスマスツリーに飾られている人形のお菓子で、クリスマスというイベントシーズンに食べた覚えはない。クリスマスに食べるものといえば、チキンやブッシュ・ド・ノエル、あとはシュトーレンくらいだろうか。マンジュウに聞いてみたが、ブッシュドノエルとシュトーレンはウェブサイトにレシピの登録が無かった。
「チキンは味付けて焼くだけみたいやけど、映画中には食べにくそうやし、また今度作ろ」
そのまた今度がいつになるかは、もちろん未定だ。
栗栖は工房を出て、店舗に商品を並べてから寝室へと上がった。夕方から料理に麻雀にとバタバタしていたが、ここから寝る時間になるまではまた満たされたネットプリックスタイムだった。ポップコーンとポテトチップスと桃ジュースで映画のお供の準備もバッチリだ。
「よーし、サメ映画の時間や!」
栗栖は特に理由は無いが、サメ映画が観たい気分だった。




