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「これは、改良の余地ありやな。マンジュウ! 桃ジュースもう一回作るで!」
『はい。本日はどうされましたか?』
それから栗栖は、桃ジュースを何度も手作りした。レシピを一度登録すれば自動作成ができるようだが、新スキルである【エフェクト】を試しながら、いかに視聴の邪魔にならないエフェクトを作るかを目標に手作りを繰り返した。エフェクトを薄くしすぎると作成に失敗し、桃からゴミができるので、光らせて光量を抑え、透明性をギリギリまで上げる。また、エフェクトの大きさや形についても、スキルに集中すれば変形が可能だった。小さな淡いエフェクトにしてみたが、それはそれで視界の邪魔になったので、それなりの大きさで数を抑えた。
栗栖は快適にネットプリックスを視聴するため、大いに集中した。満足する桃ジュースを作りあげるまでに、エフェクトのスキルを自在に使いこなしてしまった。桃ジュースを作りすぎて、奇術師のレベルは7まで上がった。そして大量の桃ジュースも手元に残る。
「試作品どないしよかな」
最終的に完成したエフェクトが邪魔にならない桃ジュースは、栗栖がネットプリックスを観ながら飲む。だがそれまでにできた数々の試作桃ジュースは、正直処分に困っている。なので、売ることができないかと考えた。
栗栖が手に入れた拠点であるクリスチャンの駆け込み寺は、住居と工房と小さな店舗を兼ねている。現在店舗は閉鎖しているが、これを開店すれば、桃ジュースを処分できるのではないかと思ったのだ。
「あ、でも開店したら、ずっと店番せなあかんのかな」
それについてマンジュウに聞いてみると、どうやら店舗の設定で無人にできるらしい。その場合、商品の補充や売り上げを受け取る時だけ店舗へ行くだけでいいようだ。また、プレイヤーはワールドマーケットという、プレイヤー限定ゲーム内通販ができる機能も開放されているが、このクリスマスサーバーでは使用不可になっている。
「まあ、通販するほどのもんでもないやろ。キラキラする桃ジュースやからな」
特にステータスが上がる効果があるわけでもないものは、そのあたりの屋台で売っている食べ物と変わらない。店舗で売っているとNPCも買っていくらしいので、それでぼちぼち在庫処分ができれば良いだろう。
栗栖はさっそく店舗へ行き、設定をした。店舗も最低限のカウンターがあるだけなので、見た目は古く質素だ。店舗のインテリアについては、そのうち何か考えなければならないだろう。隣のゲランシャトー(仮)でオジサンNPCに相談でもしよう。きっと家具屋か大工のオジサンもいるだろう。
「えーと、商品名は……【キラキラ桃ジュース・ランダム】でええかな」
違うエフェクトの桃ジュースをまとめて店に並べ、ランダムエフェクト桃ジュースとして売り出すことにした。小さな店舗の小さな店に、コップに入った桃ジュースだけ売られているのはなかなか不思議な光景だった。
「他にもなんか並べてもええなぁ。まあ、あとで考えよ」
栗栖はとりあえず店舗販売を設定し、寝室へと向かった。空腹値が回復したので、これからはネットプリックスを観る時間だ。最近配信されたネットプリックスオリジナル映画、七条の大罪を観るのだ。




