表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポンコツAI『マンジュウ』と遊ぶVRMMORPG  作者: マッチョ増田
第0章 デスゲームに巻き込まれ……なかった

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/50

34

◇◇◇





 翌日。栗栖はアラームで目覚めた。睡眠値という、脳を休めなければならない数値の回復のため、栗栖はゲーム内で睡眠をしていた。これは通常、ゲームをログアウトしていても良いのであるが、今はクリスマス期間限定サーバーのため、ログアウトをするともうこのサーバーに戻れなくなる。そのためゲーム内睡眠を取っていた。完全に眠るというわけではなく、真っ暗な視界の中で、オルゴールと水のせせらぎの音を聞くという、いわゆるリラックスタイムだ。栗栖にはこれで本当に脳が休めているか定かではないが、これをしなければゲームが続けられず、ネットプリックスも観れないのでそうしている。



「はいおはよう、えーっと、ゲーム内時間は……七時! 昨日は三時くらいに寝たから、睡眠時間は十分やな。空腹値はもうちょっと大丈夫やし」



 ベッドから降り、寝室を出て工房へと向かう。工房にはテーブルと机、そして謎の祠のような神棚のようなものがある。今日は空腹値回復のために隣のゲランシャトー(仮)へ行くのをやめ、ここで自炊をしようと考えたのだ。

 寝る前にマンジュウに聞いたところ、奇術師というサブジョブでは、理論上殆どのものを見た目だけなら再現できるのだとか。ハリボテの盾や、甘いだけのポーション、食べると音がなるビスケットなど、いわゆるジョークグッズにあてはまるならすべて奇術師で再現ができる。ただし、ハリボテの盾に防御力は無く、甘いだけのポーションでHPは回復しない。だが食べ物については、食べたものによるステータスバフが付かないだけで、空腹値は回復する。

 そもそもプレイヤーのサブジョブとしての調理師では、街で売っているような食事と違い、食べた後に一定時間、ステータス上昇がかかるような食事を作ることができる。もちろん、ほとんどの食事では同時にデバフも付く。だが魔法職がINTと呼ばれるインテリジェンス値が上がる食事を食べ、STRというストロング値が下がったところで困らない。なぜなら魔法攻撃はインテリジェンス値を参照して攻撃力を算定しているからだ。

 奇術師が作る食事はこのステータスアップの効果が付かない。ただし、食べ物は食べ物なので、空腹値だけは回復するのだ。

 空腹値を回復するためだけにゲランシャトー(仮)へ通っていた栗栖にとって、これは朗報だった。ルチアから貰った大量のアイテムには、料理を作るための道具や食材まで入っていたからだ。まとめて料理を作っておけば、食べながらネットプリックスを視聴できる。それも仰向けに寝たまま。なんという贅沢。



「さて、マンジュウ! マンジュウー!」


『はい。本日はどうされましたか?』


「昨日話してた、奇術師での料理の作り方教えてほしいねんけど」


『はい、ディシディア・ネリス・オンライン内、サブジョブ奇術師、の手品料理レシピですね』


「手品料理……」


『レベルにより製作可能レシピが異なります』


「ピカピカの1年生や」


『レベルにより製作可能レシピが異なります』


「レベル1です……」



 マンジュウは相変わらず怖かった。

 レベル1で製作可能なレシピは、マンジュウによれば桃のジュースだった。料理人ジョブで調理すれば、移動スピードが少し上がり、回復魔法の効果が少し下がるジュースができあがるらしい。



『奇術師が調理した場合、飲むと丸いエフェクトが出るジュースになる、と記載されています』


「映えそうなドリンクやな」



 マンジュウの案内通り、工房の台に調理用簡易製作キッドを出し、ピチピーチという桃っぽい果物を取り出して製作する。といっても、ボウルに入れ、出てきたコマンドのなかで【絞る】と書かれているボタンを選択するだけだったが。勝手にボウルの中の桃が光り、次の瞬間にはコップに入った桃ジュースが3つ出来上がっている。完成と同時に、ピロン、と音が鳴り、新スキルを獲得したと通知が来る。



「おっ」



 メニュー画面で確認すると、スキル欄にはエフェクト、という文字が追加されていた。説明文によると、奇術師のジョブスキルであり、制作物にエフェクトを付けることができるようになるスキルだった。



「それはええけど、桃一個でジュース三杯は、計算合えへんのちゃうかなぁ」



 栗栖はそんなことを言いながら、二つをアイテムボックスへ収納し、ひとつを飲んでみた。コップに口を付けた瞬間、水玉のようなピンク色のエフェクトが栗栖の顔の周りを覆い、広がっては消えていく。特に光っているわけでも半透明なわけでもないただの水玉のエフェクトなので、視界が水玉で覆われてなんともいえない気持ちになった。



「味は普通やなぁ……ネクターよりなっちゃん桃味寄り。でもこれを映画観ながら飲んだらちょっとなぁ」



 味は問題ないし、空腹値も回復する。それにゲーム的効果で、仰向けで飲んでも溢れたり濡れたりしないジュースが完成していた。だが栗栖のように映画を観ながら飲むと、もれなくエフェクトで視界の妨げになり、快適な視聴ができない。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ